一人当たりの採用コストの相場は?計算方法や削減方法を紹介
近年は採用手法が多岐にわたっており、一人当たりにかかる採用コストも増加傾向にあります。採用を積極的におこなう企業では、一人当たりの採用コストが相場と比較してどうなのか気になる方も多いでしょう。
業界・職種・採用形態などによっても異なりますが、一人当たり70万円〜100万円が採用コストの相場とされており、この金額を大幅に超える場合は、採用活動の見直しが必要となります。
今回は一人当たりの採用コストの相場について、計算方法や削減方法を紹介します。採用コストの増加に悩んでいる企業は、ぜひご参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.そもそも採用コストとは
- 1.1.採用コストの内訳①:外部コスト
- 1.2.採用コストの内訳②:内部コスト
- 2.一人当たりの採用コストの計算方法
- 3.新卒・中途・アルバイトでの採用にかかるコストの違い
- 3.1.新卒採用にかかる主なコスト
- 3.2.中途採用にかかる主なコスト
- 3.3.アルバイト採用にかかる主なコスト
- 4.【2024年最新】一人当たりの採用にかかる費用(採用単価)の相場・推移|職種別の違いも紹介
- 5.一人当たりの採用にかかる費用を減らす方法
- 5.1.採用コストを分析して改善点を洗い出す
- 5.2.選考プロセスを見直す
- 5.3.母集団形成の方法を改善する
- 5.4.早期離職の防止策を検討する
- 6.一人当たりの採用コスト削減につながる採用方法
- 6.1.ダイレクトリクルーティング
- 6.2.リファラル採用
- 6.3.アルムナイ採用
- 6.4.自社採用Webサイトの活用
- 6.5.SNSでの応募者獲得
- 7.コスト以外で直面する採用上の課題
- 7.1.応募者の数が少ない
- 7.2.自社の採用像にマッチした応募者がこない
- 7.3.選考途中で辞退する人が多い
- 7.4.内定を断られる
- 7.5.採用後の定着率が悪い
- 8.採用効率をあげるなら「F&M Club」がおすすめ
- 9.まとめ
そもそも採用コストとは
採用コストとは、企業が新しい人材を獲得するために必要なすべての費用を指します。単に求人広告を出すだけでなく、候補者の選考〜入社に至るまでに関わるすべての費用を包括的に指す経営指標です。
企業の人材戦略において、採用コストの適切な管理は経営資源を効率的に活用する上で重要な要素です。採用コストは大きく分けて外部コスト・内部コストの2種類に分けられます。
採用コストの内訳①:外部コスト
外部コストとは、求人サービスや人材紹介会社を利用するなど外部リソースを活用する際に発生する費用です。具体的には、以下の費用が該当します。
- 求人広告掲載料
- 人材紹介会社への紹介手数料
- オンライン採用プラットフォームの利用料
- 就職説明会への参加費用
上記の費用は企業が効果的に優秀な人材を集めるための投資であり、適切な予算配分と効率的な活用が求められます。専門的な人材紹介サービスを活用すれば質の高い候補者にアプローチできる可能性があります。
しかし、外部サービスを活用するほど費用は高額になるため、コスト面での慎重な検討が必要です。
採用コストの内訳②:内部コスト
内部コストとは、企業内部で発生する採用活動に関わる費用を意味します。具体的な内部コストの例は、以下のとおりです。
- 人事部門や採用担当者の労働時間
- 候補者の面接に関わる管理職や部門長の労働時間
- 採用に関連する各種会議や選考会議の開催費用
内部コストは、直接的な金銭支出でないものも含まれます。企業の貴重な人的資源と時間を消費するため、重要な採用コストの要素です。効率的な採用プロセスの設計と社内リソースの最適な活用が、内部コスト削減の鍵となります。
一人当たりの採用コストの計算方法
一人当たりの採用コストを正確に算出するためには、外部コストと内部コストの総額を採用した総人数で割る必要があります。具体的な計算式は、以下のとおりです。
(採用に関わる外部コスト+内部コスト)÷採用人数=一人当たりの採用コスト
上記の計算により、企業は一人の新規採用にかかる平均的な投資額を把握でき、採用戦略の効率性を評価できます。コスト削減や最適化のためには、定期的な分析と改善が重要です。
新卒・中途・アルバイトでの採用にかかるコストの違い
採用形態によって、かかるコストと投資対効果は大きく異なります。企業は各採用形態の特性を十分に理解し、戦略的にアプローチする必要があります。以下では、新卒・中途・アルバイトでの採用にかかるコストの違いについて詳しく見ていきましょう。
新卒採用にかかる主なコスト
新卒採用は、長期的な人材育成投資と位置づけられます。主なコストには、以下の費用があげられます。
- 大学への求人活動費
- 就職説明会参加費
- 採用イベント運営費
- インターンシップ実施費用
- 採用選考にかかる面接人件費
また、上記以外にも内定者への説明会やフォローアップにかかる費用も無視できません。若手人材の育成には時間とリソースを要しますが、将来的な企業の成長を見据えた重要な投資です。
教育研修コストは高くなりますが、企業文化への適応性や潜在能力を評価できる点が新卒採用の魅力です。
中途採用にかかる主なコスト
中途採用は即戦力確保を目的とした採用方法で、人材紹介会社への手数料が大きなコスト要因となります。中途採用にかかる主な費用は、以下のとおりです。
- 求人広告費
- 人材紹介会社への紹介料
- 採用選考の面接にかかる人件費
中途採用は即戦力を得られる反面、人材紹介会社を利用すれば高額な紹介手数料がかかる点に注意が必要です。特に、専門スキルをもつ人材の獲得には高いコストがかかります。
しかし、即座に業務に貢献できる人材を確保できる点で多くの企業が中途採用に注力しています。
アルバイト採用にかかる主なコスト
アルバイト採用は、ほかの採用形態と比較して比較的低コストで実施できます。アルバイト採用でかかる主なコストは、以下のとおりです。
- 求人広告費(求人サイト利用料)
- 面接にかかる人件費
- 採用事務作業コスト
短期雇用が中心となるため、長期的な育成投資は少なくて済む一方、頻繁な採用と教育が必要です。柔軟な労働力確保の観点から、多くのサービス業や小売業で重要な採用形態となっています。
【2024年最新】一人当たりの採用にかかる費用(採用単価)の相場・推移|職種別の違いも紹介
一人当たりの採用にかかる費用(採用単価)は、年々高騰傾向にあります。リクルート就職みらい研究所の調査では、2018年〜2019年の一人当たりの採用コストを以下のように公表しています。
採用の種類 |
2018年の採用単価 |
2019年の採用単価 |
新卒採用 |
71.5万円 |
93.6万円 |
中途採用 |
83.0万円 |
103.3万円 |
また、採用単価は業界や職種などによって異なる点に注意が必要です。リクルート就職みらい研究所の調査では、2019年時点の職種別の平均採用単価を以下のように公表しています。
業種別 |
新卒採用 |
中途採用 |
建設業 |
69.4万円 |
97.8万円 |
製造業 |
69.7万円 |
102.3万円 |
流通業 |
67.7万円 |
55.5万円 |
金融業 |
84.8万円 |
58.2万円 |
サービス・情報業 |
78.1万円 |
86.8万円 |
平均的には、一人の採用に70万円から100万円程度のコストがかかるのが現状です。金融業などは採用単価において、新卒採用が中途採用を上回るなど、業界によってかかる採用コストに違いがあります。
また、中途採用と新卒採用では大きな差があり、専門性の高い職種ほど採用単価が増える傾向が顕著です。競争力のある人材確保には、コスト意識と戦略的なアプローチが不可欠となります。
一人当たりの採用にかかる費用を減らす方法
一人当たりの採用にかかる費用を減らす方法には、主に以下の4つの方法があげられます。
- 採用コストを分析して改善点を洗い出す
- 選考プロセスを見直す
- 母集団形成の方法を改善する
- 早期離職の防止策を検討する
一人当たりの採用にかかる費用を減らす場合は、上記の方法をご参考にしてください。
採用コストを分析して改善点を洗い出す
採用コスト分析は、効果的なコスト削減の第一歩です。具体的には、現在の採用プロセスにおける各段階の費用を詳細に洗い出し、数値化しましょう。
外部コストと内部コストを分けて分析し、求人媒体ごとの費用対効果・人材紹介会社の手数料・面接にかかる人件費などを可視化します。
さらに、採用成功率や定着率との関連性を検証し、コスト削減の優先順位を決定しましょう。データに基づく客観的な分析により、無駄な支出を特定して効率的な採用戦略を立案できます。
選考プロセスを見直す
選考プロセスの効率化は、採用コスト削減の重要な施策です。たとえば、対面面接をオンライン面接に切り替えれば、移動コストや会場費を削減できます。
面接回数の適正化などプロセスの簡素化を進めると、採用にかかる時間とコストを大幅に削減が可能です。また、候補者のスキルや適性を正確に見極める評価基準の確立も、選考業務の効率化に大きく貢献します。
母集団形成の方法を改善する
効果的な母集団形成は、採用コスト削減の鍵です。母集団形成とは、自社に興味をもつ候補者を集める一連のプロセスを指します。
母集団形成には従来の求人広告だけでなく、SNSや自社の採用Webサイトを活用したアプローチが有効です。ほかにも、自社の社員から人材を紹介してもらうリファラル採用は、質の高い候補者を低コストで獲得できる方法として注目されています。
また、企業ブランディングの強化やインターンシップなどを通じて、優秀な人材との接点を増やすことも重要です。ターゲットを明確にして効率的に情報発信をおこなえば、母集団形成にかかるコストを抑制できます。
早期離職の防止策を検討する
一人当たりの採用にかかる費用を減らすには、早期離職の防止も有効です。入社後のオンボーディングプログラムの充実・キャリアパスの明確化など、新入社員が定着するための施策が重要となります。
また、入社前のマッチング精度を高めるため、企業文化や職場環境について説明する機会を設けることも有効です。適切な評価と報酬システムの構築で従業員のエンゲージメントを高めて、貴重な戦力の流出を防ぐことも可能であり、長期的な採用コストの削減につなげられます。
一人当たりの採用コスト削減につながる採用方法
一人当たりの採用コスト削減につながる採用方法としては、主に以下の5つがあげられます。
- ダイレクトリクルーティング
- リファラル採用
- アルムナイ採用
- 自社採用Webサイトの活用
- SNSでの応募者獲得
上記から、自社の採用活動にあった方法を選びましょう。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が直接候補者にアプローチする採用手法です。LinkedInなどのSNSやダイレクトリクルーティングサービスを活用し、求める人材へ企業側から能動的にアプローチします。
中途採用において効果的で、専門スキルをもつ候補者に直接コンタクトできるため、人材紹介会社への手数料を抑えられます。
また、企業側が候補者の詳細なプロフィールを事前に確認でき、マッチング精度の高い採用が可能です。自社で候補者を探す手間がかかりますが、長期的には大幅な採用コスト削減につながるアプローチです。
リファラル採用
リファラル採用は、既存の従業員による人材紹介を活用する採用手法です。自社の社員の人脈を通じて候補者を獲得するため、通常の求人経路と比べて低コストで質の高い人材を確保できます。
リファラル採用を実施する際は、報奨金制度を設けて人材を紹介した社員にインセンティブを提供しているケースが多いです。
候補者は自社の社員から企業に関する話をよく聞いており、企業文化への適合性が高く入社後の定着率も良好である点が特徴です。また、社内の信頼関係を基盤とするため、従業員のエンゲージメント向上にも寄与します。
アルムナイ採用
アルムナイ採用は、元社員のネットワークを活用した採用手法です。過去に自社で働いた経験のある人材・関係性を維持できている元社員に再度アプローチする方法です。
上記の方は既に企業文化を理解しており、即戦力として期待できるため、教育コストを大幅に削減できます。また、企業との信頼関係が既に構築されており、採用がスムーズに進む点も魅力です。卒業社員ネットワークの維持や、良好な関係性の継続が成功の鍵となります。
自社採用Webサイトの活用
自社採用Webサイトは、コスト効率の高い採用チャネルです。企業の魅力や独自の文化、成長機会などを直接的かつ詳細に伝えられるため、候補者の興味・関心をひきつけやすくなります。
求人情報だけでなく社員インタビューや職場環境の紹介などコンテンツを充実させれば、優秀な候補者の興味をより引き出せます。
また、求人サイト利用料や人材紹介会社への手数料を抑えられるため、採用コスト削減に直接貢献できる点が魅力です。自社採用Webサイトに候補者からのアクセスを集めるためには、SEOと魅力的なコンテンツづくりが重要となります。
SNSでの応募者獲得
SNSを活用した採用は、低コストで広範囲な人材にリーチできる手法です。X・Instagram・LinkedInなどのプラットフォームを戦略的に活用し、企業情報・求人情報を発信します。
ターゲットとなる人材層に合わせたコンテンツ戦略が重要で、企業の文化や仕事の魅力をわかりやすく伝えることが必要です。SNSのアカウント作成〜投稿は無料でおこなえるため、従来の求人広告と比較して大幅にコストを抑えられます。特に、若年層の人材獲得に効果的な手法です。
コスト以外で直面する採用上の課題
採用活動において、資金面以外にも多くの企業が以下のような課題に直面しています。
- 応募者の数が少ない
- 自社の採用像にマッチした応募者がこない
- 選考途中で辞退する人が多い
- 内定を断られる
- 採用後の定着率が悪い
採用コストだけでなく、上記の課題も同時に改善策を実行して優秀な人材を確保しやすい環境を整えましょう。
応募者の数が少ない
応募者の数が少ない点は、多くの企業が直面する深刻な採用課題です。特に、中小企業においては企業の認知度不足が主な要因としてあげられます。
効果的な求人戦略にはターゲット層を明確にし、自社の魅力を具体的に伝える工夫が必要です。SNSや求人サイトの戦略的な活用・企業ブランディングの強化など、多角的なアプローチが求められます。また、候補者の企業に求める働き方などのトレンドを常に把握し、柔軟に対応することが重要です。
自社の採用像にマッチした応募者がこない
自社の採用像にマッチした応募者がこない点も、よくある採用課題のひとつです。理想の人材を獲得するためには、自社の求める人物像を明確に定義し、適切に発信することが必要です。
単なるスキルの有無ではなく、企業文化や価値観に共感できる候補者をひきつける必要があります。具体的には、企業理念・ビジョンを明確に伝えて求める人材像を具体的に示すことが重要です。
また、社員のキャリアステップなど候補者が興味をもつ要素を積極的に発信すれば、理想的な人材をひきつけられます。候補者とのコミュニケーションの質と深さが、自社にマッチした人材採用の成功を左右します。
選考途中で辞退する人が多い
選考途中で辞退する人が多い点も、企業が抱える採用上の悩みです。主な原因は、候補者とのコミュニケーション不足や選考プロセスの長さなどがあげられます。
迅速で透明性の高い選考プロセス・企業に関する情報の候補者への丁寧な説明などが重要です。また、選考期間の長期化を避け、候補者のモチベーションを維持する工夫も必要です。企業の魅力を継続的に伝え、候補者との良好な関係性を構築すれば辞退率を低減できます。
内定を断られる
内定辞退は、企業の魅力を問われる重要な課題です。「本当に企業の業務についていけるのか」などの不安が、主な辞退理由としてあげられます。
内定辞退を防ぐ方法としては、内定後のフォローが重要です。内定者懇親会などで就職する際の不安を解消する機会を設ければ、辞退率を低減できます。
採用後の定着率が悪い
採用後の定着率が悪い点も、よくある採用課題のひとつです。解決するためには、入社後のオンボーディングプログラムの充実などが重要となります。
新入社員が組織に適応し、成長を実感できる環境づくりが鍵です。また、定期的な面談・公正な評価システム・職場環境の改善など、従業員のエンゲージメントを高める継続的な取り組みが必要です。単に人材を採用するだけでなく、長期的な視点での人材育成と組織文化の醸成が求められます。
採用効率をあげるなら「F&M Club」がおすすめ
採用効率をあげるなら「F&M Club」がおすすめです。「F&M Club」は中小企業のバックオフィス業務をトータルで支援しており、採用に関しては以下のサービスを提供しています。
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- アンケート結果から従業員の特性を把握して雇用のミスマッチを防止
- 採用・人材育成に関する研修コンテンツを用意
また、上記以外に人事考課制度の作成サポートをおこなっている点も特徴です。公平性の高い人事評価制度を構築して、人材の定着率向上も図れます。
上記のサービスを月額3万円で何度も利用できるため、費用対効果良く自社の採用活動を改善できます。採用コストの削減とともに、優秀な人材の確保を実現したい場合は、「F&M Club」をぜひご検討ください。
まとめ
企業の採用活動において、コスト管理は極めて重要な経営課題です。一人の採用に70万円から100万円のコストがかかる現代で、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用など効率的な手法が注目されています。
単なるコスト削減だけでなく、自社に合った優秀な人材を獲得することが成功の鍵であり、企業文化の発信・柔軟な採用プロセス・継続的な人材育成が、今求められる採用戦略のポイントです。