
健康経営とは?中小企業が取り組むメリットや事例をわかりやすく解説
健康経営とは、従業員の健康増進に対して企業が投資することで、持続的な業績向上を図る経営手法のことです。人材採用において有利となる、従業員の定着率向上が期待できるなどの効果が注目されています。
本記事では健康経営に取り組むメリットと認定制度、取り組み事例について解説します。
目次[非表示]
- 1.健康経営とは、従業員の健康へ投資すること
- 2.ホワイト企業の証?健康経営優良法人(ホワイト500、ブライト500)とは
- 3.健康経営に取り組む5つのメリット
- 3.1.企業イメージの向上
- 3.2.業績の向上
- 3.3.人材採用で有利、人材が定着しやすい
- 3.4.補助金申請における加点措置
- 3.5.外国人材の在留申請手続きの簡素化
- 3.6.地方公共団体の公共調達における優遇措置
- 3.7.保険料の割引
- 4.中小企業が健康経営に取り組むときの流れと取り組み事例
- 4.1.健康経営に取り組むときの主な流れ
- 4.2.健康経営の取り組み事例
- 4.2.1.具体的な健康実施項目の設定と達成度合いに応じて金券を贈呈
- 4.2.2.血圧測定とヘルシー弁当などで傷病日数が大幅に減少
- 4.2.3.定期健診+個人カルテで社員の高齢化へ対応
- 5.中小企業の人手不足・人財育成や資金繰りのお悩みはF&M Clubへご相談ください
健康経営とは、従業員の健康へ投資すること
健康経営とは、従業員の健康管理や健康増進に取り組むことは将来の業績向上につながる“投資”であると捉える経営手法のことです。
企業が従業員の健康保持・増進に積極的に取り組むことで、従業員の活力増進、生産性の向上、組織の活性化などの効果が期待され、業績の向上や人材採用の円滑化へとつながります。
ホワイト企業の証?健康経営優良法人(ホワイト500、ブライト500)とは
健康経営は社内的な施策が中心となるため、取り組んでいる企業であるかどうかは、社外からは見えにくいといえます。
そこで、従業員を大切にする健康経営に取り組む企業を“見える化”し、社会的に評価されやすくするため、『健康経営優良法人』という顕彰制度が創設されました。
健康経営優良法人の認定は、健康・医療新産業協議会健康投資ワーキンググループにおいて定められた評価基準を満たす企業が対象です。
【参考】健康経営優良法人認定制度|経済産業省
健康経営優良法人、ホワイト500、ブライト500の違い
健康経営優良法人の認定は2025年認定分より改定され、下記の2部門、合計5種類の認定があります。
- 健康経営優良法人(大規模法人部門)
- 健康経営優良法人(大規模法人部門(ホワイト500))
- 健康経営優良法人(中小規模法人部門)
- 健康経営優良法人(中小規模法人部門(ブライト500))
- 健康経営優良法人(中小規模法人部門(ネクストブライト1000))
中小規模法人部門のうち上位500社が『ブライト500』、上位501から1500社までが『ネクストブライト1000』として認定されます。
健康経営優良法人の認定数
健康経営優良法人の認定は有効期間が1年間です。継続して認定を受けるためには毎年申請する必要があります。
2024年の健康優良経営法人(中小規模法人部門)の認定企業数は16,733社となっており、毎年増加しています。
健康経営優良法人2025より認定要件が一部緩和
2025年3月に認定される健康経営優良法人2025より、小規模法人について認定要件を緩和する改正が講じられています。
健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)の認定要件は次のとおりです。
【引用】健康経営優良法人認定制度について|健康経営優良法人認定事務局
健康経営に取り組む5つのメリット
従業員の健康増進への取り組みを“投資”と捉える理由は、次のようなメリット、つまり“投資リターン”が期待できるためです。
- 企業イメージの向上
- 業績の向上
- 人材採用の円滑化、従業員定着率の改善
- 補助金申請などの支援措置
-
保険料割引などの優遇
企業イメージの向上
企業が従業員の健康を重視している、従業員を大切にする姿勢であることがわかりやすくなり、企業に対するイメージが向上します。
また『健康経営優良法人』の認定を受けることで健康経営に取り組んでいる客観的な証明となります。
業績の向上
従業員が心身ともに健康な状態で業務に取り組むことで生産性が良くなり、業績の向上につながります。
人材採用で有利、人材が定着しやすい
健康経営に取り組む企業は、従業員を大切にするホワイト企業として就職先選びにおいて有利となります。日経新聞社がおこなった「働き方に関するアンケート」によると、回答者の60.4%が健康経営優良法人の認定を重視しています。
また経済産業省の調査において、健康経営に取り組んでいる企業の離職率は4.6%となっており、全国平均の11.1%よりも定着率が高いことが報告されています。
補助金申請における加点措置
健康経営優良法人の認定を受けると、補助金申請において加点措置を受けることができます。
加点措置がある代表的な補助金制度は次の5つです。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 事業承継・引継ぎ補助金
- Go-tech補助金
- 事業再構築補助金
外国人材の在留申請手続きの簡素化
外国人材の在留資格に関する申請において、健康経営優良法人の認定を受けている企業は提出資料が簡素化されます。
在留資格の特定技能1号と2号における在留諸申請において、企業の登記事項証明書などの添付が不要となります。
【参考】申請書類の簡素化・枚数削減にかかる取組について|出入国在留管理庁
地方公共団体の公共調達における優遇措置
健康経営優良法人の認定企業に対しては、一部の地方公共団体が入札審査における加点などの優遇措置を講じています。
- 公共工事の入札審査における加点措置
(2022年における対象地方公共団体数49)
- 制度融資における保証料などの優遇、奨励金などの支援策
(2022年における対象地方公共団体数45)
保険料の割引
一部の保険会社は健康経営優良法人割引を設定し、保険料が2%から5%割引されます。
- 東京海上日動火災保険
業務災害総合保険「超Tプロテクション」の保険料が5%割引
- 住友生命保険
団体3大疾病保障保険「ホスピタA(エース)」の保険料が2%割
- 三井住友海上火災保険
業務災害補償保険「ビジネスJネクスト」の保険料を5%割引
- 損保ジャパン
団体長期障害所得補償保険について、健康経営割引5%
【参考】団体長期障害所得補償保険に健康経営割引を新設|損害保険ジャパン日本興亜
中小企業が健康経営に取り組むときの流れと取り組み事例
中小企業は従業員数や予算が制約されることが多いため、ポイントを抑えて健康経営に取り組むことが効果的です。
健康経営に取り組むときの主な流れ
健康経営に取り組むときの主な流れは次のとおりです。
STEP1:健康経営宣言
まず自社において従業員の健康を重視することを明確とし、社内に周知しましょう。
STEP2:自社における課題を確認
自社の職場環境や健康診断の結果を踏まえて、自社における課題を洗い出します。
STEP3:具体的な対策を決める
自社の課題に対する施策を決定し、実行します。
STEP4:取り組み内容を評価
最後に自社の施策内容を振り返り、効果が不十分な場合は取り組み内容を再検討します。
健康経営の取り組み事例
健康経営の具体的な取り組みとしては健康診断の徹底や福利厚生の充実などが着手しやすい事項です。経済産業省は、中小企業における健康経営の取り組み事例を発表しており、参考にしやすいでしょう。中小企業が取り組みやすい健康経営の例は次のとおりです。
具体的な健康実施項目の設定と達成度合いに応じて金券を贈呈
従業員の長時間勤務が常態化していたため、健康実施10項目を設定し、それぞれの項目における達成度に応じて金券を進呈する制度を実施。従業員の関心が高まり、社内のコミュニケーション向上につながっている。
血圧測定とヘルシー弁当などで傷病日数が大幅に減少
ヘルシー弁当や血圧測定などの取り組みを推進。傷病日数が682日から129日にまで減少し、休職者数は0名となるなどの効果が出ている。
定期健診+個人カルテで社員の高齢化へ対応
従業員の高齢化と採用難で在籍従業員の定着が課題であったため、定期健診に加えて個人カルテを活用し、食生活改善の意識付けを実施。新規採用者から高く評価され採用において有利となっている。
【参考】健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)認定法人 取り組み事例集(2023年3月発行)|経済産業省
中小企業の人手不足・人財育成や資金繰りのお悩みはF&M Clubへご相談ください
健康経営は人数に限りがある中小企業こそ積極的に取り組みたい施策です。従業員の健康を維持し、業務に積極的に取り組んでもらうことで業績の向上などの効果が期待できます。
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