
コンプラ違反による倒産件数、初の300件超!会社を守るコンプラとは?
帝国データバンクによると、2023年の企業倒産のうちコンプラ違反を原因とする倒産件数がはじめて300件超となりました。粉飾や業法違反などのコンプラ違反は企業の存続を左右する可能性があるため、経営者は常に社内の法令遵守の姿勢を保つ必要があります。
本記事では、急増するコンプラ倒産の状況と対策について解説します。
目次[非表示]
- 1.コンプラ違反倒産件数は2年連続増加、初の300件超え
- 1.1.コンプラ違反倒産とは
- 1.2.コンプラ違反倒産件数は342件
- 1.3.違反内容は粉飾・業法違反が多い
- 1.4.助成金の不正受給は前年比約3倍
- 1.5.業種別ではサービス業が多い
- 2.不正発覚で会社が倒産する理由
- 2.1.消費者離れ
- 2.2.業務停止による業績悪化
- 2.3.金融機関の融資が厳しくなる
- 2.4.従業員の離職の増加
- 3.コンプラ違反倒産の事例
- 3.1.業法違反で営業停止、業績不振となった事例
- 3.2.不正発覚で資金繰りが破綻した事例
- 4.コンプラ違反倒産の防止は就業規則の見直しからスタート
- 5.会社を守るためのノウハウはF&M Clubを活用
コンプラ違反倒産件数は2年連続増加、初の300件超え
帝国データバンクの発表によると、2023年に発生した企業の倒産(負債総額1,000万円以上の法的倒産)のうち、342件がコンプライアンス違反による倒産であると報じています。
【引用】コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2023年)|帝国データバンク
コンプラ違反倒産とは
コンプラ違反倒産とは、意図的な法令違反や社会的な規範から逸脱した行為を原因とする倒産とされています。主な内容は決算の粉飾、運送業における過積載などの業法違反、脱税などです。
2023年の大型コンプラ倒産の事例(括弧内は負債総額)は次のとおりです。
- 堀正工業(283億円)
- 白井松器械(87億円)
- アペックス(92億円)
- 近畿用品製造(62億円)
コンプラ違反倒産件数は342件
2023年のコンプラ違反倒産件数は342件です。前年の2022年の272件からの増加件数は70件、25.7%の急増となり、2年連続で増加しています。
違反内容は粉飾・業法違反が多い
コンプラ違反倒産件数を違反内容別でみると、業法違反が最多の90件、粉飾が79件を占めています。

【参考】コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2023年)|帝国データバンクより作成
助成金の不正受給は前年比約3倍
最近数年間の特徴として不正受給による倒産件数が急増しており、2023年は29件となっています。
| 発生年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 
| コンプラ違反倒産件数 | 220件 | 200件 | 189件 | 272件 | 342件 | 
| うち業法違反 | 25件 | 27件 | 36件 | 51件 | 90件 | 
| うち粉飾 | 84件 | 62件 | 54件 | 60件 | 79件 | 
| うち不正受給 | 8件 | 11件 | 5件 | 10件 | 29件 | 
【参考】コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2023年)|帝国データバンクより作成
業種別ではサービス業が多い
コンプラ違反倒産件数を業種別でみると、サービス業が最多である90件、建築業が58件、運輸・通信業は55件と続いており、サービス業でのコンプラ違反倒産が目立ちます。
また運輸・通信業は、倒産件数に占める割合に比べてコンプラ違反による倒産件数が多いことが特徴です。
| 2023年 | 構成比 | 2023年 | 倒産件数 | |
| 建築業 | 1,671件 | 19.7% | 58件 | 17.0% | 
| 卸売業 | 955件 | 11.2% | 43件 | 12.6% | 
| 小売業 | 1,783件 | 21.0% | 50件 | 14.6% | 
| サービス業 | 2,099件 | 24.7% | 90件 | 26.3% | 
| 運輸・通信業 | 453件 | 5.3% | 55件 | 16.1% | 
| そのほか | 1,536件 | 18.1% | 46件 | 13.4% | 
| 合計 | 8,497件 | 100.0% | 342件 | 100.0% | 
【参考】全国企業倒産集計(2023年報)|帝国データバンク
【参考】コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2023年)|帝国データバンクより作成
不正発覚で会社が倒産する理由

不正行為の発覚が倒産に至る理由は次のとおりです。
消費者離れ
消費者のイメージが悪化し、製品やサービスを利用しなくなるため売上が急減することとなります。
業務停止による業績悪化
不正行為が業法違反となった場合、営業停止などの処分が下される場合があります。建築業における入札参加の停止、運送業における事業停止や車両使用停止などが代表例です。
社会的な反応が大きい違反や行政処分が重いほど、売上高の減少など業績へのダメージが大きくなります。
金融機関の融資が厳しくなる
業法違反や社会的な反響が大きい不正行為が起きた会社に対しては、金融機関の審査が厳しくなります。また急増している補助金・助成金の不正受給についても同様です。
法令遵守姿勢や内部統制に問題を抱えている会社であると金融機関から判断されると、融資が難しくなり資金繰りが悪化します。
従業員の離職の増加
真面目に働いていた従業員が会社に対して嫌気することがあります。また業績悪化による収入の減少を避けるための転職などが増加します。
社会的なイメージの低下による売上減少に加えて、従業員の離職に伴う人手不足により、生産量やサービスの低下に拍車がかかる可能性があります。
コンプラ違反倒産の事例

コンプラ違反によって会社が倒産することとなった事例は多くあります。その中でもわかりやすい事例として以下の例があげられます。
業法違反で営業停止、業績不振となった事例
- 
建築業 
 建設業法違反で公共工事への入札参加が困難に。民間工事主体に転換しようとするも同業他社との競争に勝てず、破産申し立て。
- 
介護業  
 ケアプランに沿った訪問介護をしていないにもかかわらず介護報酬を不正に請求。立入検査により不正が発覚して、介護事業者の指定の取消処分を受けて事業継続が困難に。
- 
運送業  
 車両停止の行政処分を受けて売上が急減。その間も取引先からの信用が回復せず、人手不足なども加わり、破産。
不正発覚で資金繰りが破綻した事例
- 堀正工業(民事再生を断念し、2023年7月破産)
 長年にわたり、赤字や売上減少を隠蔽するために決算書を粉飾。多数の金融機関ごとに複数の粉飾決算を作成するなど組織的な粉飾実行。その後に粉飾決算が発覚し、当初は民事再生に手続きによる事業継続を図ったものの、金融機関からの同意を得ることが難しく、破産を申し立て。
【参考】TSRデータインサイト 堀正工業(株)|東京商工リサーチ
コンプラ違反倒産の防止は就業規則の見直しからスタート

コンプラ違反は倒産につながる可能性があるため、経営者は違反の予防に努めることが重要です。
コンプラ違反を起こさせないための取組みは経営者が率先するとともに、社内のルールづくりからおこなうことがおすすめです。
就業規則で会社と従業員を守ることができます
社内ルールの基本である就業規則を整備します。
就業規則において従業員が守るべきルール、違反時の罰則などを明確に定めておくことで、不正への抑止効果が期待できます。例えばハラスメント行為を禁止する規則を明記することでハラスメント行為を予防し、社会的な規範から逸脱する従業員を除くことが可能です。
コンプライアンスを軽視する従業員を排除する仕組みづくりは、労務トラブルの防止や真面目な従業員を守ることに役立ちます。
最新の労働法にあわせた就業規則で人材採用がすすむ
就業規則だけでなく、マイカー通勤規定など関連するルールについても整備しておきましょう。社内規定を整備するときは、近年改正が相次いだ労働法にあわせた内容とする必要があります。
最新の労働法に則したルールを整備しておくことで従業員が安心して働くことができる職場環境を整えることができ、人材の定着や人材採用がすすむ効果が期待できます。
従業員への教育・研修を整備
コンプライアンスに関する従業員研修などをおこない、従業員1人1人にコンプライアンス意識を浸透させることが望ましいです。
またミスを防止するチェック体制の導入は、従業員の不正防止に役立ちます。
会社を守るためのノウハウはF&M Clubを活用
コンプライアンスリスクを抱えている企業は倒産リスクが高い企業と同じ意味です。自社のルールを整え、従業員のコンプラ意識の醸成と維持を図りましょう。
 
『自社の就業規則のどこを見直せばいいかわからない』
『従業員への研修の準備が大変、社外に依頼したい』
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