こんな企業は採択されない!事業再構築補助金の不採択「26個の共通点」
事業再構築補助金は、コロナ渦で経営に打撃を受けた企業にとって魅力的な支援制度です。
しかし、申請すれば必ず受けられる補助制度ではなく、採択率は約半数となっています。
事業再構築補助金について、不採択となる原因、対策法について解説します。
目次[非表示]
第8回事業再構築補助金の採択率は51.2%
第8回事業再構築補助金公募では応募件数が12,591件、採択件数が6,456件で、採択率は51.2%でした。
【参考】事業再構築補助金第8回公募の結果について|事業再構築補助金事務局
業種別の採択割合
採択割合について業種別にみると、特に製造業、卸売・小売業、宿泊業・飲食サービス業が多いですが、そのほかの業種についても幅広い業種で応募・採択されています。
応募金額別の採択率
応募金額・採択金額の分布から、金額によって採択率(難易度)が異なることがわかります。
第8回の全類型合計の応募(申請)・採択金額は、100〜1,500万円の応募・採択が最も多く、全体の4割を占めています。
次に1,501〜3,000万円の案件が多く、それ以降は、応募金額が高くなるにつれて、件数も減少しています。
【参考】事業再構築補助金第8回公募の結果について|事業再構築補助金事務局
事業再構築補助金が不採択となる原因は?
事業再構築補助金は、採択率が約4割と、難易度がものすごく高いわけではありません。
では「なぜ不採択となったのか」、事業再構築補助金を申請したものの、不採択となった企業は、「どうして不採択となったのか」理由を知ることが大切です。
事業再構築補助金は、補助金について理解し、ポイントをおさえたうえで申請することで、採択されやすくなります。
不採択となる原因
事業再構築補助金が不採択となる理由には、以下の原因が考えられます。
- 補助金事業の目的を正しく理解していない
- 事業計画の内容が、本事業の指針に沿っていない
- 実現性が低く、非現実的な事業計画内容
- 対象となる経費を理解できていない
- ありきたりな計画など、新鮮味にかける計画内容
など
事業再構築補助金申請において特に重要な点は、正しく事業計画書を作成することであり、特に「事業化点」と「再構築点」の2つの視点について、慎重に審査されています。
●このような記事も読まれています↓↓↓
審査員のコメントをご紹介します
事業再構築補助金では、不採択となった場合、事務局に問い合わせることで「不採択理由」を教えてもらえます。
フィードバック内容は、主に「書類不備の内容」または「事業化点、再構築点の審査項目における評価理由」であり、具体的な不採択理由を知ることができます。
審査人による「事業化点」と「再構築点」におけるネガティブコメント例について紹介します。
事業化点が欠けている14個のポイント
事業再構築補助金の公募要領(審査項目)では、「事業化点」について、
- 本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況などから、補助事業を適切に遂行できると期待できるか
- 競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確かどうか
- 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法およびスケジュールが妥当かどうか
- 現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されることなどにより、効果的な取組となっているか
と記載されています。
上記の点を踏まえ、審査人による「事業化点」についての提言をご紹介します。
- 事業化に向けて競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮している旨を明確に記載したい
- 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有している旨を記載したい
- 競合他社の動向を適切な根拠・方法で分析し明確に記載したい
- 価格的・性能的な優位性について競合他社と比較して明確に記載するとより良い
- 補助事業として費用対効果が高いことを明確に記載
- 補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模を明確に記載するとより良い
- 補助事業の課題とその課題の解決方法が妥当である旨を明確に記載すると良い
- 生産性向上の目標設定を明確に記載
- 既存事業のノウハウを活かしている旨を明確に記載するとより良い
- 市場ニーズの有無を明確に記載するとより良い
- SWOT 分析を行い、現在の事業状況および事業環境などを的確に把握し、新事業に取り組んでいることを明確に記載する
- 現在の自社の人材・技術・ノウハウなどの強みを活用することにより、効果的な取組となっている旨を明確に記載するとより良い
- 該当の市場における、売り手と買い手の数、又は、取引総額の観点から市場規模についてより明確にする
- 4P分析を記載するとより良い
これらの提言からもわかるように、基本的には「審査項目」に明記されている点が指摘されています。
以上のことから、「事業化点」について、おさえるべきポイントは、
- 市場のニーズや競合他社について入念な分析ができている
- 自社の強みやノウハウにより、どのような効果が期待できるのかが明確である
ことが重要といえます。
再構築点が欠けている12個のポイント
事業再構築補助金の公募要領(審査項目)では、「再構築点」について、
- SWOT 分析により自社の強み、弱み、機会、脅威を分析した上で、事業再構築の必要性が認識されているか
- 事業再構築の取り組み内容が、当該分析から導出されるものであるか、複数の選択肢の中から検討して最適なものが選択されているか
- 事業再構築指針に沿った取り組みであり、業種を転換するなど、リスクの高い、大胆な事業の再構築をおこなうものであるか
- 補助事業として費用対効果が高く、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されるような、効果的な取り組みとなっているか
- 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か
- 本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか
と記載されています。
上記のことを踏まえ、審査人による「再構築点」についての提言をみてみましょう。
- リスクの高い思い切った大胆な事業再構築である旨を明確に記載するとより良い
- 差別化や新規性等を達成するために先端的なデジタル技術の活用を取り入れるとより良い
- 地域のイノベーションに貢献し得る事業になるとより良い
- 現在の経営資源を最大限に活かしたリソースの最適化が明記された事業計画だとより良い
- 戦略と集中を戦略的に組み合わせたリソースの最適化を図る取り組みになるとより良い
- 既存事業との違いを明確にする
- 市場ニーズや自社の強みについて明確に記載するとより良い
- 新規事業のなぜリスクが高く、なぜ大胆な事業の再構築と言えるかの理由を記載する
- 自社の強みを分析し事業再構築の方針をより明確に記載出来ると良い。
- 事業遂行について判断材料が少ないため公募要領をもとに事業計画書をより明確に記載するとよい
- 既存事業における売上減少が著しいなどを新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じている事を明確に記載するとより良い
- 新型コロナウイルスの影響の規模、どの様に影響があったのかを明確に記載するとより良い
「事業化点」と同様に、基本的には「審査項目」に明記されている点が指摘されています。
以上のことから、「再構築点」について、おさえるべきポイントは、
- 分析に基づいて事業再構築の分析を認識できている
- リスクの伴う思い切った事業である
費用対効果が高く効率的な取り組みである
- 最新技術などを積極的に用い、地域活性化に貢献できる事業である
新時代に適した感染症等の外的な要因に強い事業である
ことが重要であるといえます。
【参考】事業再構築補助金公募要領(第6回)|事業再構築補助金事務局
●無料で参加できるwebセミナーはこちらをクリック↓↓↓
事業再構築補助金の採択には「事業計画書」の作成と情報収集が重要
事業再構築補助金を活用するためには、
- 必要書類を不備なく揃えること
- ポイントをおさえて「事業計画書」を作成すること
- 補助金について定期的に情報収集すること
が重要です。
不採択企業は「事業計画書」の内容が曖昧かもしれません
不採択企業の原因は、申請条件のほかに、「そもそも必要な書類が揃っていない」または、「事業計画書の作成が曖昧」のいずれかです。
公募要領をはじめ、補助金の目的や審査項目を理解し、正しく事業計画書を作成しましょう。
補助金について情報を素早く収集することが大切
不採択企業の多くは、日頃から補助金制度について情報収集ができていないなど、準備不足が考えられます。
「事業再構築補助金」をはじめ、国による補助金・助成金制度は、たくさんあり、知らないだけで損している場合もあります。
特に、経営状況が厳しい状況にある企業は、チャンスを逃さないよう、いちはやく情報を得ることが大切です。
F&M Clubの補助金活用サポート
F&M Clubの補助金活用サポートでは、「事業計画書の作成支援」のほかに、「公的支援無料診断ツール」による無料診断をおこなっています。
公的支援無料診断ツール
「公的支援無料診断ツール」とは、
- 「自社で使える助成金・補助金・優遇制度が分からない」
- 「どんな公的支援制度があるか知りたい」
- 「公的支援制度を使いたいが、相談先がない」
といった企業が抱える「公的支援制度」にかかわる悩みを、3分で解消する無料診断サービスです。
- 「半年以内に会社都合の解雇になった従業員がいない」
- 「1年以内に就業規則を見直した」
- 「残業時間短縮や有給休暇取得など、労働環境を良くしたい」
- 「1年以内に機械や設備の投資を行う予定がある」
- 「採用活動をしているが、良い人材が採用できない」
などの質問項目に対し、「はい」または「いいえ」で回答し、それぞれの企業に最適な公的支援の活用を診断します。
まとめ
事業再構築補助金をはじめ、国による補助金・助成金制度は、経営状況が厳しい企業の未来を大きく変える可能性があります。
補助金申請が採択されるためには、要点をおさえた「事業計画書」の作成が重要です。
「事業計画書」を正しく作成し、採択率を上げ、事業の再建に活用しましょう。