
仕事中の飲酒(隠れ酒)は処分対象?ノンアルコールは?処分や対策を解説
「社員が仕事中に飲酒した場合、処分の対象となる?」と、仕事中の飲酒について、具体的な対処方法がわからず、疑問を抱えている企業も多いのではないしょうか。
企業における「仕事中の飲酒の可否」や、「飲酒した社員に対する処分」などについて解説します。
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仕事中の飲酒(隠れ酒)は許される?
「仕事中の飲酒は法律で禁止されているのか」、「ノンアルコールの場合であればよいのか」など、企業における飲酒の可否について解説します。
法律上での仕事中の飲酒について
法律上では、仕事中の飲酒について明確に禁止する規定は定められておらず、仕事中に飲酒したとしても法律違反とはなりません。
しかし、道路交通法では「飲酒運転」が禁止されており、「運転」を職業とする人は、言うまでもなく、仕事中(運転中)の飲酒が禁止されています。
また、反対に、お酒を醸造する職人や、ナイトクラブで働く人など、お酒を飲むことが仕事である人々も多くいることや、会社の祝賀会など、特別な場合においては、例外的に勤務時間中に飲酒が許可される場合もあるでしょう。
そのため、法律上では仕事中の飲酒が禁止されていなくても、職業や仕事内容、状況によって、仕事中の飲酒の可否が異なるといえます。
ノンアルコールの場合
酒税法における「酒類」の定義は、「アルコール分1度以上の飲料」とされているため、アルコール分1度未満のノンアルコールは、酒類ではなく「清涼飲料水」とみなされます。
そのため、ノンアルコールはあくまでも「清涼飲料水」であるため、お茶や水のように、仕事中に飲んでも構わないと解釈される場合もあるでしょう。
しかし、ノンアルコールは、アルコール分1度未満の飲料であるため、なかにはアルコール分が完全にゼロではなく、微量のアルコール分を含んでいるものもあります。
そのため、ノンアルコールの捉え方は、会社によってさまざまであり、「ノンアルコールも酒類の一種」であると解釈する会社もあります。
仕事中に飲酒することのリスク
仕事中の飲酒禁止は、多くの企業で「暗黙のルール」となっていますが、仕事中に飲酒することで、さまざまなリスクが生じるため、控えた方が良いといえるでしょう。
仕事中の飲酒は、注意力が散漫し、業務効率の低下や、周囲に迷惑をかけるなど、モラルの欠如につながります。
社内の生産性を低下させるだけでなく、風土を乱す恐れもあるため、仕事中の飲酒は大きなリスクがともないます。
仕事中に飲酒した社員によるトラブル事例
仕事中に飲酒した社員によるトラブル事例として、最も多いトラブルは「飲酒運転」による事例です。
通勤も「勤務(仕事)中」にあたるため、帰宅時のトラブルにも注意しなければなりません。
東名高速飲酒運転事故の事例
平成11年の「東名高速飲酒運転事故」(東京地判平成14年7月23日)は、仕事中の飲酒運転によるトラブル事例として有名な裁判事例です。
本事故は、トラック運転手の飲酒運転により、普通乗用車と追突を起こし、普通乗用車に乗車していた男性一人が全身の四分の一を火傷し、同乗していた3歳と1歳の幼児2人が焼死という悲惨な事故でした。
トラック運転手およびその勤務先会社に対し、被害者から約3億5600万円の損害賠償が請求された裁判となりましたが、裁判所は会社らに対し、約2億5000万円の支払いが命じられました。
社員(や公務員)が飲酒運転により交通事故を起こした場合、「停職」や「出勤停止」の懲戒処分が課せられる事例も多く起こっています。
社員(や公務員)の懲戒処分は、損害賠償責任ではないものの、突然の人員欠員という面で、会社にとってリスクが生じます。
自衛隊員が起こした酒気帯び運転事故
2022年9月6日、陸上自衛隊北部方面総督部(札幌)は、酒気帯び運転による衝突事故を起こしたとして、北恵庭駐屯地業務隊の50代男性陸曹長を停職4か月の懲戒処分が下されました。
【参考】北海道新聞
仕事中の飲酒可否は就業規則に準ずる
先述したとおり、仕事中の飲酒禁止については「暗黙のルール」であることが一般的ですが、飲酒によるトラブルを回避するためには、仕事中の飲酒にかかわる事項について、「就業規則」で定めておくことが重要です。
仕事中に飲酒した社員の処分は?クビにできる?
万が一、社員が仕事中に飲酒し、ほかの社員および会社に迷惑をかけたとしても、社内における罰則については、原則「就業規則で定められている規定」に準ずるため、記載がない限り「懲戒解雇」などの罰則を課すことは難しいといえます。
社員との飲酒トラブルを回避するためには、あらかじめ、社内飲酒における罰則事項について「就業規則」で定め、社員に周知させることで、就業規則を「抑止力」として機能させることが大切です。
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まとめ
仕事中の飲酒は、法律で禁止されていないものの、注意力の散漫や業務効率の低下、周囲に迷惑がかがるなど、職場環境に悪影響を与えかねません。
仕事中の飲酒により、ほかの社員や会社に迷惑行為を犯した社員に対し罰則を課す際は、原則「就業規則」で定められた規定に従っておこなわれます。
そのため、飲酒によるトラブルを迅速に対処、および抑止力として機能させるためには、あらかじめ、就業規則で飲酒にかかわる規定を定めておくことが大切です。
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