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取引先が倒産すると売掛金はどうなる?対応や事前の対策を解説

企業間取引は売掛金が発生しますが、この時に注意しなければならないことが取引先の倒産です。売掛金は将来的に入金されるお金であるため、倒産した場合にどのような扱いになるか心配になる経営者は多いでしょう。今回は、取引先が倒産した場合に売掛金がどうなるかと万が一に備えた事前の対策について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.取引先が倒産すると売掛金はどうなるのか
  2. 2.取引先が倒産した場合に受ける2つの影響
    1. 2.1.売掛金の未回収
    2. 2.2.資金繰りの悪化による連鎖倒産
  3. 3.売掛金のある取引先が倒産した場合の4つの対応
    1. 3.1.債務の相殺
    2. 3.2.商品の引き上げ
    3. 3.3.担保権の行使
    4. 3.4.債権譲渡
  4. 4.取引先の倒産に備える3つの対策
    1. 4.1.契約書への記載
    2. 4.2.相殺権の合意
    3. 4.3.担保の提供
  5. 5.連鎖倒産を避ける資金繰りのためにF&MClubをご活用ください
  6. 6.まとめ


取引先が倒産すると売掛金はどうなるのか

取引先が倒産した場合でも、無条件に売掛金が消滅するわけではありません売掛金は債権の一種であるため、仮に取引先が倒産したとしても、請求する権利を有したままですまた、取引先は倒産する状況においても、売掛金などの債務を果たす義務があります
ただ、これはあるべき姿であり、実際には売掛金を回収できないケースが大半です。取引先は資金繰りに問題が生じて倒産するため、請求する権利を有していても、支払いに充てるお金がなければ対応できません。債権者が集まり、資産の分配について協議することはありますが、協議しても売掛金の全額を回収できることはほぼないと考えるべきです。


取引先が倒産した場合に受ける2つの影響

取引先が倒産すると、必然的に影響を受けてしまいます。考えられる中で特に大きな内容は以下の2つです。


売掛金の未回収

冒頭で触れたとおり、取引先が倒産すると、売掛金を回収できない可能性が高まります売掛金を決して回収できないとは言い切れませんが、全額の回収は不可能であると考えましょう。状況によって、部分的に回収できる可能性があります。
売掛金を回収できない理由は、社会保険や税金、従業員の賃金など、優先的に支払われるものがあるためです。売掛金を回収したいと考えることは当たり前ですが、これらの支払いが終わった後に資産が残っているケースに限られます。倒産するということは、資金繰りに問題が生じているため、資産が残る可能性は低いと考えた方が良いでしょう。


資金繰りの悪化による連鎖倒産

取引先から売掛金が回収できないと、自社の資金繰りが悪化します。売掛金の額や取引先への依存度合いで変化しますが、影響を受けないということはほぼないでしょう。最悪の場合、資金繰りが悪化して連鎖倒産することになりかねません。
特に、倒産した取引先との売掛金が大きい場合、資金繰りが急激に悪化します。金融機関への返済や仕入先への支払いが迫っているならば、これに対応できなくなるかもしれません。早急に手を打たなければ同じく倒産を迎えることになります。


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売掛金のある取引先が倒産した場合の4つの対応

売掛金を回収していない取引先が倒産したならば、以下の対応をそれぞれ検討しなければなりません。


債務の相殺

取引先との間に、売掛金と買掛金があるならば、これらの債務を相殺できないか確認してみましょう一般的には、お互いに現金をやり取りしますが、倒産した場合は売掛金を相殺処理します。
売掛金と買掛金を相殺処理する場合は、相殺領収書を発行するなどのやり取りが必要です。ただ、取引先が倒産している場合、本来は必要とされる手続きが難しいかもしれません。顧問税理士などの専門家に相談して、適切な方法で会計処理する必要があります。


商品の引き上げ

販売してもらう予定の商品を預けているならば、これらを引き上げしなければなりません倒産が決まっている状態で、商品が減少すると売掛金がさらに増加してしまいます。回収できない金額が増えることになりかねないため、早急に対応しましょう。
ただ、取引先に預けている状態でも、勝手に持ち出すと罪に問われるかもしれません。持ち出す旨を取引先へと伝え、許可を受けてから持ち出すようにしましょう。可能であれば、書類やメールで持ち出しを許可してもらった旨を記録しておくべきです。


担保権の行使

事前に担保が設定されているならば、担保を回収する担保権を行使しましょう。これを行使することで、取引先が倒産してもスムーズに担保を入手できます。仮に現金の支払いがなかったとしても、担保が手に入ることで金銭的な被害を減らせる仕組みです。
なお、担保権を行使する際は、その事実を相手側に伝えなければなりません。ただ、相手側の同意を得る必要はなく、倒産などに備えて事前に合意できていれば、通知だけで行使が可能です。


債権譲渡

取引先が売掛債権を有しているならば、それを譲渡してもらう選択肢があります。事前に、売掛債権を譲り受けていれば、取引先に代わって売掛金の受け取りが可能です。自社の売掛金を回収できなくても、取引先の売掛先に入金される予定の売上を回収できれば、取引先からの支払いに代えられます。
ただ、倒産の手続きが進んでしまうと、取引先が保有する売掛債権は破産管財人の管理へと移行されてしまいます。この状況になると、売掛金を回収できていないからといって、債権を譲渡してもらうことは不可能です。破産管財人が主体となって現金化を進めるため、現金化の完了後に債権者に対して配当があるかどうか通知されます。


取引先の倒産に備える3つの対策

取引先の倒産は、自分たちでは避けられない部分です。そのため、万が一に備えた対策を取り入れていかなければなりません。


契約書への記載

取引先の倒産に備えて、万が一についての取り決めを契約書に記載しておくと良いでしょう。一般的に、倒産時であっても、基本契約書や個別契約書の内容が重視されます。そのため、これらに適切な記載を含めることで、倒産に備えたリスクヘッジが可能です。
例えば、契約書へ倒産時は保証人に売掛金を支払ってもらう旨を明記すれば、万が一の時も素早く行動が可能です。具体的な連絡先なども提示してもらうことで、仮に倒産して取引先と連絡が取れなくなっても、保証人とは連絡が取れる可能性が高まります。
他にも、以下で解説するとおり、事前に担保を設定してもらうことが可能です。ただ、担保があっても契約書に明記されていなければ、どのような権利関係か明確になりません。倒産に備えた取り決めについては、すべて契約書に明記しておくことが重要です。


相殺権の合意

取引先と、お互いに売掛金・買掛金があるならば、相殺権を合意しておくと良いでしょう。一方的に売掛金がある場合は利用できませんが、買掛金もある場合は事前に契約を結んでおきます。
相殺権を合意していると、万が一取引先が倒産しても、意思表示するだけで相殺の手続きが可能です。本来は上記で解説したとおり、債務を相殺する際に、適切な手続きを踏まなければなりません。しかし、事前の合意があれば、手続きを簡略化してスムーズに進められます
ただ、厳密に売掛金を相殺できるタイミングは、売掛金の弁済期のみです。これから支払ってもらう予定の売掛金ではあるものの、現時点で弁済期に入っていないならば、相殺ができません。そのため、相殺権について合意する際は、弁済期が到来しているかどうかを問わず相殺できるように取り決めましょう。


担保の提供

現金での支払いができない場合に備え、担保を提供してもらうことが可能です。例えば、取引先の工場で利用している機材など、売掛金相当額の物品を担保とします。万が一、倒産して支払いが難しくなったならば、いち早く担保を提供してもらうという仕組みです。また、事前に担保となるものを提供してもらい、売掛金の支払いがあれば返却する流れも考えられます
担保の設定は、売掛金を回収できない場合でも資産を確保できるため、有用な方法です。ただ、契約書で担保を設定していても、取引先が倒産による破産手続きを裁判所に申請した結果、提供を否認される場合があります。この場合、担保として提供されたものは一旦返却して、債権者集会などで権利を主張しなければなりません。


連鎖倒産を避ける資金繰りのためにF&MClubをご活用ください

取引先が倒産し、売掛金を回収できないことに不安を感じた方は多いと考えられます。自分たちで防ぐことが難しく、売掛金がある取引先の倒産でも受け入れるしかありません。ただ、万が一に備える手立てはあるため、自社に取り入れたいならばF&MClubへご相談ください。
F&MClubは、累計38,000社の中小企業様を支援した実績をもつエフアンドエムが提供する、バックオフィス支援サービスです。月額3万円(税別)で、企業様の抱える課題や目的に応じた、財務・労務・採用・IT活用などの34コンテンツがすべて使い放題です。
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まとめ

取引先が倒産すると、売掛金の回収が難しくなることについて解説しました。不可能とは言い切れませんが、事前に対策していないと全額の回収はほぼ望めません。ただ、事前に対策しておくことによって、金銭的な被害を最小限に抑えられる可能性はあります
また、取引先が倒産して売掛金を回収できないと、資金繰りの悪化によって連鎖倒産する可能性があります。これを防ぐためには、経営者として常に余裕を持った資金繰りを実現しなければなりません。F&MClubは、資金繰りに余裕を持たせるためのサポートを提供しているため、不安を感じているならば是非ともご相談ください

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