人手不足で会社が潰れる!?深刻化した理由と倒産を避ける対策を解説
従業員数が限られている中小企業では人手不足が深刻化しており、 人材を適切に確保できず、会社が潰れる人手不足倒産が増加しています。
今回は、人手不足がここまで深刻化した理由から、会社が潰れる理由、倒産を避けるための対策まで解説します。
目次[非表示]
- 1.人手不足で会社が潰れるとは
- 2.人手不足倒産が多い小規模企業【業種別では建築業・物流業】
- 3.人手不足で会社が潰れる4つのパターン
- 3.1.後継者がいない
- 3.2.従業員が退職する
- 3.3.求人に応募してもらえない
- 3.4.人件費の高騰で人を確保できない
- 4.人手不足が加速した3つの理由
- 5.人手不足で会社が潰れる状況を避ける5つの対策
- 5.1.労働環境の改善
- 5.2.採用の見直し
- 5.3.入社後ギャップの防止
- 5.4.生産性の向上
- 5.5.研修制度・人事考課制度の導入
- 6.人手不足による倒産を防ぐならばF&M Clubへご相談ください
- 7.まとめ
人手不足で会社が潰れるとは
人手不足が深刻化すると、会社を経営することが難しくなってしまい、最悪の場合は潰れてしまいます。最初は、少ない人材でも残業などでカバーできるかもしれませんが、最終的には限界を迎え、倒産に至りかねません。
帝国データバンクが発表した「人手不足倒産の動向調査(2024年上半期)」によると、2024年上半期(1月から6月)において人手不足を原因とする倒産が182件発生しています。前年同期の110件から65.5%増加しており、過去最多のペースとなっています。
【引用】人手不足倒産の動向調査(2024年上半期)|帝国データバンク
人手不足倒産が多い小規模企業【業種別では建築業・物流業】
人手不足を原因とする倒産は、人数が少ない小規模事業者ほど影響が大きくなります。
上記の2024年上半期の倒産件数182件のうち、従業員数10名未満の小規模企業が143件、全体の78.6%を占めています。
人手不足倒産が多い業種は、2024年問題の影響が大きい建築業・物流業です。
上記の2024年上半期の倒産件数182件のうち、建築業53件と物流業27件で倒産件数の半分を占めており、どちらも過去最多です。
建築業と物流業以外の業種においても人手不足が続いています。
帝国データバンクが発表した調査によると、情報サービス業や建築業における人手不足感が約7割に達しているほか、多くの業種で人手不足感が高止まりしています。
今後も生産年齢人口が減少する日本では、「自社の業種であれば人材は採用できる」とは限りません。業種を問わず、省人化と人材採用・定着化を進める必要があります。
【参考】人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)|帝国データバンクより作成
人手不足で会社が潰れる4つのパターン
人手不足で会社が潰れる状況には4つのパターンは次の4つです。
後継者がいない
経営者や幹部が高齢や病気などで不在となった際、経営のリーダーシップをとる後継者や補佐陣が見つからないことで事業を継続できず、倒産する可能性があります。
また、人手不足ではないものの「経営者や幹部になれるだけの人がいない」ということもあるでしょう。重要なポジションに就く人材は事前に育成する必要があるため、これができていないことによって会社が潰れることが考えられます。
従業員が退職する
従業員が退職してしまい、業務を十分に推進できるだけの人数を維持できない状態となると売上やサービスが低下し倒産してしまうことがありえます。
また、従業員の退職により従業員1人当たりの業務負荷が高まると、他の従業員も退職する「連鎖退職」が生じるかもしれません。この状況に陥ると、加速度的に人手不足が進んでしまいます。
求人に応募してもらえない
求人を出しても思うように応募してもらえないことにより人手不足が解消されず、倒産に至ってしまうことがありえます。
日本商工会議所の調査によると、2023年度に採用を募集しても予定人数を採用できなかった企業は半数を超える50.6%に上ります。中小企業の採用難が続く一因として、大手企業など一部の求人に応募が集中してしまい、中小企業への応募が少なくなることがあげられます。「求人を出せば人手不足は解消される」という安易な考えではなく、現状を正しく把握しましょう。
【引用】商工会議所LOBO(早期景気観測)2023年度の採用実績の動向|日本商工会議所
人件費の高騰で人を確保できない
人件費の高騰により従来の給料水準での募集では人材を採用できず人手不足となるケースがあります。あるいは、他社との人材獲得競争のために、業績が改善しない中で給料水準を高める「防衛的賃上げ」により利益水準が悪化し倒産するケースがあげられます。
厚生労働省は2024年10月以降に適用される最低賃金の引き上げ目安額を「50円」以上としており、多くの都道府県で採用される見込みです。この引き上げ後の全国平均時給は1,054円となります。
これからも人件費の高騰で人手不足となる中小企業は増えると予測されています。
【参考】2024年度地域別最低賃金額改定の目安について|厚生労働省
人手不足が加速した3つの理由
人手不足が深刻化するほどまでに加速した背景には3つの理由があります。
少子高齢化
少子高齢化が進んでいるため、少ない労働者を多くの企業が取り合う状況となります。
また労働者が減少しているにもかかわらず、大手企業が人気にあるなど労働力には偏りがあります。中小企業は、さらに少ない労働者を取り合うことになり、人手不足の影響を特に受けやすい環境です。
採用条件の変化
厚生労働省が発表する一般職業紹介状況によると有効求人倍率は1.30倍前後が続いています。つまり、求職者の数よりも求人数の方が多い状況であり、より良い求人でないと人材を確保できません。
しかし、多くの会社では簡単に採用条件を変化させられないため、他の会社よりも条件が見劣りしてしまい、求人への応募を獲得できない状況となっています。
働き方の多様化
働き方の多様化に伴って、雇用されずに働くフリーランスなどが増えています。労働者の総数は変化しなくとも、求人に応募する人の絶対数が減ってしまい、人手不足が加速しています。
言い換えると、会社員ではなくフリーランスなどを活用できるならば、人手不足を解消できる可能性があります。
人手不足で会社が潰れる状況を避ける5つの対策
人手不足により会社が潰れる可能性がありますが、これを避けるために5つの対策があります。
労働環境の改善
労働環境を改善することで従業員が退職しない状況を生み出すことが大切です。主な取り組み例は次のとおりです。
IT化や省人化機械を導入するためには投資費用が負担となるため、補助金・助成金を活用することで、自社における負担を減らしながら投資することができます。
勤務体系の見直し
- フレックスタイム制の導入
- リモートワークの活用
- 副業の解禁
- 特別休暇(バースデー休暇、結婚記念日休暇など)の導入
勤怠管理の合理化
- スマホなどで利用できる勤怠管理ツールの導入
多様な従業員が働きやすい環境整備
- 女性用トイレ、女性用更衣室の整備
- 仕事と家庭の両立支援策(保育料補助、再雇用制度、男性育児休暇など)の導入
- 作業工程を細分化し、高齢者・女性・若手従業員が容易に作業できる工程を拡大
長時間勤務、負荷が高い作業の合理化
- 残業を原則として禁止
- 身体的な負荷が高い作業を機械化
採用の見直し
労働環境の改善により従業員の定着率が向上しても、新規採用を増やすことができないと、いずれ人手不足となってしまいます。
人材採用を進めるためには募集するターゲットと募集方法の2つを見直しましょう。主な取り組み例は次のとおりです。
募集するターゲットの見直し
- 募集する従業員年齢の引き上げ
- 高齢者や女性の積極採用
- 外国人労働者の募集
募集方法の改善
- 複数の募集方法(ハローワーク、転職サイト、求人広告など)を併用
- ホームページへの採用サイトの設置
求人票の見直し
- わかりやすい職種名、仕事内容の記載
- 求める人材像のわかりやすい表現
- 職場風景、作業内容がわかる写真の掲載
- 賃金、年間休日数などの明確な記載
入社後ギャップの防止
入社後ギャップとは、従業員が入社前に抱いていたイメージと入社後の実態との差異が原因となり早期離職してしまう、雇用のミスマッチのことです。
早期離職はコストを投じて採用した従業員を喪失するだけでなく、周囲にいる従業員にとってもマイナスの影響を与えてしまいます。入社後ギャップを抑制する取り組み例は次のとおりです。
募集時
- 求職者へ自社の良い点だけでなく、仕事の大変さを伝える
- ホームページ、SNSなどによる職場の雰囲気の発信
面接時と入社前
- 選考工程への適性診断の導入
- 面接時に適性診断結果にあわせた質問の設置
- 入社前の職場見学・カジュアル面談・インターンシップなどの導入
入社後のフォロー
- 周囲に相談しやすいチューター・メンター制度、定期面談制度の導入
生産性の向上
生産性を向上させることで、少ない人数でも効率良く業務をこなせるようになります。生産性の向上は、既存の業務フローの見直し、IT化や設備投資による合理化などが代表的です。
生産性向上はシステム投資や機械購入が必要となることがあります。投資費用はIT導入補助金や省力化投資補助金(カタログ型)などの制度を上手に活用しましょう。主な取り組み例は以下のとおりです。
効率化
- 顧客からの問い合わせ対応を収集・共有化し重複作業を排除
- 会議のオンライン化による移動時間・経費を削減
- 清掃ロボット、自動加工機械、検査・検品システムなどの導入
標準化
- 熟練社員のカン・コツをデータベース化
- 作業マニュアルの動画化
研修制度・人事考課制度の導入
従業員への研修制度を充実させ、従業員自身が成長を実感しやすくする取り組みがあげられます。
大手転職会社が2023年4月におこなったアンケートによると、勤務先に研修制度があることで長く働きたいと考える従業員の割合や約65%に上ります。
従業員を成長させる研修制度は階層ごとにおこなうことが効果的です。主な従業員教育・研修制度の活用方法は次のとおりです。
新卒従業員向け
- 企業理念、自社のルールを理解する研修
- ビジネスマナー研修
- 業務に直結するスキルを学ぶ研修
2年目以降の従業員向け
- 入社後の成長振り返り
- 業務で活用できるノウハウ習得の研修
- キャリアビジョン研修
- リーダーシップ・コーチング・マネジメント研修
人事考課制度についてもあわせて見直しましょう。人事考課制度は従業員の成果やがんばりを認めることに意味があります。
導入と運用の主な手順は次のとおりです。自社のみですべてに対応することは難しいことが多いため、外部の専門家のアドバイスを取り入れると効果的です。
- 制度導入の目的を明確化する
- 自社に合った評価項目を決める
- 評価者による差を防ぐ対策(記録など)を決定する
- 給与への反映結果を事前に試算する
- 従業員へ細やかにフィードバックする
人手不足による倒産を防ぐならばF&M Clubへご相談ください
人手不足が発生すると会社が潰れる原因となりかねませんが、自分自身では対策が難しいと感じる経営者の方は多いのではないでしょうか。その場合、ぜひとも専門家の支援であるF&M Clubをご活用ください。
F&M Clubは、累計38,000社の中小企業様を支援した実績をもつエフアンドエムが提供する、バックオフィス支援サービスです。月額3万円(税別)で、企業様の抱える課題や目的に応じた、採用・財務・労務・採用・IT活用などの34コンテンツをすべて使い放題でご利用いただけます。
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- 専門家による求人票の添削
- 雇用のミスマッチを防ぐ適性診断サービス
- 人材採用・育成に関する助成金や補助金の案内
優秀な人材の採用や、労働環境の改善をしたいと考えていても、自力で対応できることには限界を感じる人は多いのではないでしょうか。着実に行動していくためにも、F&M Clubへご相談ください。
まとめ
人手不足が深刻化している時代であり、最悪の場合、会社が潰れることについて解説しました。日本全体で人手不足が加速しているため、経営者は人材の確保に尽力しなければなりません。
しかし、求人を出しても応募がなかったり、従業員が辞めてしまったりと、人手不足は簡単に解消できないものです。そのため、もし自分が何から着手すべきか判断にお困りならば、まずは採用をサポートできるF&Mクラブへご相談ください。