就業規則とは?内容や法的効力、作成方法などについて簡単に解説
就業規則は、職場の秩序を保つために作成される会社のルールです。
法律を遵守した就業規則を作成することはもちろんのこと、時代や会社の状況に合わせて適切に変更していくことも求められます。
本記事では就業規則の概要や作成方法、記載する内容について解説します。
目次[非表示]
- 1.就業規則とは?
- 1.1.就業規則を作成する目的
- 1.2.就業規則の法的効力
- 1.3.労働契約との違い
- 2.就業規則に記載する内容
- 3.就業規則の代表例
- 4.就業規則の作成手順
- 4.1.就業規則の素案を作成する
- 4.2.過半数組合または過半数代表者からの意見聴取
- 4.3.労働基準監督署長へ届出る
- 5.就業規則を変更する際の手順・ポイント
- 5.1.就業規則の変更手順
- 5.2.一方的な就業規則の変更は禁止されている
- 5.3.変更の手続きは事業所ごとに必要
- 6.就業規則についてお困りならF&M Clubにご相談ください
- 7.まとめ
就業規則とは?
就業規則とは、労働者と使用者との雇用に関するルールです。
具体的には給与や労働時間、懲戒処分などについて定めています。
労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならないと明記されています。
就業規則を作成する目的
就業規則を作成する主な目的は、会社のルールを明確に定めることで職場の秩序を保つことです。
組織として円滑に活動するためには、労働者・使用者ともに守るべき明確なルールが欠かせません。
また、就業規則が定められていることで、仮にトラブルが発生した場合でもルールに従って適切に対応できます。
就業規則の法的効力
就業規則は基本的に法的効力を有しています。
ただし、従業員への周知や労働基準監督署への届出などの義務を怠っていた場合は、いくら就業規則を作成していたとしても法的効力は認められません。
また、就業規則に法令や労働協約に反する部分があった場合も、その部分については無効となります。
労働契約との違い
労働契約とは、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者と使用者との間で結ばれる契約です。
雇用に関するルールという意味では労働契約と就業規則は似ています。
しかし、大きな違いとしては、労働契約は使用者と労働者が個々に結ぶ契約であるのに対して、就業規則は全体に共通するルールであることが挙げられます。
また、労働契約は労働者と使用者双方の合意がなければ無効ですが、就業規則には労働者の合意が必要ありません。
就業規則に記載する内容
就業規則には、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と場合によっては記載しなければならない「相対的必要記載事項」、会社の判断に任せられている「任意的記載事項」が定められています。
ここからは、それぞれの内容について解説します。
絶対的必要記載事項
就業規則に必ず記載する必要がある絶対的必要記載事項は以下のとおりです。
絶対的必要記載事項
- 労働時間に関する事項(始業・終業時刻や休日、休憩時間など)
- 賃金に関する事項(賃金の決定・計算方法、賃金体系、支払日など)
- 退職・解雇に関する事項(退職手続き、解雇の事由など)
相対的必要記載事項
相対的必要記載事項とは、退職手当や臨時の賃金などといった制度を設ける場合には記載しなければならない事項です。
相対的必要記載事項は以下のとおりです。
相対的必要記載事項
- 退職手当に関する事項
- 臨時の賃金や最低賃金額に関する事項
- 食費、作業用品などの負担に関する事項
- 安全・衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰・制裁に関する事項
任意的記載事項
任意的記載事項は特に法律では定められておらず、記載するかどうかは会社の判断に任せられています。
任意的記載事項に当てはまる事項としては、服務規律や企業理念、就業規則の解釈などが挙げられます。
就業規則の代表例
ここからは就業規則に必ず記載しなければならない代表的な事項について、それぞれ解説します。
賃金規定
賃金規定に記載すべき内容としては基本給や手当、割増賃金などが挙げられます。
また、賃金の計算方法や支払い方法、締め日・支払日なども明記しなければなりません。
正社員やアルバイトなど労働条件が異なる雇用形態の従業員が在籍している場合は、それぞれ個別の規定を作成することも認められています。
労働時間・休暇規定
労働時間・休暇規定に記載すべき内容としては、始業・終業の時刻や休憩時間、休日・休暇などが挙げられます。
また交替勤務をおこなう場合には、それぞれの勤務形態ごとに始業・終業時刻や休憩時間、就業番の転換について規定する必要があります。
退職・解雇規定
退職・解雇規定に記載すべき内容としては、定年や退職に関する手続き、解雇事由などが挙げられます。
定年制度を設ける場合は、定年年齢は60歳を下回ることはできません。
また、定年年齢が65歳未満の場合は「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年制度の廃止」のいずれかの措置を講じる必要があります。
また解雇事由については、就業規則に定めていたとしても合理的な理由を欠いている場合は無効となります。
【参考】モデル就業規則|厚生労働省
就業規則の作成手順
就業規則を作成する際は、労働基準法に明記されている手順に従って手続きを進める必要があります。
就業規則の作成手順は以下のとおりです。
就業規則の作成手順
- 就業規則の素案を作成する
- 過半数組合または過半数代表者からの意見聴取
- 労働基準監督署長へ届出る
就業規則の素案を作成する
就業規則を作成する際は、まず素案を用意します。
素案には法律で記載することが定められている絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項はもちろんのこと、企業理念や経営方針などを盛り込むことが多いです。
どのような就業規則を作成すべきかわからない場合は、社労士の意見や厚生労働省が後悔しているモデル就業規則などを参考にしましょう。
【参考】モデル就業規則|厚生労働省
過半数組合または過半数代表者からの意見聴取
就業規則の素案を作成後は、過半数組合または過半数代表者からの意見を聴取します。
聴取した意見は「意見書」として書類に書き記しましょう。
労働基準監督署長へ届出る
最後に作成した就業規則に意見書を添付し、所轄労働基準監督署へ届出ます。
なお、就業規則は労働基準監督署へ届出ていたとしても、従業員全員に周知していなければ効力を発揮しません。
就業規則を変更する際の手順・ポイント
就業規則は時代や状況によって内容の変更が必要となる場合もあります。
ここからは就業規則を変更する際の手順やポイントについて解説します。
就業規則の変更手順
就業規則の変更手順は、作成手順とほとんど同様です。
まず変更する内容を決定し、過半数組合または過半数代表者からの意見を聴取します。
その後、変更届と共に意見書を所管の労働基準監督署に提出すれば手続きは完了です。
なお、作成する際と同様に、就業規則を変更した場合は従業員全員への周知が義務づけられています。
一方的な就業規則の変更は禁止されている
就業規則を作成・変更する際は過半数組合または過半数代表者から意見を聴取する必要がありますが、反対意見があったとしても作成・変更は可能です。
ただし、労働者が不利となる就業規則の一方的な変更は禁止されています。
そのため、労働者に不利な変更をおこなう場合には、合理性や相当性、労働組合との協議が求められます。
変更の手続きは事業所ごとに必要
就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業所ごとに作成・変更の手続きをおこなう必要があります。
ただし、作成・変更内容がすべての事業所で同様の場合は、一括で手続き可能です。
なお、この場合においても、添付する意見書については、各事業所の労働代表者から意見を聴取しなければなりません。
就業規則についてお困りならF&M Clubにご相談ください
就業規則の適切な作成・変更は、会社の秩序を保ち、トラブルを防止・対処するために欠かせません。
しかし、「ひな形をそのまま利用している」「就業規則を古いまま変更していない」という企業も多いのではないでしょうか。
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まとめ
就業規則の概要や作成方法、記載する内容について解説しました。
組織として円滑に活動し、発展していくためには明確なルールづくりが欠かせません。
また、就業規則は時代や会社の状況によって適切に変更していくことも重要です。
F&M Clubでは、就業規則を診断し、従業員が安心して働ける労働環境を整えるためのバックオフィスの構築をサポートします。
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