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倒産を回避する方法は?事前に確認しておきたいポイントも紹介

「まさか自分の会社が倒産なんて……」と思っていた企業が突然、資金繰りに行き詰まって事業継続が困難になるケースは珍しくありません。市場環境の変化や経営判断ミスなど、倒産の引き金となる要因は数多く潜んでいます。
 
本記事では企業が倒産に至る主な原因や関係者への影響、そして事前に取るべき具体的な対策をわかりやすく解説します。本記事を読めば、資金繰りの改善・コスト削減など倒産を回避するのに的確な方法を実践できるようになります。倒産しないためのリスク管理方法を学び、企業経営を安定的に継続させましょう。

目次[非表示]

  1. 1.倒産とは
    1. 1.1.破産・廃業との違い
    2. 1.2.倒産の種類
  2. 2.企業が倒産する主な原因
    1. 2.1.販売不振
    2. 2.2.財務状況の悪化
    3. 2.3.経営判断のミス
    4. 2.4.連鎖倒産
  3. 3.倒産が関係各所に与える影響
    1. 3.1.従業員に与える影響
    2. 3.2.取引先に与える影響
    3. 3.3.経営者に与える影響
  4. 4.倒産を回避するために確認しておきたいポイント
    1. 4.1.営業利益が十分にあるか
    2. 4.2.資金に余裕があるか
    3. 4.3.固定費を削減できるか
    4. 4.4.経営方針を転換できるか
    5. 4.5.新規融資を受けられるか
  5. 5.倒産を回避するために企業がおこなうべき対策
    1. 5.1.コスト削減など資金繰りの改善に取り組む
    2. 5.2.売上増加のため事業内容の改善に取り組む
    3. 5.3.金融機関と返済期限などの交渉をおこなう
    4. 5.4.M&Aを実施する
    5. 5.5.専門家に相談する
  6. 6.まとめ


倒産とは

倒産とは企業が経済的に行き詰まり、債務の返済が困難となって事業の継続が不可能になる状態を指します。具体的には、資金繰りの悪化や売上の減少などにより、借入金や仕入れ代金の支払いが滞る状況です。
 
上記のような状態に陥ると、企業は法的手続きや自主的な整理を通じて債務の整理や事業の再建、または清算をおこなう必要があります。なお、倒産は経営の終わりを意味する場合もありますが再建を目指す手続きも存在するため、必ずしも企業の消滅を意味するわけではありません。
 
企業が倒産に至る原因は多岐にわたり、経営判断の誤りや市場環境の変化、外部要因などが複合的に影響します。倒産を防ぐためには早期の経営改善や資金調達の見直し、専門家の助言を受けるなどの適切な対策を講じることが重要です。また、万が一倒産に至った場合でも適切な手続きを踏むことで関係者への影響を最小限に抑えられます。


破産・廃業との違い

倒産と破産・廃業は似たような意味で使われるケースがありますが、それぞれ異なる概念です。破産は企業や個人が債務の返済が不可能となり、裁判所に申し立てて法的な手続きを経て財産を清算する行為を指します。
 
一方、廃業は経営者の意思で事業を終了することであり、必ずしも債務超過や支払い不能が原因ではありません。つまり、廃業は経営上の判断であり、法的な手続きを伴わない場合もあります。倒産は上記に示した破産・廃業の状況を含む広い概念で、経済的な理由で事業の継続が困難になる状態全般を指します。


倒産の種類

倒産には、大きく分けて「法的整理」と「私的整理」の2種類があります。

項目
法的措置
私的整理

手続きの主体

裁判所が関与し、法令に基づいて進行する

債権者と債務者の任意の協議により進行する

法的強制力

強制力があり、全債権者に対して効力をもつ

強制力はなく、合意した債権者のみに効力をもつ

主な手続きの種類

破産、民事再生、会社更生、特別清算など

任意交渉、私的整理ガイドライン、事業再生ADRなど

「法的整理」は裁判所の関与のもと法律に基づいて債務の整理や事業の再建、清算をおこなう手続きです。具体的には、破産手続きや民事再生、会社更生、特別清算などが法的整理に含まれます。
 
一方、「私的整理」は裁判所を介さずに債務者と債権者が自主的に協議して債務の整理をおこなう方法です。私的整理には、任意交渉・事業再生ADRを利用する方法などがあります。
 
法的整理は法的拘束力があって債権者全体に対して効力をもちますが手続きが公開されるため、企業の信用に影響を与える可能性があります。私的整理は非公開で柔軟な対応が可能ですが、全債権者の同意が必要で合意が得られない場合には手続きが進まないケースもあります。


企業が倒産する主な原因

企業が倒産する主な原因として、以下の4つがあげられます。
 
●  販売不振
●  財務状況の悪化
●  経営判断のミス
●  連鎖倒産
 
上記の倒産原因に対しては、常日頃から対策を講じておきましょう。


販売不振

販売不振は企業の倒産原因として最も多く、帝国データバンクの調査によれば、2024年に倒産した企業全体の82.4%を占めています。販売不振は商品やサービスの売上が減少して収益が確保できなくなる状態で、要因は競合他社の台頭や市場ニーズの変化、製品の陳腐化などさまざまです。
 
また、顧客の購買意欲の低下や経済状況の悪化も影響し、販売不振が続くと企業は固定費の支払いが困難になって赤字が拡大します。長く赤字の状態が続けば、資金繰りが悪化して最終的には倒産に至る可能性が高いです。販売不振を防ぐためには市場動向の把握や製品・サービスの改善が必要で、販売戦略の見直しや新規市場の開拓も効果的です。

参考:倒産集計 2024年 12月報|株式会社 帝国データバンク


財務状況の悪化

財務状況の悪化は企業の倒産リスクを高める要因で、資金繰りの悪化や過剰な借入、資本不足などで企業の財務基盤が脆弱になる状態です。資金繰りが悪化すると仕入れや人件費の支払いが困難になって事業の継続が危ぶまれ、過剰な借入は利息負担を増加させて利益を圧迫します。
 
財務上の問題が複合的に発生すると企業は信用力を失い、資金を調達できなくなって倒産のリスクが高まります。財務状況の悪化を防ぐためには適切な資金管理やコスト削減が必要で、財務諸表の定期的な分析や専門家の助言の活用も有効です。


経営判断のミス


経営判断のミスは企業の倒産リスクを高める要因であり、「市場の変化を見誤る」「過剰な設備投資をおこなう」などで経営資源が無駄に消費されます。また、新規事業への進出や多角化戦略が失敗すると収益の柱を失って経営が不安定になり、競合他社の動向を軽視した結果でシェアを奪われるケースも多いようです。
 
経営者は常に市場の動向を注視して慎重な判断を下すことが求められ、専門家の意見を取り入れながらリスクを最小限に抑える行動が大切です。経営判断のミスを防ぐためには情報収集と分析を徹底し、過去の失敗事例から学んで同じ過ちを繰り返さないよう努めるべきです。


連鎖倒産


連鎖倒産とは取引先企業の倒産が引き金となり、自社も経営困難に陥る現象です。特定の取引先に依存している場合、当該企業の倒産により売上が激減して資金繰りが悪化します。
 
また、未回収の売掛金が焦げ付くことで財務状況がさらに悪化し、短期間で経営破綻に至る可能性が高まります。連鎖倒産を防ぐためには取引先の分散が重要で、複数社と関係を築いて1社の倒産による影響を最小限に抑える取り組みが必要です。売掛保証サービスの利用や信用調査の徹底も有効な対策であり、取引先の経営状況を定期的に確認してリスクの兆候を早期に察知する必要もあります。


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倒産が関係各所に与える影響


倒産が関係各所に与える影響として、以下3つのパターンに分けて紹介します。
 
●  従業員に与える影響
●  取引先に与える影響
●  経営者に与える影響
 
上記の影響を把握して、関係各所への悪影響を最小限に抑えましょう。


従業員に与える影響


企業が倒産すると従業員は突然職を失って生活基盤が脅かされ、給与や退職金の未払いが発生するケースもあります。上記のような場合、未払い賃金立替払制度を利用して一定の補償を受けることが可能です。
 
また、失業保険の手続きや社会保険の切り替えなど迅速な対応が求められます。従業員は精神的なショックを受けて再就職活動に不安を感じるため、企業側は説明会を開催して解雇や手続きについて丁寧に説明しましょう。従業員の生活再建を支援するため、ハローワークなどの公的機関と連携して再就職支援をおこなうことも重要です。


取引先に与える影響


企業の倒産で売掛金の回収が困難になると、取引先の資金繰りが悪化する可能性があります。また、倒産企業を主要な供給元としている取引先は代替調達先の確保が難しく生産活動に支障をきたすケースもあります。
 
取引先は倒産企業の破産手続きにおいて債権者としての対応が求められ、債権届出や担保権の行使など法的手続きを適切におこなう必要があります。また、自社の信用力を維持するために金融機関やほかの取引先への説明責任を果たさなければなりません。


経営者に与える影響


企業が倒産すると、まず連帯保証人としての責任を問われて個人資産の差し押さえや自己破産を余儀なくされるケースがあります。自己破産をした場合は一定の財産を除き、資産は処分されるケースが一般的です。
 
また、破産手続き中は郵便物の開封や居住地の制限など生活に制約が生じます。加えて、破産情報が信用情報機関に登録され、一定期間クレジットカードの利用や新たな借入が制限されます。経営者の破産は精神的な負担も大きく、再起を図るためには専門家の支援や家族の理解が不可欠です。


倒産を回避するために確認しておきたいポイント


倒産を回避するために確認しておきたいポイントとして、以下の5つがあげられます。
 
●  営業利益が十分にあるか
●  資金に余裕があるか
●  固定費を削減できるか
●  経営方針を転換できるか
●  新規融資を受けられるか
 
常日頃から上記のポイントを確認し、倒産を未然に防ぎましょう。


営業利益が十分にあるか


営業利益は企業の本業による収益力を示す重要な指標で、十分に確保できていない場合は持続的な成長は難しくなります。営業利益の低下は売上の減少や原価の増加、販売費や一般管理費の増大などが原因となり、要因を分析して改善策を講じることが必要です。
 
たとえば、コスト削減や価格戦略の見直し、新規顧客の獲得などが改善策としてあげられます。また、営業利益率を業界平均と比較して自社の収益性を客観的に評価するなども有効です。


資金に余裕があるか


企業の倒産原因として資金繰りの悪化があげられ、黒字経営であっても手元資金が不足すると支払い不能に陥る可能性があります。黒字倒産を防ぐためには資金の流れを正確に把握し、適切な資金管理をおこないましょう。
 
 
具体的には、売掛金の回収サイトを短縮して支払いサイトを延長するなどの調整が有効です。また、資金繰り表を作成したうえでの将来の資金需要予測も大切で、予期せぬ支出に備えて一定の資金余裕を確保しておくことも望まれます。


固定費を削減できるか


固定費の削減は、企業の収益性を向上させて倒産リスクを軽減する効果があります。固定費には人件費や家賃、光熱費などが含まれ、費用を見直して無駄を排除しましょう。
 
たとえば、人件費の適正化やオフィスの縮小、電気代の削減などが支出削減の方法としてあげられます。また、定期的に固定費の見直しをおこなって必要に応じて調整することも効果的です。


経営方針を転換できるか


経営環境の変化に柔軟に対応するためには経営方針の見直しが不可欠で、市場のニーズや競合状況が変化するなかで従来の戦略が通用しなくなるケースがあります。上記のような場合、倒産を防ぐためにも現状を客観的に分析して新たな方向性を模索しましょう。
 
方針転換を成功させるためには、まずステークホルダーへの影響を可視化してリスクとメリットを明確にする必要があります。そのうえで、変更の背景や意図を丁寧に説明して従業員や取引先の理解と協力を得ることも必要です。


新規融資を受けられるか


資金繰りの安定は企業経営の基盤となる要素で、新規融資を受けると運転資金や設備投資の資金を確保して事業の継続や拡大を図りやすくなります。融資を受ける際には事業計画書の作成が必要で、事業の概要・収益見込み・資金の使途などを明確に記載し、金融機関に対して事業の将来性を示さなければなりません。
 
 
なお、日本政策金融公庫などの公的機関では創業者向けの融資制度が整備されており、無担保・無保証人での融資が可能な場合もあります。さらに、信用保証協会の保証を付けると民間金融機関からの融資も受けやすくなります。新規融資を受けるためには事前の情報収集と準備が不可欠で、専門家のアドバイスを受けながら適切な融資制度の選択と申請手続きを進めましょう。



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倒産を回避するために企業がおこなうべき対策

倒産を回避するために企業がおこなうべき対策として、以下の5つがあげられます。
 
●  コスト削減など資金繰りの改善に取り組む
●  売上増加のため事業内容の改善に取り組む
●  金融機関と返済期限などの交渉をおこなう
●  M&Aを実施する
●  専門家に相談する
 
上記5つの対策を講じて、企業の倒産を未然に防ぎましょう。


コスト削減など資金繰りの改善に取り組む


資金繰りの改善は倒産を防ぐための最優先課題で、まず固定費の見直しをおこなって無駄な支出を削減します。たとえば、オフィスの賃料交渉や光熱費の節約などが支出削減の方法としてあげられます。
 
また、遊休資産の売却も資金繰りの改善に有効な手段で、維持コストの削減と資金の確保が可能です。さらに、売掛金の早期回収や支払いサイトの延長などキャッシュフローの改善策を講じる必要もあります。


売上増加のため事業内容の改善に取り組む


売上の増加は企業の存続に直結する重要な要素で、まず既存商品の品質向上やサービスの改善を図ります。商品・サービスの品質改善によって顧客満足度が向上し、リピート率が増加して収益を確保しやすくなるためです。
 
また、オンライン販売の導入や海外市場への進出など新たな市場の開拓や新製品の開発も検討しましょう。さらに、マーケティング戦略の見直しやブランド力の強化も売上増加・収益確保のうえで重要です。


金融機関と返済期限などの交渉をおこなう


資金繰りが厳しい場合は金融機関との交渉は避けて通れず、まずは返済条件の見直しを申し出ます。具体的には返済期限の延長や返済額の減額などが考えられ、一時的な資金繰りの改善が期待できます。
 
なお、返済条件の交渉をおこなう際は事前の準備が不可欠で、財務状況の把握や改善計画の策定が求められます。さらに、税理士など専門家の助言を受けて金融機関との交渉を有利に進めることも効果的です。


M&Aを実施する


M&A(合併・買収)は経営再建や事業継続の有効な手段で、特に資金繰りが厳しい場合や後継者不在の企業にとって新たな可能性を開く選択肢です。M&Aを成功させるためには、まず自社の強みや課題を明確にして適切な買い手企業を選定する必要があります。
 
買い手候補の選定にはロングリストの作成から始まり、評価項目に基づく絞り込みを経てショートリストを作るプロセスが一般的です。また、買い手企業との交渉においては複数の手法があり、相対方式は1対1で交渉を進める方法で機密情報の漏洩リスクが低く、スピーディーな進行が可能です。
 
一方、入札方式は複数の買い手候補と同時に交渉を進める方法で、より好条件を引き出せる可能性があります。M&Aの実施には法務・財務・税務などの専門的な知識が求められるため、専門家のサポートを受けることが成功の鍵です。


専門家に相談する


経営の危機に直面した際は、専門家への相談が倒産回避の第一歩です。たとえば、弁護士や公認会計士、税理士などは企業の財務状況や法的リスクを客観的に分析し、最適な解決策を提案してくれます。
 
また、資金繰りの改善策や債務整理の方法、M&Aの実施可否など多岐にわたるアドバイスを受けられます。専門家は金融機関との交渉や法的手続きにおいても企業をサポートし、早期に相談すると問題の深刻化を防いで迅速な対応が可能です。


まとめ


企業の倒産は販売不振や資金繰り悪化、経営判断ミスなど複合的な要因で突然訪れます。倒産の影響は従業員や取引先、経営者にまで及ぶため早期の対策が不可欠です。
 
営業利益や資金余力の確認、固定費削減・事業改善・M&Aの活用・金融機関との交渉など多角的に対策して倒産リスクを回避できます。本記事を参考に倒産を未然に防いで、安定的に収益をあげられる事業体制へと転換させましょう。
 
なお、財務面を改善して倒産を未然に防ぎたい企業は「F&MClub」の利用がおすすめです。「F&MClub」は中小企業のバックオフィス業務を総合的にサポートしており、財務・資金調達に関しては以下のサービスを提供しています。
 
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