資金繰り表の見方とは?分析方法や管理、運用のポイントを解説【社長向け】
資金繰り表は安定的に経営をおこなう上で大切な資料であり、その資料から多くの情報が読み取れます。
日々の資金繰りに悩まずに持続可能な経営にするためには、現金収支の状況の把握、財務体質の改善などを進める必要があります。
本記事では、資金繰り表の見方や分析方法、管理、運用のポイントなどを解説します。
目次[非表示]
- 1.資金繰り表の構成を把握することが大切
- 1.1.経常収支は本業の収支
- 1.2.経常外収支は本業以外の収支
- 1.3.財務収支は財務活動の収支
- 2.資金繰り表の見方を誤ると資金繰り悪化に陥る可能性あり
- 3.資金繰り表の見方のポイントとは
- 3.1.経常収支はプラスになっているか
- 3.2.経常収支の内容はどうなっているか
- 3.3.財務収支は経常収支よりマイナスになっているか
- 3.4.設備投資の投資対効果はどうなっているか
- 3.5.資金残高は足りているか
- 4.資金繰り表を活用した財務分析のやり方
- 4.1.月の売上債権回転期間の確認
- 4.2.月の仕入債務回転期間の確認
- 4.3.月の棚卸資産回転期間の確認
- 5.資金繰り表の管理や運用のポイント
- 6.F&M Clubの資金繰り改善サービス
- 7.まとめ
資金繰り表の構成を把握することが大切
資金繰り表とは、企業の一定期間の資金の流れを把握するために作成する資料です。
事業活動を進めていると、売上が現金として入金されるまでにズレが生じるため、ある月に現金が少ないことがあります。
最悪の場合、支払予定日までに現金が足りないことで黒字倒産に至ってしまいます。
黒字倒産にならないためには、資金繰り表で現金の流れを把握することが大切です。
資金繰り表を確認する上で構成を把握しておかなければなりません。
資金繰り表の構成は大きく3つに分かれています。
経常収支は本業の収支
経常収支は商品やサービスを提供して現金が入金されれば「収入」となり、従業員の給与や、事業所の家賃、光熱費などを支払えば「支出」となります。
経常収支を確認するポイントは、収入面であれば売掛金の回収状況、支出面であれば無駄な費用がないかを確認することです。
売掛金は商品やサービスを提供した際の対価として将来代金を受け取れる権利です。
もし回収の遅延や、未払いが発生していれば、回収できるように確認しましょう。
支出面であれば、仕入れなどの流動費が高ければ他社との比較や取引先との交渉が必要であり、また家賃、光熱費などの固定費が高い場合には無駄なものを削るなどの見直さなければなりません。
経常外収支は本業以外の収支
経常外収支は補助金収入や、生命保険の解約収入、会社の資産売却などで得た収入、設備投資や有価証券などの購入による支出となります。
経常収支の資金繰りが厳しくなれば、本業以外から収入を得る必要があるため、経常外収入が増えてしまいます。
つまり経常外収入の内容によっては本業の収益に問題の可能性があるため注意深く確認しましょう。
経常外支出の増加は、機械設備を抱えている場合に設備の更新時などに発生する費用や、売上が増加しているため新たに設備投資する場合もあります。
もし本業からの利益が少なくなっている時に設備の更新時期が重なると、金融機関からの融資が厳しくなることがあるため、数年前から毎月予算を積み立てるなどの事前準備をしておきましょう。
財務収支は財務活動の収支
財務収支は、金融機関からの借入金であり、新規に借入すれば収入が増え、返済すれば支出となります。
財務収入の増加は、売上の増加に伴って設備投資するために金融機関から借入を増やしていれば問題は少ないといえます。
しかし本業からの収益が少なく資金繰り難のために、財務収入が増加していれば注意しなければなりません。
事業改善などを早急におこなう必要があります。
財務支出は、経常収支に併せて返済ができていれば問題はありません。
もし利息の負担が大きければ借り換えなどの検討も必要です。
資金繰り表の見方を誤ると資金繰り悪化に陥る可能性あり
資金繰り表の各項目が何故その数字になっているかを把握しなければなりません。
もし間違った見方をしてしまうと資金繰り悪化の危険性があります。
例えば、経常収入が多少増加していることをチャンスと捉えて、度を越えた設備投資によって経常外支出を増加させ、また金融機関からの融資で財務収入も増加している場合が挙げられます。
実際に資金繰り表を見ると10年前から収入が微増しているものの、3年前からやや減少傾向にあった場合、度を越えた設備投資をおこなったことで数年後に資金繰り悪化に陥る可能性が高まります。
経営者は資金繰り表の見方を誤らないように注意が必要です。
資金繰り表の見方のポイントとは
資金繰り表は適切に確認しなければ作成する意味がありません。
資金繰り表を確認するポイントを理解しておきましょう。
経常収支はプラスになっているか
経常収支がマイナスであれば注意が必要です。
マイナスになる要因が何かを把握しなければなりません。
例えば、本業で収益がほとんどない場合、事業を見直す必要があります。
仕入れ状況が収益を圧迫していれば仕入れを見直す、家賃や光熱費などが圧迫していれば経費を見直すことが必要です。
また新型コロナウイルス感染症のような外的要因が影響してマイナスになることもあります。
経常収支をプラスにするためには、経費の削減や、仕入先との交渉や変更による改善も方法のひとつです。
もし事業に見直しが必要であれば、事業再構築補助金などを活用して、事業や業態を変える方法もあります。
経常収支の内容はどうなっているか
経常収支において翌月や3ヶ月先の繰越金がプラスになっていなければ、資金不足に陥っています。
支払予定日が月末であれば支払えないリスクはないものの、不測の事態が起これば対応できなくなる可能性があります。
少なくとも3ヶ月先や半年先まで繰越ができるように、資産の売却や経費などの削減、金融機関からの融資、借入金の借り換えなどの対策が必要です。
また資金繰りを改善するためには専門家などによる客観的な視点を交えることもおすすめします。
財務収支は経常収支よりマイナスになっているか
財務収支の主な項目は借入金と返済による収支となるため、マイナスであれば問題はありません。
しかし経常収支のマイナスを補うために、借入金を増やして賄うことがあります。
経常収支のマイナスは、事業や資金繰りの問題で起きるため、単にマイナスを補うための借入は、今後の経営を危うくする可能性があります。
もし借入金の返済額が経常収支よりプラスになっている場合、リスケジュールなどによる対策や、経常収支の改善をおこなわなければなりません。
設備投資の投資対効果はどうなっているか
設備投資するからには、投資した分だけの効果が事業に出ていなければなりません。
もし設備投資して効果がなければ、その設備投資は無駄になってしまいます。
設備投資には店舗の新規出店や、工場の生産性を向上させるために機械設備を導入するなどがあります。
設備投資の場合、どのように投資対効果が出ているか分析が必要です。
もし効果が出ていない、または薄い場合には、売却も視野に入れて進めましょう。
資金残高は足りているか
現金が不足することで利益が出ていても黒字倒産になることがあります。
現金不足を解消するためには、資金残高に余裕を持たせることが重要です。
一般的に月商の3倍の資金は持っておくべきといわれるものの、業種によって月商目安は異なります。
例えば総資産の2~3割を準備するなど、自社の目安を作ることをおすすめします。
資金繰り表を活用した財務分析のやり方
資金繰り表はさまざまな財務分析する方法があります。
月末や月初めなどに資金繰り表から財務分析をおこなって、自社がどういう状況にあるかを把握することが大切です。
月の売上債権回転期間の確認
資金繰りを安定させるためには、売掛金や受取手形などの売上債権の現金化が重要です。
売上債権回転期間とは、売上を回収できる期間を表す指標です。
売上債権回転期間=売上債権÷平均月商
もし売上債権回転期間が短ければ、売掛金などの現金化が早いことを意味するため、資金繰りがスムーズといえます。
期間が長ければ、資金繰り難に陥る可能性もあるため注意が必要です。
なお財務省の統計によると、2018年度の全業種・全規模の売上債権回転期間は1.85ヶ月です。
【参考】「法人企業統計調査からみる日本企業の特徴」資料2│財務省
月の仕入債務回転期間の確認
資金繰りを安定させるためには、買掛金や支払手形などの仕入債務の回転期間が適正かを確認することも重要です。
仕入債務回転期間とは、仕入れから決済までの期間を表す指標です。
仕入債務回転期間=仕入債務÷平均月商
もし仕入債務回転期間が短く、売上債権回転期間が長ければ資金繰りが悪化する可能性があります。
しかし一般的に売上債権回転期間よりも短いことが多いため、十分な資金を準備しておく必要があります。
なお財務省の統計によると、2018年度の全業種・全規模の仕入債務回転期間は1.37ヶ月です。
【参考】「法人企業統計調査からみる日本企業の特徴」資料2│財務省
月の棚卸資産回転期間の確認
資金繰りを安定させるためには、在庫が適正に維持管理されているかを確認することも大切です。
棚卸資産回転期間とは、所有している在庫の回転期間を表す指標です。
棚卸資産回転期間=棚卸資産÷平均月商
もし棚卸資産回転期間が短ければ、売上に対して在庫が適正に販売されていることを表します。
期間が長ければ売上に対して在庫が多いことになるため、資金繰りを圧迫する要因となります。
なお財務省の統計によると、2018年度の全業種・全規模の仕入債務回転期間は0.95ヶ月です。
【参考】「法人企業統計調査からみる日本企業の特徴」資料2│財務省
資金繰り表の管理や運用のポイント
資金繰り表は、将来の予測に基づいて入出金を記載し、実績が出ればその都度更新しなければなりません。
予測と実績を記入していくうちに、差異が発生するため、なぜ差異が発生したのかを検証し、次の予測よりも下方修正や上方修正をしながら検証を深めていきます。
資金繰り表を適切に管理して運用していくと、経営上の問題点が明らかになるため、問題点を対処しつつ経営改善につなげられます。
もし資金繰り表の管理をルーティンとしておこなってしまうと、問題を見落としてしまい、経営改善が遅れることにもなるため注意が必要です。
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F&M Clubの資金繰り改善サービス
F&M Clubは、月額3,3000円(税込)でご利用いただける株式会社エフアンドエムが提供する企業向け支援サービスです。
企業向け支援サービスのひとつとして、「資金繰り改善サービス」があります。
企業の経営課題のひとつに事業資金不足が挙げられます。
資金不足を解消するためには、経費削減や仕入れ改善、売上向上、返済額の見直しなどさまざまな方法をおこなわなければなりません。
F&M Clubが提供する「資金繰り改善サービス」では、企業の1年後までの資金繰り表を作成し、作成した内容を基にして財務分析をおこなって課題を整理します。
なお財務分析は、信用保証協会と同じスコアリングシステムを活用するCRD格付をおこなった分析です。
資金繰り表と格付スコアを確認しながら分析結果のフィードバックをおこなって、課題解決に向けた取り組みをご提案します。
ご提案後に施策を実行して財務状況が大幅に改善したというお声もいただいています。
まとめ
資金繰り表は、現在の資金の流れから将来の流れまでを見通して作成するため、適切に管理して運用すれば、経営の問題点が浮き彫りになる、財務体質の改善に向けた施策を進められるなどのメリットがあります。
もし資金繰り表の誤った見方をしてしまえば、支払予定日に現金が足りず黒字倒産に陥る可能性や、借入金の返済額が多すぎて資金繰りが立ちゆかなくなることもあるため注意が必要です。
F&M Clubでは、企業の資金繰り改善サービスにおいて資金繰り表の作成や、財務分析、施策の提案と導入などのコンサルティングサービスをおこなっています。
もし資金繰りなどのことでわからないことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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