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年末年始のコンプライアンスで注意すべきことは?具体的な対策を紹介

年末年始は業務が多忙で忘年会・新年会などのイベントも多く、コンプライアンスの違反が起きやすい時期です。しかし、具体的にどのような点に注意して対策すべきか悩む企業も多いでしょう。
 
年末年始では、長時間労働やハラスメントなどの飲酒にまつわるトラブルが起きやすいです。事前に起きやすいコンプライアンス違反の事例を把握しておけば、効果的な対策を打ち出しやすくなります。
 
今回は、年末年始のコンプライアンスで注意すべき点について具体的な対策を中心に紹介します。本記事を読めば、年末年始に起きやすいコンプライアンス違反を未然に防ぐことが可能です。コンプライアンス対策を実施し、安心して働ける労働環境を実現しましょう。




目次[非表示]

  1. 1.コンプライアンスの定義・種類
  2. 2.年末年始におけるコンプライアンスの重要性
  3. 3.年末年始におけるコンプライアンスの具体的な対策
    1. 3.1.贈答品・接待の適切な管理
    2. 3.2.労働時間の管理
    3. 3.3.情報セキュリティの強化
    4. 3.4.ハラスメントの防止
    5. 3.5.飲酒トラブル・運転の防止
  4. 4.年末年始に向けて今から実施すべきコンプライアンス関連の社内体制整備
    1. 4.1.コンプライアンス研修を実施する
    2. 4.2.内部通報制度を周知させる
    3. 4.3.緊急時対応のマニュアルを確認する
  5. 5.まとめ


コンプライアンスの定義・種類

コンプライアンスとは企業や組織が法令や規則、社会的なルールを守りながら活動することです。単に法律を守るだけでなく、社会的な倫理やモラルに従うことも含まれます。
 
コンプライアンスにはさまざまな種類があり、代表例として「情報漏洩防止」「ハラスメント防止」があげられます。情報漏洩防止では、顧客情報や機密データを保護する仕組みを整備し、不正アクセスや内部からの漏洩を防ぐことが重要です。
 
一方、ハラスメント防止では、セクハラやパワハラなど職場内の不適切な行為を防ぐための教育や相談体制の整備が求められます。コンプライアンスを意識した経営を実行すれば、企業の健全な運営と安心して働ける職場環境を実現できます。


年末年始におけるコンプライアンスの重要性

年末年始は多忙な業務や特別なイベントが重なる一方で、気の緩みや不注意から法令違反や不正行為が発生しやすい時期です。たとえば、以下のようなコンプライアンス違反が年末年始に発生する可能性があります。
 
●飲み会での過度な接待や贈答品の受け渡しが贈収賄や利益供与と見なされる
●業務の繁忙を理由にした労働時間管理の不備で労働基準法違反となる
●忘年会や新年会での不適切な発言や行動がセクハラやパワハラと判断される
 
上記のような違反事例を防ぐためには、コンプライアンス遵守の徹底が重要です。企業は従業員に対して具体的なリスクを周知し、行動指針を明確に示す必要があります。


年末年始におけるコンプライアンスの具体的な対策

年末年始に起きやすいコンプライアンス違反に対する具体的な対策として、以下の5つがあげられます。
 
●贈答品・接待の適切な管理
●労働時間の管理
●情報セキュリティの強化
●ハラスメントの防止
●飲酒トラブル・運転の防止
 
上記の対策を実施して、年末年始のコンプライアンス違反を未然に防ぎましょう。


贈答品・接待の適切な管理

年末年始は取引先との間で贈答品や接待の機会が増える時期です。しかし、贈答品の受け渡しや接待が不適切な形でおこなわれると、贈収賄や利益供与などの法令違反につながるリスクがあります。たとえば、以下のような贈答品の受け渡し・接待は法令違反に問われる可能性があります。


法令違反に問われる例

概要

高額な贈答品の提供

取引先の担当者に高額な贈答品を渡した場合、金額の大きさによっては贈収賄と見なされる可能性がある。たとえば、通常の業務上のやり取りを超える高価な商品券やブランド品などを贈る行為は、不正な利益供与と疑われるリスクがある。

頻繁な接待

特定の取引先を繰り返し高額な接待に招待し、飲食費や娯楽費用を過剰に負担する場合、取引条件を有利にするための働きかけと見なされる可能性がある。公正な競争環境が損なわれると判断されるリスクが高まる。

取引先家族への贈りものや特別待遇

取引先担当者本人ではなく、家族に高額な贈答品を渡す・旅行や宿泊を手配する、などのケースも問題視される。贈収賄を隠蔽しようとする行為と見なされる可能性がある。

取引先の役員や公的機関関係者への贈答

公的機関の関係者や取引先の役員に対し、金銭や高価な品物を渡して契約の獲得や条件の変更を目指す行為も厳しく取り締まられる。


特に、企業が公務員に対して贈答品を提供した場合、渡した企業は贈賄罪、受け取った公務員は収賄罪に問われます。相手が民間企業であっても、華美過大な贈答品の提供や過度な接待は、取引の公正性を損なうものとして公正取引委員会から行政指導を受ける可能性があります。
 
そのため、企業は贈答品や接待に関するガイドラインを従業員に周知し、行動基準を明確にしましょう。たとえば、贈答品の金額上限や接待の頻度に関する規定を再確認して透明性を保つことが求められます。


労働時間の管理

年末年始の繁忙期には、業務量の増加により従業員の労働時間が長時間化する傾向があります。法律で定められた残業時間の上限を超えるなど労働基準法に違反する事態を招かないよう、企業は労働時間の管理を徹底する必要があります。
 
具体的には、シフトの調整や残業時間の記録を適切におこない、従業員が十分な休息を取れるような配慮が重要です。また、休暇の取得状況も確認して特定の従業員に業務が集中しないよう対策を講じましょう。従業員が健康的に働ける環境を整えれば、企業全体の生産性向上にも寄与します。


情報セキュリティの強化

年末年始の長期休暇中はオフィスに人がいない状況が増えるため、情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。具体的に考えられる情報セキュリティ関連のリスクは、以下のとおりです。


情報セキュリティに関して起こりうるリスク

概要

外部からの不正アクセス

長期休暇中はシステム管理者が常駐していないため、不正アクセスの検知や対処が遅れる可能性がある。たとえば、サーバーや社内ネットワークに対するサイバー攻撃が発生し、機密情報が流出するリスクが高まる。

フィッシング攻撃による情報漏洩

従業員が年末年始に届くフィッシングメールを見落とし、リンクをクリックする・ログイン情報を入力する、などによる個人情報や会社の認証情報が外部に漏れる。

紛失したデバイスによる情報漏洩

年末年始に従業員がノートPCやスマホを自宅にもち帰る際、紛失や盗難によりデバイス内の機密情報が流出する可能性がある。特に、暗号化が施されていないデバイスはリスクが高い。

内部関係者の不正行為

長期休暇中の人員減少を狙い、内部の関係者がシステムへの不正アクセスを試みるケースもありうる。権限管理が適切でない場合、重要データの改ざんやもち出しがおこなわれてしまう。


上記のようなリスクがあるため、年末年始に向けて社内システムのセキュリティ対策を強化しましょう。具体的には、社員が使用するデバイスのセキュリティ設定を確認し、パスワード管理の徹底や不要なアクセス権限の削除をおこないます。

また、不審なアクセスを検知するシステムの導入や利用しているクラウドサービスの安全性の確認も効果的です。加えて、長期休暇中の情報管理に関する注意喚起を従業員におこない、万全の体制でリスクに備えます。


ハラスメントの防止

年末年始は忘年会や新年会といったイベントが増える一方で、ハラスメントリスクも高まる時期です。特に、以下のような飲み会での不適切な発言や行動がセクハラやパワハラに発展するケースがあります。


飲み会でセクハラやパワハラに該当する事例

概要

身体的接触

忘年会や新年会で、相手の同意なく肩を抱く・身体に触れるなどの行為。たとえ軽い冗談のつもりでも相手に不快感を与える場合、セクハラと見なされる可能性がある。

外見に関するコメント

「今日は特別きれいだね」「その服装、セクシーだね」など、相手の外見や服装に触れる発言が不快感を与えて問題視される場合がある。

強制的な飲酒

上司や先輩が、部下や後輩に「飲めないなんて社会人失格だよ」「この場では飲むべきだ」と強制的にお酒を勧める行為。断る自由を奪うことは、パワハラに該当する。

過度な説教

飲み会の席で業務上の失敗について、長時間説教する・ほかの参加者がいるなかで厳しく叱責するなどの行為。相手の尊厳を傷つける行動と見なされる。


そのため、企業は従業員に対してハラスメント防止に関する教育を実施してイベント時の注意事項を共有しましょう。

たとえば、飲み会での言動に注意を払うよう求める・万が一問題が発生した際に速やかに相談できる窓口を設置する、などが効果的です。職場内外での安心安全な環境作りを徹底しましょう。


飲酒トラブル・運転の防止

年末年始はお酒を飲む機会が増える時期ですが、飲酒運転や飲酒トラブルのリスクも高まります。特に、飲酒運転は刑事罰が適用される可能性があり、酒気帯び運転と認められれば最大で3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。企業は従業員に対して、飲酒運転を絶対にしないよう強く注意喚起しましょう。
 
また、宴会後に帰宅手段が確保されているか確認し、必要に応じて代行運転サービスの利用を推奨することも有効です。さらに、宴会の場などでの暴力・ハラスメントなど飲み過ぎによるトラブルを防ぐために、適切な飲酒量を守るよう促す啓発活動もおこないましょう。

参考:飲酒運転の罰則等|警視庁


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年末年始に向けて今から実施すべきコンプライアンス関連の社内体制整備

年末年始に向けて今から実施すべきコンプライアンス関連の社内体制整備として、以下の3つがあげられます。
 
●コンプライアンス研修を実施する
●内部通報制度を周知させる
●緊急時対応のマニュアルを確認する
 
上記の対策を実施して、年末年始にコンプライアンス違反が起きないようにしましょう。


コンプライアンス研修を実施する

年末年始を迎える前に、従業員向けのコンプライアンス研修は社内の法令遵守意識を高めるために有効です。年末年始は業務の多忙さやイベントの増加でコンプライアンス違反が発生しやすいため、特にリスクの高い事例に焦点を当てた内容が求められます。
 
コンプライアンス研修では、先述した贈答品や接待の適切な範囲・ハラスメント防止策・情報セキュリティの基本などを具体的な事例を交えて説明します。さらに、従業員が自らの行動を振り返り、適切な判断ができるようケーススタディ形式の学習を取り入れることも効果的です。事前の意識づけによって、年末年始に向けた社内環境を整備しましょう。


内部通報制度を周知させる

年末年始は労働基準法違反やハラスメントなどのコンプライアンス問題が発生しやすい時期でもあります。上記の問題を早期に発見して適切に対処するためには、内部通報制度の活用が不可欠です。
 
従業員に対して制度の存在や利用方法を改めて周知し、問題発生時には躊躇なく通報できる環境を整備しましょう。具体的には、通報先の連絡方法・被害者の匿名性の保証・加害者による報復行為の禁止などを明確に伝えてください。
 
また、通報内容が確実に適切な部署へ届き、迅速に対応される体制になっているか、改めて確認しましょう。従業員が安心して通報できる環境は、企業の健全な運営を支える基盤となります。


緊急時対応のマニュアルを確認する

年末年始の長期休暇中には、情報漏洩や不正アクセスなどの緊急事態が発生するリスクが高まります。上記の事態に迅速かつ適切に対応するためには、緊急時対応のマニュアルを事前に確認しておくことが重要です。
 
マニュアルには、コンプライアンス違反事例が発生したときの初動対応手順・関係部署への連絡方法・外部機関との連携フローなどを明記しておきます。さらに、従業員全体に対してマニュアルの内容を周知させ、緊急時に備えたシミュレーションをおこない、実効性を高めることもおすすめです。


  諸規定が企業のトラブル回避に重要な理由とは | 株式会社エフアンドエム 働き方改革をはじめ、労働管理に関する法律が盛んに改正される中、企業が従業員とのトラブルを回避するためには、労務管理の基本となる就業規則や、雇用契約書などの諸規定の管理が重要となります。企業における諸規定の重要性について解説するページです。 株式会社エフアンドエム


まとめ

年末年始は多忙さやイベントの増加により、コンプライアンス違反が発生しやすい時期です。年末年始に向けて、贈答品や接待の適切な管理・労働時間の徹底した管理・情報セキュリティの強化・ハラスメント防止策などの実施が重要となります。
 
また、飲酒運転やトラブルを防ぐための従業員教育も欠かせません。コンプライアンス違反を未然に防ぐためにも、コンプライアンス研修の実施・内部通報制度の周知といった社内体制の整備が有効です。事前にリスクを想定して対応を徹底すれば、健全な企業活動と従業員が安心して働ける環境を守れます。
 
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