中小企業はAI活用で業務効率化!すぐに使える実践的なテクニックを解説
中小企業においてもAIの活用が普及し始めています。ChatGPTなど、文章を生成するAIをはじめ、さまざまな業務で使えるツールとして利用が拡大しています。しかし「どのようにAIを業務に取り入れたらよいのか」模索している企業も多いでしょう。
本記事では、中小企業が生成AIを活用するメリットや、効果的に活用するための基本テクニック、AI活用を浸透させるポイントなどについて解説します。
目次[非表示]
- 1.中小企業がAIを活用するメリット
- 2.AIを活用する4つの基本テクニック
- 2.1.明確に指示する
- 2.2.AIが果たす役割の明示
- 2.3.#(ハッシュタグ)で区切る
- 2.4.AIから質問させる
- 3.中小企業のAI活用プロンプト例
- 3.1.中小企業のAI活用プロンプト①業務の効率化
- 3.2.中小企業のAI活用プロンプト②人材採用
- 3.3.中小企業のAI活用プロンプト③営業ツールの作成
- 3.4.中小企業のAI活用プロンプト④経営ヒント
- 3.5.中小企業のAI活用プロンプト⑤ロゴ、画像生成
- 4.中小企業のAI活用で注意すること4つ
- 4.1.個人情報や機密情報は使用しない
- 4.2.商用利用可能か、免責事項の明示は必要か
- 4.3.成果物は必ず確認
- 4.4.他者の著作権に注意
- 5.AI活用がすすまない理由と対応のポイント
- 5.1.AIの活用がすすまない理由
- 5.2.AIの活用をすすめるためのポイント
- 6.AI活用だけじゃない!生産性向上はF&M Clubがサポート
中小企業がAIを活用するメリット
2024年11月に情報通信総合研究所が発表したアンケートによると、中小企業のAI導入率は約10%であり、実際にAIを活用している従業員の満足度をみると、多くの部署(業務)において高い満足度となっています。
【引用】企業における生成AI活用の格差浮き彫りに|情報通信総合研究所
中小企業がAIを活用するメリットは、従業員の満足度向上だけではありません。AIを活用するメリットとして、主に以下の項目があげられます。
生産性が向上する
細かな作業、定型的な作業はAIがおこなってくれるため、コストや作業時間を削減できます。
離職の防止につながる
従業員は単純作業の負担が減り、より創造性が求められる業務に集中できるため、業務のマンネリ防止やモチベーション向上につながりやすくなります。
企業のイメージ向上につながる(採用活動)
AI活用を積極的に取り入れることで、新しいことに取り組む企業としてのイメージがつきやすくなり、「応募者が働きたいと思う職場」としての魅力が向上しやすくなります。
AIを活用する4つの基本テクニック
業務で使いやすいAIとして、ChatGPTなど、テキスト生成AIがあげられますが、実際に使ってみると「AIからの回答が想像と違った」などの不満が出ることも珍しくありません。
AIによる生成物に不満がある原因として、AIへの指示が不明確であることが多いと言われています。AIから理想的な生成物を得るための主な基本テクニックは次の4つです。
明確に指示する
AIへの指示は明確にすることが大切です。指示内容として次の情報を明確に入力しましょう。
- 作業の前提
- 参考や例とする情報
- 生成条件(文字数、使用する場面など)
- 出力方法(箇条書き、グラフで表示するなど)
AIが果たす役割の明示
AIにしてほしいことをわかりやすく指示します。
例えば文章を直したい場合は「あなた(AIのこと)はプロの校正者です」と入力するなどAIが果たす役割を明確に指示します。
#(ハッシュタグ)で区切る
プロンプト(AIへの指示文)は内容に応じて#(ハッシュタグ)で区切りましょう。
プロンプトを#命令文、#条件、#入力文、#出力文などに分けることで、AIが指示文の内容を区別しやすくなります。
AIから質問させる
AIから作業者へ質問させるテクニックも有効です。
例えば、「より良い回答を提供するために追加で必要な情報があれば私に質問してください。」と入力すると、AIが質問(必要な情報要求)に対し、回答します。“更問い”により回答を深堀りさせることができます。
中小企業のAI活用プロンプト例
業務でテキスト生成AIを使うときに役立つプロンプトが、インターネット上に多く公開されています。簡単なプロンプトの例を活用シーンごとに紹介します。
中小企業のAI活用プロンプト①業務の効率化
メールや請求書などの送付状、プレゼン資料の目次作成などに使いやすいプロンプトの例です。
【プロンプト例】
顧客のA社に見積書を送付するときのメール文面を作成してください。
#内容
・見積書と関係資料を添付ファイルで送付
・見積書の有効期限は○月○日です
#条件
・ビジネス文書としてふさわしい文体で作成
中小企業のAI活用プロンプト②人材採用
求人票など、人材採用における文言の作成に使うプロンプト例です。
【プロンプト例】
新卒採用のために以下の要領で応募要項を作成します。閲覧する今春大学卒業予定の学生が自社に応募したくなるような文章を作成してください。作成するために不足している情報があれば私に質問してください。
#企業概要
#職種概要
#求める人物像
#勤務条件
#応募方法
中小企業のAI活用プロンプト③営業ツールの作成
製品やサービスをアピールするための「アピール文」や「キャッチコピー」などに悩むこともあるでしょう。AIを活用することで多彩なアピール文やキャッチコピーを簡単に生成できます。
【プロンプト例】
以下の商品をアピールするためのX(旧:Twitter)への投稿文を100文字以内で作成してください。
#商品名
#商品の概要
#商品の特徴
#商品のターゲット
中小企業のAI活用プロンプト④経営ヒント
ChatGPTと、対話形式で相談できます。
【プロンプト例】
(作業者)
私はXXXX業の経営者です。自社のSWOT分析をおこなうため、対話形式で手伝ってください。
(AI)
次の質問にお答えください。
自社の強みは何ですか?
顧客からはどのような評価を受けていますか?
競合他社と比べて優れている点は何ですか?
これらの質問にお答えいただければ、より適切に回答することができます。
(作業者)
当社はXXXXを中心にXXXXを提供しています。XXXXを使って同業他社よりも低コスト、短納期で生産することが強みで(略)。
(AI)
ご回答をもとに次のようにまとめました。
(略)
次に自社の弱い点について教えていただけますか?自社が改善すべき点、過去のクレーム例などを教えてください。
中小企業のAI活用プロンプト⑤ロゴ、画像生成
AIはデザインや画像なども容易に作成できます。画像生成AIにデザインしたい内容を入力し、修正したいときはプロンプトを調整します。
AIによっては日本語よりも英語で入力するほうがより正確に反応することがありますが、基本的に簡単な英単語だけでも問題ありません。
【プロンプト例】
(Aを象徴するロゴ、青い背景、四角)
Logo symbolize ((A)), blue background, square
中小企業のAI活用で注意すること4つ
AIは細かな作業や定型的な作業に強みを発揮し、社内の定型業務を大幅に効率化することに貢献します。ただし、AIを活用するときは、注意しなくてはならないこともあります。
個人情報や機密情報は使用しない
個人の氏名や財産、パスワードなどの情報は入力を避けましょう。
AIはインターネット上で情報をやり取りし、サーバーにデータが残るリスクがあります。
オプトアウト(履歴を残さない)機能を有効化するだけではリスクがないとは言い切れないため、機密性が高い情報は入力しないようにします。
また社内で情報セキュリティをしっかりと整備しておく必要があります。
商用利用可能か、免責事項の明示は必要か
使用するAIの利用規約を確認しておきましょう。
AIによっては商用に利用できないことがあります。また生成物について、AI使用であることを明示する必要があるなど、利用にあたっての制約や条件も確認しておきましょう。
成果物は必ず確認
AIから出力された生成物は必ず内容を点検し、必要に応じて情報の出典・参考文献を確認しましょう。AIがインターネットから収集した情報が古い、ハルシネーション(嘘)が発生する可能性があるためです。
情報収集目的でAIを活用するときは、AIへ出典の回答を要求する、出典を表示する機能が搭載されているAIを利用することがおすすめです。
他者の著作権に注意
AIで生成したロゴ・デザイン・画像などが、既にほかの人が作成したものに類似する可能性があります。他者がもつ著作権や意匠権、商標権などを侵害しないように注意しましょう。
対策として、プロンプトに既存の作品名や作家名などを入力しない、生成されたデザインや画像をインターネットで検索して類似物を確認するなどがあげられます。
AI活用がすすまない理由と対応のポイント
人手不足に悩む中小企業は、AIの活用により、生産性が向上されると言われていますが、中小企業におけるAI導入率は約10%に留まっています。AI活用がすすんでいない理由や対応ポイントは次のとおりです。
AIの活用がすすまない理由
AIの普及がすすんでいない理由として次の3つがあげられます。
①導入のための初期費用がかかる
②従業員のリスキリング(習熟)時間とコストが必要
③従業員がAI導入に消極的
上記のなかで経営者にとって悩ましい理由が③です。AIを使いたがらない従業員の意見として次の例があげられます。
- 「デジタルには不慣れなので…」(新しいことを覚えたくない)
- 「AIを使ったら業務が減ってしまうのではないか」(効率が上がると残業手当が減ってしまう)
- 「AIは100%信用できないから使いたくない」(責任を取りたくない)
AIの活用は、従業員の定型業務を削減し、やりがいを感じやすい業務に集中しやすくなることなど、「AIにはAIの良さがあり、人には人の良さがある」ことを理解してもらう必要があるといえます。
AIの活用をすすめるためのポイント
AIの活用を自社内に浸透させるためのポイントは次のとおりです。
①経営者が率先して使用する
②AIを導入しないと他社に負ける危機感を醸成する
③AIについて得意なリーダーを育てる(教育環境の整備)
④生産性を向上させた後の姿(新製品開発や新分野進出など)をイメージさせる
⑤業績改善により、従業員へ還元(賃上げ)できることを説明する
上記②の例として、AIを活用した「見積り書の作成時間の短縮」があげられます。見積り書の作成スピードは、商談成果やコスト削減に結びつくことが多いため、営業担当者や設計担当者が関心をもちやすいテーマです。下記は製造業におけるAI自動図面見積り書作成の「業務フロー改善例」です。
【引用】AI導入ガイドブック 製造業への加工図面のAI自動見積の導入|経済産業省
AI活用だけじゃない!生産性向上はF&M Clubがサポート
AIの活用は業務効率化に効果的ですが、社内の情報セキュリティ対策や従業員へのリスキリングに時間がかかるなどの課題もあります。
また、忙しい経営者がすべてを主導しようとすると負担が重いため、まずは自社が取り組みやすい生産性向上に向けた取り組みから着手することがおすすめです。例えば「給与計算業務をIT化する」「補助金を活用して生産ラインを更新して省人化する」などです。
業務効率化に向けた取り組みに関する課題は、F&M Clubがサポートします。
従業員が効率的にスキルアップできる研修プログラムの提供、従業員のリスキリングに使える助成金の検索、生産性が高い設備への更新に使える補助金の申請サポートなど、業務効率化から資金繰り改善など、中小企業のバックオフィス業務は、F&M Clubがトータルでサポートします。
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