中小企業が労働生産性を向上させる必要性と方法を解説
近年、さまざまな働き方改革の実施に伴い、中小企業では、労働生産性の向上が課題のひとつです。
少子高齢化が進む日本社会では、労働生産性の向上および改善が必要とされており、特に、若年層の労働者確保が難しい中小企業などは、企業の安定した経営を守るためにも、生産性の向上に努めなければならない状況となっています。
中小企業における労働生産性向上の必要性と、方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.労働生産性とは
- 2.中小企業における労働生産性の現状
- 3.労働生産性向上の必要性
- 3.1.少子高齢化による労働人口の減少
- 3.2.人手不足による長時間労働
- 4.労働生産性が上がらない企業の末路
- 4.1.コスト増による利益減少
- 4.2.労働者の不満増による離職
- 5.労働生産性を向上させる方法
- 5.1.しっかりと機能する人事考課で評価制度を改善
- 5.2.パーソナリティ診断で人事配置最適化
- 5.3.生産工程をアウトソーシングで解決
- 5.4.バックオフィス業務の効率化
- 6.労働生産性の向上:まとめ
労働生産性とは
労働生産性とは、労働者1人あたりが生み出す、生産量や売上(成果)を表すもの、または、一定時間の間に労働者が生み出す成果量を示す指標です。
労働生産性を求めることにより、労働者1人あたりが、どれくらいの効率で成果を生み出せているのかを把握でき、業務効率化を図る上での参考指標となります。
労働生産性は、大きく「付加価値労働生産性」と「物的労働生産性」に分けられます。
付加価値労働生産性
付加価値労働生産性とは、労働者が生み出す「成果」の対象を、「付加価値額」としたものであり、労働者1人あたりの付加価値額を求める場合に用いられます。
「付加価値額」とは、企業が事業活動によって生み出した価値を数値で表したもので、総生産額から、原材料などの原価を除いて求められ、粗利益とほぼ同義語として扱われます。
付加価値額の算出には、さまざまな方法がありますが、簡易的な計算式では、以下の式で求められます。
付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費 |
付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量 |
物的労働生産性
物的労働生産性とは、労働者が生み出す「成果」の対象を、「生産量」または「販売金額」としたものであり、労働者1人あたりの物やサービスの生産量、販売量を求める場合に用いられます。
物的労働生産性=(生産量または販売金額)÷労働量 |
中小企業における労働生産性の現状
中小企業庁「中小企業白書2020」内のデータによると、大企業の労働生産性(労働者1人あたりの付加価値額)は、リーマン・ショックのあと大きく落ち込んだものの、上昇傾向で推移しています。一方で中小企業の労働生産性は、大きな落ち込みはないものの、2003年より長らく横ばい状態が続いており、大企業との差が今後も徐々に拡大していくことが予想されます。
労働生産性向上の必要性
労働生産性向上がなぜ必要であるのか、その理由については、今後も深刻化が予想される「少子高齢化」と「人手不足」の問題が背景にあります。
少子高齢化による労働人口の減少
少子高齢化に対処すべく、高齢社員が長く働き続けられるように、近年では「年金法改正」を始め、さまざまな法改正が実施されています。
しかし、労働者が長く働き続けられる環境を整えるだけでは、中小企業における少子高齢化問題を解決することはできません。
今後も、若年層の労働者確保が困難となることが予想される中小企業では、「限られた人材でいかに効率よく生産量を増やせるか」が課題となり、少子高齢化問題に対処するためには、労働生産性の向上が必要となります。
人手不足による長時間労働
近年、働き方改革の見直しなど「長時間労働(残業)」に対する法令も厳しくなりつつあります。
人手不足問題を抱える企業では、必然的に1人あたりの作業量が増えるため、労働者の長時間労働も増えてしまいます。
長時間労働に関する問題は、「時間外労働の上限規制」が法律で定められており、法を遵守する義務があるだけでなく、割増賃金による人件費の増大など、企業にとっても負担が大きくなります。
そのため、労働者と企業の両者の負担を軽減するために、業務内容の確認や効率性を見直し、労働生産性の向上に努めることが大切です。
労働生産性が上がらない企業の末路
労働生産性の向上を意識せず、改善を怠った場合、「利益減少」や「離職率増加」など、企業にとってマイナスとなる事態が増えるかもしれません。
コスト増による利益減少
効率性を重視しない生産方法を続けていると、人件費をはじめとする投資額の割合が増加する一方、利益は減少するという最悪な状況に陥ってしまいます。
労働生産性を見直し、必要のないコストの削減に努めましょう。
労働者の不満増による離職
人材不足による長時間労働、あるいは利益減少による待遇の減少などの問題は、労働者の不満を募らせ、離職率を上げてしまうリスクがあります。
そのようなリスクを回避するためには、労働生産性の向上、および業務効率性を意識した人事配置や評価制度をおこない、労働者の充実度や満足度の向上させる必要があります。
人事配置や評価制度を改善は、企業の業績向上へとつながるでしょう。
労働生産性を向上させる方法
労働生産性を向上させるためには、適切な人材配置をおこなうための「人事考課」の実施や、業務効率化を図るための「アウトソーシング」や「バックオフィス業務サポート」の活用が効果的です。
しっかりと機能する人事考課で評価制度を改善
無駄なコストを削減するためには、適切な人材を適切な箇所に配置することが必要です。
そのため、企業は定期的に人事考課を実施し、労働者が適材適所で扱われているか、管理しなければなりません。
また、労働者のモチベーションを保つためにも、人事考課は効果的です。
ただし、人事考課は適切におこなわなければ、時間と労力の無駄となってしまい、かえって生産性を下げることになってしまうため、人事考課をおこなう際は注意してください。
パーソナリティ診断で人事配置最適化
企業は、必ずしも労働者のもつ才能や実力を最大限に発揮できているとは限りません。多くの企業では、労働者の力が発揮されない「宝の持ち腐れ」状態や、適切な人材を見つけることができない状態となっています。
「パーソナリティ診断」などを活用し、ひとりひとりの実力や、適正を判断することで、企業は自社に最適な人材を判断することができ、労働者側も自分のもつ特性を活かした仕事ができることで、満足度の向上が期待できます。
生産工程をアウトソーシングで解決
労働生産性を向上させるためには、業務の生産性を上げなければなりません。
人材不足問題を抱える製造業などは、生産工程を丸ごと、アウトソーシング(外注)するという方法も、生産性を向上させるひとつの解決策といえます。
特殊な作業工程が発生する場合や、専門性をもった技術者が不足している場合などは特に有効的な方法です。
バックオフィス業務の効率化
バックオフィス業務の効率化を図るためには、プロや専門家によるサポートサービスの活用も有効的です。また、就業規則の整備を始めとする労務管理は、労働者とのトラブルリスクを軽減するためにも重要です。
労働者とのトラブルは、余計な時間と労力を奪われるだけでなく、離職率を上げ、企業の経営に大きく影響します。
バックオフィス業務の整備し、労働生産性をあげるとともに、さまざまなリスクに備えましょう。
労働生産性の向上:まとめ
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