会社が倒産する際に必要な手続きとは?流れや避けるためのポイントを解説
会社が倒産してしまう場合には、必要な手続きを踏まなければなりません。設立に手続きがあるように、倒産する際にも手続きが定められています。ただ、どのような方法で倒産するかによって、具体的な手続きや流れが大きく異なるため注意しなければなりません。今回は倒産の手続きや倒産しないためのポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.会社が倒産するとは
- 2.一般的な倒産は破産手続きを指す
- 2.1.弁護士への相談
- 2.2.債権者への通知
- 2.3.従業員の解雇やテナントの解約
- 2.4.必要書類の準備と裁判所への申し立て
- 2.5.破産管財人による資産の売却
- 2.6.債権者集会の開催と債権者への配当
- 3.破産以外に該当する倒産の手続き
- 4.会社の倒産を避けるために必要な3つのポイント
- 4.1.キャッシュフローを常に把握する
- 4.2.補助金・助成金を使って支出を抑える
- 4.3.必要に応じて資金を調達する
- 5.倒産手続きとは無縁の体制作りに向けてF&MClubをご活用ください
- 6.まとめ
会社が倒産するとは
会社が倒産すると表現されることは多いですが、実は法律で定められた用語ではありません。一般的に、経営が行き詰まり資金繰りに問題が生じた状況や弁済すべき債務が弁済できない状況を倒産と呼びます。以下で詳しく解説しますが、倒産にはいくつものパターンがあるため注意しなければなりません。会社が倒産するといえば、以下3つのどれかに該当します。
- 金融機関から取引停止処分を受ける
- 内整理する
- 裁判所に何かしら倒産に該当する手続きを申請する
一般的な倒産は破産手続きを指す
一般的に会社が倒産するといえば「破産手続き」を進めることを指します。この場合の流れについて解説すると以下のとおりです。
弁護士への相談
破産手続きには専門的な知識が必要になるため、専門家である弁護士の支援を受けるべきです。そのため、まず破産したい旨を弁護士へ相談し、適切な支援を受けるようにしましょう。なお、今回は破産を前提に解説しますが、弁護士へ相談することによって、破産以外の方法が最善であると提案されるかもしれません。
債権者への通知
後ほど債権者に集まってもらう必要があるため、破産する前について債権者へ通知する必要があります。倒産すると、予定通りの支払いができなくなる可能性が高いため、それらについても同時に伝えなければなりません。
ただ、倒産する事実を事前に知られてしまうと、弁護士が準備するよりも先に債権者が何かしら要望を出してくる可能性があります。このような状況に陥ると、破産手続きがスムーズに進みません。そのため、債権者への通知は必要となりますが、弁護士とともに事前準備が整ってから対応することが重要です。
従業員の解雇やテナントの解約
従業員の解雇やテナントの解約作業も必要です。破産手続きを進める際は、従業員を解雇しておかなければならないため、手続きの直前に解雇しましょう。手続きに向けて、従業員に支援してもらう可能性もあり、とにかく早く解雇しておけば良いとは言い切れません。
ただ、雇用している限りは人件費が発生するため、その点は考慮した方が良いでしょう。また、テナントの解約には一定期間を要する可能性があります。契約条件についても詳細を確認し、必要に応じて弁護士へ貸主との相談を依頼すべきです。
必要書類の準備と裁判所への申し立て
破産を申し立てする際には、裁判所へ書類を提出しなければなりません。弁護士の支援を受けながら、これら必要な書類を準備していきましょう。会社の登記簿謄本や決算書、破産の申し立てが必要になった理由を書面にしたものなどが必要です。書類の準備が整えば、裁判所へ提出します。
仮に、破産手続きを弁護士へと依頼していても、弁護士ではなく経営者が作成しなければならない書類があります。書類作成が遅れると裁判所への申し立ても遅れるため、書類作成の不明点は速やかに弁護士へと確認しましょう。
破産管財人による資産の売却
裁判所が会社の破産手続きを認めたならば、破産管財人と呼ばれる人が裁判所より選任されます。これは、会社の倒産手続きを支援する弁護士ではなく、まったく関係のない第三者の弁護士です。破産管財人が選任され手続きが開始されると、会社が持つ財産の管理権は破産管財人へと移ります。
なお、会社の資産に売却できるものや回収できる債権があると、破産管財人がこれらを現金化したり回収したりします。可能な限り債権者に対して支払いする必要があるため、可能な限り支払いに当てやすい現金にしておかなければなりません。現金化に際して何かしら契約上の問題がある場合は、破産管財人が先方と交渉し現金化を試みます。
債権者集会の開催と債権者への配当
破産手続きが認められると、裁判所から債務者に対して手続きが開始された旨が通知されます。通知を受け取った債権者は、自社の債権について届け出し、少しでも債権を回収できるように権利を主張するという流れです。権利を主張した場合は、債権者集会へと参加できます。
債権者集会は裁判所で開催され、破産管財人から会社に残った現金の額などについて報告されます。また、申告された債権が実在するかを確認し、その確認結果についても報告されることが一般的です。
なお、破産管財人は税金や社会保険料、未払い賃金などから支払いしなければなりません。これらを差し引いて現金が残る場合、その他の債権者に配当します。そのため、債権の存在を主張しても、現金が不足することで配当を受けられない可能性もあります。
破産以外に該当する倒産の手続き
倒産といえば破産手続きを指すことが一般的ですが、その他にも以下のような手続きが該当します。
民事再生
民事再生とは、経済的に困難な債務者が、経営再建に向けて法的な支援を受けるための手続きを指します。自力での再建が難しく倒産には該当しますが「再建型」と呼ばれるものに分類されることが特徴です。民事再生法に基づく措置が認められる場合、債権者と合意することで債務の一部が免除されたり弁済までの期間が延長されたりします。その間に経営の再建を目指し、最終的に弁済を目指す制度です。
会社更生
会社更生は、民事再生と同様に会社の債権について、債権者の合意を受けて免除・弁済の延長を目指す制度です。民事再生は個人でも利用できますが、会社更生は法人しか利用できません。また、民事再生は経営者が会社の再生へと向けて先陣を切りますが、会社更生の場合は裁判所が選任する更生管財人が手動する仕組みです。
特別清算
特別清算は、債務超過に陥った場合に会社を清算するための手続きを指します。裁判所への申請が必要であり、破産手続きに似たものですが、準備さえ整えばスムーズに倒産手続きが完了することが特徴です。なお、特別清算は株式会社しか利用できません。
破産手続きとは異なり、特別清算では債権者の同意が必要とされます。協定型の特別清算を申請するためには、債権者の3分の2以上が同意しなければなりません。同意を得られればスムーズに手続きを進められますが、同意してもらえないことも多く、この部分が倒産手続きを進められるか左右しがちです。
会社の倒産を避けるために必要な3つのポイント
会社の倒産を避けるためには、3つのポイントを意識しておかなければなりません。
キャッシュフローを常に把握する
会社が倒産する背景には、キャッシュフローの悪化が考えられます。言い換えると、キャッシュフローを常に把握しておけば、支払いに窮する状況を回避できるはずです。
キャッシュフローを簡単に把握できるようにするためには、キャッシュフロー計算書を作成しなければなりません。損益計算書だけではキャッシュフローを把握できないため、別の資料を用意すると認識しましょう。少し手間はかかりますが、これを作成しておくことで倒産を回避しやすくなります。
補助金・助成金を使って支出を抑える
補助金や助成金を活用して、支出を抑えることも有効な手段です。例えば、大規模な設備投資が負担になるならば「ものづくり補助金」などを活用することが考えられます。支出の一部を支援してもらえる制度であるため、自己負担が少なくなり倒産を回避することにつなげられるでしょう。
ただ、補助金や助成金は申請すればすぐに受け取れるものではなく、申請してから時間を要します。また、申請内容によっては受け取れない可能性もあるため注意が必要です。
必要に応じて資金を調達する
キャッシュフローに問題が生じ倒産する可能性があるならば、資金を調達しておくことが重要です。例えば、金融機関に相談して融資を受けることで、倒産を回避できるかもしれません。また、将来性の明るい事業ならば、投資を依頼する選択肢もあります。方法によっては時間を要しますが、現金を確保しておけば倒産せずに済むことも多いでしょう。
倒産手続きとは無縁の体制作りに向けてF&MClubをご活用ください
経営者はキャッシュフローを常に把握する必要がありますが、日頃の会社運営でそのような余裕がないこともあるでしょう。素早くキャッシュフローを確認できない状況に、不安を感じる方は多いのではないでしょうか。そのような場合は、キャッシュフロー計算書の作成などを支援すF&MClubへご相談ください。F&Mクラブは、累計38,000社の中小企業様を支援した実績をもつエフアンドエムが提供する、バックオフィス支援サービスです。月額3万円(税別)で、企業様の抱える課題や目的に応じた、財務・労務・採用・IT活用などの34コンテンツがすべて使い放題です。
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まとめ
倒産とは法的に定められた事象ではありませんが、一般的には破産手続きを指します。また、破産以外にも民事再生や会社更生、特別清算などが考えられるため、これらの手続きについても解説しました。どの手続きが最善であるかは状況によるため、弁護士など専門家の意見を伺うことが大切です。
ただ、倒産はキャッシュフローの悪化が営業して怒ってしまうものです。もし、何かしらキャッシュフローの不安を感じるならばF&MClubへご相談ください。事前に対処しておくことで、倒産とは無縁の安定した基盤作りを実現できます。