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2024年の賃上げ目標は5%以上!中小企業ができる賃上げ対策を徹底解説

2024年の春闘要求方針として、賃上げ幅を5%以上とする方針が打ち出されました。前年と同じ上げ幅ですが、より強い表現であり、一層の賃上げを求める姿勢にあります。
本記事では、人手不足と賃上げで人件費が上昇するなか、中小企業が生き残る対策を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.2024年春闘で5%以上の賃上げ要求の方針
    1. 1.1.昨年までの要求との違い
    2. 1.2.中小企業における賃上げの見通し
  2. 2.人件費の上昇で中小企業経営者が検討したい7つの対策
    1. 2.1.最低賃金の見直し
    2. 2.2.就業規則の整備
    3. 2.3.人材採用の見直し
    4. 2.4.従業員定着率改善の取り組み
    5. 2.5.販売価格の見直し
    6. 2.6.付加価値の向上
    7. 2.7.賃上げを支援する補助金・助成金の受給漏れを確認
  3. 3.まとめ


2024年春闘で5%以上の賃上げ要求の方針

労働組合の中央組織である連合(組合員約700万人)が2024年賃上げ要求は『賃上げ分 3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め 5%以上の賃上げを目安』とする案を発表しています。
【引用】2024春季生活闘争方針(案)|日本労働組合連合会
 
また、国内最大の産業別労働組合であるUAゼンセン(組合員約185万人)では、『ベースアップ相当分として4%、定期昇給分を合わせて6%を基準』とし、連合よりも高い上げ幅での賃上げを求める方針にあります。


昨年までの要求との違い

2023年要求における上げ幅は、連合が5%、UAゼンセンは6%を掲げていました。
妥結状況をみると、賃上げ幅は3%から5%の水準です。連合の調べでは、大企業とあわせた平均で3.58%、中小企業(従業員300人未満)の組合の平均は3.23%の水準です。
UAゼンセンにおいても、正社員3.65%、パートタイマーなど5.08%となりました。
【引用】TSRデータインサイト|東京商工リサーチ
【引用】(最終)回答集計|連合
【引用】2023労働条件闘争 妥結状況(5月末時点)|UAゼンセン
 
2024年要求の上げ幅は2023年と同じですが、異なる点は言葉の強さです。
連合は「5%以上」と表現し、2023年要求時における「5%程度」よりも、より強い表現を用いています。
UAゼンセンも同じく、前年の「6%程度」から「6%を基準」とし、より高い回答を求めています。
 
2024年の春闘要求に対して、大企業は既に賃上げを発表しはじめています。明治安田生命の7%(年収ベース)、大手家電量販店ビックカメラの7%などです。


中小企業における賃上げの見通し

一方で中小企業においては、連合やUAゼンセンの要求水準を達成することは難しいとの意見も出ています。理由として、コスト高の販売価格への転嫁が進んでいない、人手不足でやむを得ず賃上げをしているなどがあげられます。
加えて中小企業においては、社会保険料負担の増加が予想されています。2024年10月以降、従業員51名以上の企業(すべての適用事業所の被保険者数の合計)において、月額賃金8.8万円以上(いわゆる『年収106万円の壁』)のパートタイマーなどの社会保険加入が義務づけされるためです。
【参考】被保険者数が51人以上の企業などのみなさまへ|日本年金機構

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人件費の上昇で中小企業経営者が検討したい7つの対策

賃上げによる人件費の増加を賄いつつ利益を確保し、企業を存続させるためは、大きく次の3つが必要となります。

  • 従業員処遇と労働環境の向上
  • 売上の拡大
  • 収益構造の改善

上記についての具体的な7つの取り組みは次のとおりです。


最低賃金の見直し

最低賃金は毎年10月に改定されています。正社員についても時給換算し、時給が最低賃金を下回っている従業員がいないことを確認します。


就業規則の整備

自社の就業規則を整えるとともに、最近の労働法改正にあわせた内容となっていることを確認します。
就業規則がない会社は人材採用で不利となります。また現行の労働法にあっていない場合についても、雇用や賃上げにおける助成金の申請がとおらないことがあります。


人材採用の見直し

採用方法を見直すことで、新規採用がより円滑となる可能性があります。具体例は次のとおり、求職者が自分の仕事内容や生活を想像しやすいアピールを行います。

  • ハローワークにおける求人で『求人者マイページ』に経営者自身の言葉で求人に対する思いを入力する
  • 求人票の冒頭80文字で、何の会社かを印象的に説明しきる
  • 仕事内容は単に営業とせず、何を誰にどうするのか具体的に記載する
  • ホームページやSNSで社内イベントや業務風景、ランチタイムや退勤後の雰囲気を動画で発信し、どのような社員がいるか、どんな生活を過ごしているかを伝える
  • 若い世代にはTikTokやX(旧Twitter)など自社の求人像と合った求人媒体を選択する
  求人票の見直し方法とは?採用や助成金の申請に向けて無料診断を活用しましょう | 株式会社エフアンドエム 労働条件の明記は求人票にとって大事ですが、求人票の記載を見直すことで応募が増える可能性があります。また、助成金を活用するためには求人票を見直し・修正が重要です。 求人票の無料添削をもとに、採用の促進と助成金を活用をおこないましょう。 株式会社エフアンドエム


従業員定着率改善の取り組み

離職率の理由として回答が多い「労働条件、休日など」についても改善に取り組むことが有効です。特に若い世代は給料水準よりも労働時間の長さや休日数の少なさを理由とする離職が目立ちます。

【引用】2022年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省
 
具体的な対策は以下のとおりです。

  • 土曜日、日曜日、祝日などの休日化
  • 年間休日数の増加
  • 介護休暇、時間単位の有給休暇などの導入

販売価格の見直し

売上の拡大策として取り組みたい内容としては、コスト上昇分を販売価格に転嫁する値上げです。価格交渉が難しい販売先に理解してもらうためには、事前に自社で次の4点に取り組んでおくことが有効です。

  • 原価管理の導入による経費内容の把握
  • 電気料金や原材料価格についてのデータの収入
  • 自社が希望する販売価格を明示した交渉
  • 製品の特長など価格以外のメリットを明確に説明


付加価値の向上

売上、利益を拡大するために、新たな製品やサービスに取り組むことがあげられます。
まったく新しい分野に取り組むことだけではありません。従来と同じ製品であっても新たにECサイトでの販売を開始するなど、商流の見直しにより利益率を向上させる取り組みなどが検討可能です。


賃上げを支援する補助金・助成金の受給漏れを確認

賃上げや社会保険適用に伴う負担を軽減する支援策は多数あります。自社の取り組み内容が対象となる支援制度の受給が漏れていないかを確認しましょう。
 
賃上げを支援する代表的な支援制度は次のとおりです。

  • キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

2023年10月1日以降、新たに社会保険を適用した従業員1名あたり最大50万円を助成する制度です。内容により『手当等支給メニュー』『労働時間延長メニュー』『併用メニュー』の3種類があります。
中でも『労働時間延長メニュー』を利用し、週所定労働時間を4時間以上増やした場合は、賃金の引上げが不要で1名あたり30万円が支給される、人数制限もないなど多くのメリットがあります。
【引用】キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)|厚生労働省

  • ものづくり補助金

生産性を向上させる設備投資に対する補助金です。補助率は2分の1または3分の2、補助上限額は750万円から最大5,000万円です。(補助率、補助上限額は申請枠により異なります。)
【引用】ものづくり・商業・サービス補助金 公募要領 概要版(2023年7月28日更新版)|ものづくり補助金事務局
 
次のような計画が採択されています。

  • 自動車用ゴム部品メーカーがマッサージ用ゴムグッズを開発
  • 飲食店で冷凍庫、包装機を購入し受発注システムを組み合わせてデリバリーに対応
  • 日本酒の酒蔵が人手作業の瓶詰工程を全自動化し、よりフレッシュな日本酒を製造
  • 分業が前提の刃物業界で150工程を内製化。工程管理でわずかな不良も出さない生産体制を確立
  • 協働ロボットの導入で、昼は人間が作業、夜間は機械が自動生産する体制を構築

【参照】事例から学ぶ「ものづくり補助金」|中小企業庁

  • IT導入補助金

IT化による効率化を図るための費用が対象です。補助率2分の1から4分の3、補助額は上限450万円です。インボイスに対応するクラウド会計ソフト、電子帳簿保存法における対応が可能な受発注システム、キャッシュレス決済用の端末やPCなどのハードウェア(デジタル化基盤導入枠のみ)などが対象となります。
【引用】IT導入補助金とは|IT導入補助金後期事務局
 
補助金や助成金は種類が多く、それぞれ申請要件などが細かく決まっています。
自社で受給できる補助金・助成金の申請漏れを防ぐためには、検索ツールの利用が効果的です。例えば株式会社エフアンドエムが提供する3分で公的支援制度のお悩みを解消できる「公的無料診断サービス」などがあります。


まとめ

2024年の春闘方針が公表され、賃上げ幅として5%以上が求められています。既に大手企業の一部は賃上げ方針を打ち出しており、中小企業においても賃上げが必要となる見通しです。
 
人手不足時代においては、中小企業も労働環境を整備し、上昇する人件費で利益を圧迫されずに収益を確保できる会社となることが生き残る道とみられています。
 
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