⼈事考課を悪⽤した企業の末路とは?労働トラブルに注意
人事考課は企業の成長に欠かせない人事評価制度であり、ほとんどの企業で当たり前のように実施されています。
しかし、人事考課を適切におこなわず、運用方法を誤ると、思わぬところでトラブルを引き起こしてしまいます。
人事考課の悪用によるトラブルについて解説します。
目次[非表示]
- 1.人事考課とは
- 2.人事考課に不満を抱く社員は多数
- 2.1.人事考課が機能しないと太鼓持ちばかりが出世する
- 2.2.わかりにくく昇給・昇進の内容にメリットを感じない
- 2.3.人格を否定するような評価でモチベーションを失う
- 2.4.具体的なフィードバックや改善案が得られず成長意欲を失う
- 3.会社に都合の良い人事考課はトラブルの要因
- 3.1.人材が確保できなくなる
- 3.2.損害賠償を請求されるケースもある
- 3.2.1.人事考課で損害賠償請求を認めた裁判例
- 3.3.会社の社会的信頼を損失する
- 4.人事考課を適切におこないトラブルを回避
- 4.1.人事考課表は定期的に見直しを
- 4.2.F&M Clubの『はじめての人事考課』
- 4.2.1.『はじめて人事考課』の活用で組織が活性化
- 5.F&M Clubの労務支援サービス
- 6.まとめ
人事考課とは
人事考課は、「ただ社員を評価する」のではなく、「社員の潜在能力を引き出し、モチベーションを向上させる」、「企業全体の士気を高め、生産性向上と業績アップを目指す」目的や役割をもっています。
人事考課を最大限に機能させるためには、目的や役割を明確に理解・把握し、適切におこなわなければならず、社員のことを考えない企業本意の人事考課では、さまざまなトラブルを引き起こすリスクがあります。
人事考課に不満を抱く社員は多数
ほとんどの企業で人事考課は実施されていますが、人事考課の実施内容に満足している社員は少なく、不満を抱いている社員が多数であることが現状です。
人事考課が機能しないと太鼓持ちばかりが出世する
人事考課制度が整備されておらず、曖昧な評価基準で人事考課がおこなわれているような企業では、本来評価されるべき社員が評価されず、 “太鼓持ち”や“イエスマン”など、業績や企業への貢献度がそれほど優れているわけでもない、上司に好かれることが得意な社員ばかりが出世する傾向があります。
このような状況では、当然、日頃からひたむきに努力している社員や、企業のために貢献しようと前向きに取り組んでいるような社員は、「やってられない」と、不公平さを感じてしまいます。
わかりにくく昇給・昇進の内容にメリットを感じない
人事考課には、「人材育成」や「社員のモチベーション向上」など、さまざまな目的がありますが、社員の「昇給・昇進」について判断する際の基準ともなります。
人事考課自体は適切におこなわれていたとしても、優れた評価を受けた社員に対し、「昇給・昇進」などのメリットがない、あるいは、人事考課と昇給・昇進の関係性が曖昧であるなどの場合、社員は「どんなに頑張っても特にメリットがない」と感じてしまいます。
企業にとって、「熱心に仕事に取り組んでくれる」、「業績を上げてくれる」社員はもちろんプラスとなりますが、社員は優れた評価を受けるだけでは満足しません。
社員と長期的に良好な関係を築いていくためには、「優れた評価を受けた場合、どのようなメリットがあるのか」という部分まで人事考課の制度を整えておく必要があります。
人格を否定するような評価でモチベーションを失う
人事考課では、社員の成長への期待も込めて、良い部分を褒めるだけでなく、悪い部分に対しても、アドバイスや指摘することも必要です。
しかし、人事考課の評価基準が正しく整備されていないような場合は特に、「人格を否定するような発言」でのマイナス評価やフィードバックがおこなわれるリスクが高まります。
本来人事考課制度が整っていれば、そのような発言は不要であるにもかかわらず、上司(評価者)の個人的な見解による評価が顕著にあらわれてしまう悪い例です。
人格を否定するような評価がおこなわれる人事考課では、当然社員のやる気やモチベーションはなくなってしまいます。
具体的なフィードバックや改善案が得られず成長意欲を失う
人事考課で大切なことは「フィードバック」により、社員のさらなる成長につなげることです。「ただ評価して終わり」、「具体体的なフィードバックが得られない」という人事考課の場合、社員は「期待されていない」と感じ、成長意欲を失ってしまいます。
企業側は「人事考課を実施すること」自体に重きを置き、「人事考課を実施しているから大丈夫」と勘違いしがちです。
企業の成長は社員の成長なくして達成できるものではありません。
本来の目的のひとつである「社員の成長」を意識した人事考課を心がけましょう。
会社に都合の良い人事考課はトラブルの要因
人事考課はほとんどの企業が当たり前に実施している「評価制度」ですが、会社に都合の良い人事考課ばかりをおこなっていると、思わぬところでトラブルが発生し、場合によっては訴訟問題となることもあります。
人材が確保できなくなる
人事考課は、社員のやる気を奮起するため、昇給などを目標に設定できる一方、「やる気のない社員は減給」といった、企業の一方的な“権力武器”となることもあります。
一見、社員は「減給を避けるために積極的に仕事に従事する」と思うかもしれませんが、このような「人事評価の悪用」は、社員の不満を募らせ、最終的には企業への信頼を失い、ともに頑張ってくれる人材がいなくなってしまいます。
企業にとって、人材は必要不可欠な存在であり、企業の利益しか考えていないような人事考課の悪用は、自ら企業の存続を危うくしているようなものです。
社員との信頼関係を壊すような人事考課の悪用は避けましょう。
損害賠償を請求されるケースもある
人事考課による評価が、社員にとって不利益であり、経済的・精神的損害が生じた場合などは、損害賠償責任を負うこともあります。
特に、減給や降格など、待遇に関する事項について司法審査が厳しくおこなわれる傾向があり、「均等待遇」や「男女同一賃金」などの「強行規定」に分類される事項には注意が必要です。
人事考課で損害賠償請求を認めた裁判例
人事考課制度を正しく運用せず、違法とみなされた裁判例について紹介します。
・マナック事件
就業規則に定められた評定対象期間外の事由を昇格・賞与査定の対象とし、裁量権の逸脱にあたる(違法)とされ、損害賠償請求が認められました。
会社の社会的信頼を損失する
人事考課の悪用は、社員からの信頼はもちろん、社会的信頼も損失します。
企業が長期的に良好な経営をおこなううえで、社内・社外からの信頼は必要不可欠です。
人事考課を甘く見ず、社会的信頼を失わないような評価制度を整えましょう。
人事考課を適切におこないトラブルを回避
人事考課は、社員および企業の成長に欠かせない評価制度です。
トラブルを引き起こさないよう、適切におこないましょう。
人事考課表は定期的に見直しを
人事考課をおこなう際は、基本的に「人事考課表」を用いられますが、人事考課表は一度作成したら終わりではなく、企業の業績や社員の成長に合わせて、定期的に見直すことが大切です。
F&M Clubの『はじめての人事考課』
人事考課の制度体制や、人事考課表の作成について、「正しくおこなえているのか分からない」などの疑問や不安を抱えている企業も多いかと思います。
そのような企業には、F&M Clubの「人事考課支援サービス」がおすすめです。
『はじめて人事考課』の活用で組織が活性化
F&M Clubの「人事考課支援サービス」(はじめての人事考課)を導入した企業の中には、「これまでの評価に対する悩みが解消されました」と実感している企業もいます。
サービス導入前、某企業では、自己流で人事考課を作成したり、コンサルティング会社に依頼を試みたりしたものの、社員の評価に対する不満は完全に解消されず、数百万円の費用がかかるコンサルティング会社の利用は躊躇しているような状況でした。
そのような中、F&M Clubの『はじめての人事考課』に出会い、人事考課表や賃金テーブル、賞与テーブルなどの作成を見直したところ、評価順位が思った通りの結果となり、「これまでの評価に対する悩みが解消」され、不満を抱いていた社員からも「これなら納得できます!」との声をもらうなど、非常に前向きな人事考課をおこなえるようになりました。
F&M Clubの労務支援サービス
F&M Clubでは、「はじめての人事考課」以外にも、さまざまな労務支援サービスを提供しています。
累計3万5,000社を支援した実績をもつF&M Clubでは、月額3万円(税抜)で人事、労務、IT活用といった幅広い支援サービスが受けられます。
これまでに培った経験やノウハウを活かし、税理士や社労士などとは違う、幅広い分野による総合的な労務支援サービスで、企業の財務改善や労働トラブルへのリスク防止、労働生産性向上に役立つ経営力向上計画などをサポートします。
労務管理で困りごとがある際は、ぜひF&M Clubをご活用ください。
まとめ
人事考課は企業の成長に欠かせない評価制度です。
しかし、適切に運用せず、企業の利益だけを考えた、人事考課の悪用は、思わぬトラブルを引き起こします。
企業の社会的信頼を守るためにも、人事考課は正しくおこないましょう。