リファイナンスで倒産リスクを避けるには?リスケジュールは最終手段
コロナ禍が企業業績に悪影響を及ぼしています。東京商工リサーチによると、2023年の新型コロナウイルス関連破たんは3,201件であり、前年から4割の増加となりました。
昨今の社会的動向により、企業経営者は事業運営にあたり厳しい舵取りが求められています。経営判断を誤れば企業は倒産するかもしれません
本記事では、既存の借入金を借り替える「リファイナンス」、および借り入れ条件を変更する「リスケジュール」について解説します。リファイナンス、リスケジュールを検討し、実行するためには企業は何をすべきかを考えていきましょう。
【更新情報】2023年3月25日(月)に情報を更新しました。
目次[非表示]
- 1.リファイナンスの重要性とは
- 1.1.リファイナンスとは?
- 1.2.リファイナンスのメリット
- 1.3.リファイナンスのデメリット
- 1.4.あなたの会社はリファイナンスが向いている?向いていない?
- 1.5.リファイナンスの注意点
- 2.リファイナンスのポイント
- 2.1.業績予測をおこなう
- 2.2.業績予測の可視化
- 2.3.金融機関への相談・協力依頼
- 3.リスケジュールは最後の手段
- 4.リスケジュールをおこなうために必要な準備
- 4.1.業績修正の正当性アピール
- 4.2.資金繰り表の作成
- 5.F&M Clubへの相談
- 6.まとめ
リファイナンスの重要性とは
リファイナンスは企業が現在返済中の借入金を完済するために新たな借り入れをおこなうこと。リファイナンスにはどのような特長や注意点があるのか説明します。
リファイナンスとは?
リファイナンスとは、既存借入の内容を見直し、新たに「組み替える」ことを言います。
既存借入を一旦返済することで、新たな資金調達を検討でき、また、何本かある借入をまとめることで返済額の負担を軽減することも可能です。
リファイナンスのメリット
企業がリファイナンスをおこなうメリットは、フリーキャッシュフローの増加です。金利の見直しや借入金の一本化により、返済資金の軽減が図れます。返済金が少なくなることにより手持ち資金が増え、急な出費などにも対応可能です。
また、「黒字倒産」(※収益が上がっているにもかかわらず、手持ち資金不足による支払不能での倒産)も回避でき、企業は資金面で余裕のある事業運営ができます。
リファイナンスのデメリット
リファイナンスのデメリットは、新規借入に手数料が発生しうる点です。審査料・事務手数料などが必要となる場合があり、追加の出費が発生します。
借入には審査があるため、申し込み時の収支・資産状況によってはリファイナンスできない場合がある点もデメリットです。赤字決算が続いているなど信用力が低下している場合、審査に通らない恐れがあります。
あなたの会社はリファイナンスが向いている?向いていない?
リファイナンスが向いている・向いていない会社は以下の通りです。
●リファイナンスが向いている会社
高金利の借入で利息返済の負担が大きい
●リファイナンスが向いていない会社
経営状況が悪化しており、新規融資審査に不安がある
リファイナンスの注意点
リファイナンスを検討する際、中小企業が忘れてはならないこととして、「リファイナンスは新規融資である」という点です。
金融機関が新規融資を検討する際、以下6点を考慮します。
①決算書の直近スコア
②不動産担保などの評価額
③企業格付(過去決算スコア)
④保証協会枠の利用状況
⑤他行を含め金融機関借入残高
⑥今後の収益力の見通し
特にコロナ禍でのリファイナンスでは、「④保証協会枠の利用状況」に注意が必要です。
金融機関は必ず保証協会枠の利用状況を考慮して、リファイナンスプランを検討します。
保証協会には、一般枠、セーフティネット枠、特別枠の3種類が制度として設計されています。
多くの中小企業は、コロナ融資を保証協会付きで利用されたのではないでしょうか?
据置期間を利用している中小企業の中には、まだ返済が始まっていない借入もあるかもしれません。
まずは、自社の保証協会借入を確認し、どの枠(制度)を利用しているかを把握するのが先決です。
リファイナンスのポイント
リファイナンスを検討するにあたり、ポイントは次の3点です。
- 業績予測をおこなう
- 業績予測の可視化
- 金融機関への相談・協力依頼
業績予測をおこなう
リファイナンスを検討する際、まず業績予測をおこないます。コロナなどの社会的動向、急激な円安などの為替動向により、企業の業績が左右されるかもしれません。
今後の動向を踏まえて業績予測をおこない、リファイナンスにより企業は資金繰りが改善されることを金融機関に訴えることが重要です。
特に、ほかの金融機関の借入金一本化を図るリファイナンスであれば、一層、フリーキャッシュフローについてアピールすることが必要となります。なぜなら、他の金融機関での借入分が加わることで、審査がより厳しくなるためです。
そのため、企業は収益やキャッシュフローについて達成可能な業績予測を立てましょう。
業績予測の可視化
業績予測を可視化するため、資金繰り表や事業計画書を作成すべきです。作成したものを金融機関に共有でき、審査に通りやすくなります。
企業は資金繰り表や事業計画書における数字のグラフ化、一覧表作成で、視覚的に財政状況が把握可能となり、また、注意すべきポイントが認識できます。
金融機関への相談・協力依頼
業績予測をおこない、資金繰り表や事業計画書などを作成できれば、取引金融機関に相談し、協力を依頼します。
リファイナンスの相談であるため、企業は資金面に余裕のある時期におこなう必要があります。なぜなら資金面で厳しくなると、金融機関に受け入れてもらえない可能性は高いです。
リファイナンスは新規の借り入れであることを企業は忘れてはいけません。
金融機関ごとに必要な条件などが異なるケースがあるため、事前に確認しましょう。金融機関独自で審査する「プロパー融資」以外に、信用保証協会の保証付き融資もリファイナンスの対象となります。
企業によっては、信用保証協会付き融資を複数の金融機関で利用しているケースもあるかもしれません。その場合でも、プロパー融資と同様に融資の一本化は可能です。
しかし、信用保証協会が取り扱っている保証の種類はさまざまあります。保証内容によっては一本化が難しいケースもあり、金融機関や信用保証協会に問い合わせるといいでしょう。
リスケジュールは最後の手段
リファイナンスと似た言葉に「リスケジュール(リスケ)」があります。リスケとは、現在返済中の借入金の返済条件を変更することです。
リスケを申し出る企業の大半は、資金繰りが厳しくなって、借入金の返済が滞り、倒産する恐れがあることを理由としています。とはいえ、申し出たリスケに金融機関が応じてくれるのかは気になる点です。
政府は2009年から2013年にかけて、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(中小企業金融円滑化法)」を施行しました。この法律は時限立法であったため、現在、中小企業金融円滑化法はありません。
しかし、金融庁はWebサイトで、「金融機関は引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべきということは、今後も何ら変わりません」と述べています。金融機関は企業のリスケに応じてくれます。
では、企業はリスケを申し出る際にどのような準備が必要なのでしょうか。
リスケジュールをおこなうために必要な準備
リスケジュールをおこなうために必要な準備として、以下の2つが挙げられます。
● 業績修正の正当性アピール
● 資金繰り表の作成
上記の準備をおこなうことで金融機関がリスケジュールの必要性を理解しやすくなるためです。必要性を理解してもらえれば、スムーズに金融機関からリスケジュールの承認を得られます。リスケジュールを実行する前に、上記のポイントを押さえておきましょう。
業績修正の正当性アピール
当初、企業が考えていた事業計画がコロナ禍などにより大幅な乖離が生じた場合、業績修正をおこなわなければなりません。
企業は、コロナ禍や急激な円安が売上・利益にどのような影響を及ぼしているのか、また今後どう推移していくのかを踏まえて業績修正をおこない、自社の正当性をアピールしなければなりません。
資金繰り表の作成
リスケの主な目的は、キャッシュフローの確保です。手持ち現金が確保できないと倒産するリスクが上昇します。
キャッシュフローが確保されているかどうかを確認するためには、資金繰り表を作成することが必要です。資金繰り表を作成することでキャッシュフローが可視化され、また、金融機関とも共有が可能となります。
リスケを申し出る際の注意点として、企業は条件変更を借り入れのある金融機関一律に申し出なければなりません。ある金融機関にはリスケを申し出て、別の金融機関の借入金は通常通りに返済することはできないため、注意してください。
F&M Clubへの相談
リファイナンスやリスケを検討している企業は相当数います。同時に、自社の現況をどのように金融機関に伝えればいいのか、また理解してもらえるのかを悩まれています。
時間が経つにつれ手持ち資金が減っていき、事業運営に不安を覚える経営者もいるかもしれません。そこで頼りになるのがF&M Clubです。
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まとめ
リファイナンスは新規で借入をおこない、既存の借入金を返済することで、「フリーキャッシュフロー」の増加が見込まれ、資金ショートや黒字倒産を防ぐメリットがあります。
リスケは既存の借入金における返済条件の変更であり、金融機関への申し出で可能ではあるものの、企業はリスケによる今後の業績見通しや資金繰りを安定させなければなりません。
F&M Clubでは、資金繰り表の作成や施策の提案と導入など、また補助金サポートといったコンサルティングサービスを専門スタッフがおこなっています。ぜひお気軽にご相談ください。
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