賃上げできない中小企業におさえてほしい!リスク・公的支援・改善策を解説
日本でも定期的に賃上げが実施され、メディアでベースアップが報道されることもあります。これを見て、賃上げしたいと考える経営者は多いのではないでしょうか。ただ、そのように考えていても実際には行動できない人も多いはずです。今回は賃上げできない代表的な理由から、その場合に生じるリスク、公的支援の活用を含めた改善策について解説します。
目次[非表示]
- 1.賃上げできない中小企業は3割程度
- 2.中小企業が賃上げできない5つの理由
- 3.賃上げできない中小企業が受ける3つの影響
- 3.1.離職率が増加する
- 3.2.新しい人材を確保できない
- 3.3.会社の評判が下がる
- 4.中小企業が賃上げできないときに取り入れたい改善策
- 4.1.補助金や助成金への申し込み
- 4.2.生産性の向上
- 4.3.価格転嫁
- 5.賃上げできない状態でお困りならばF&MClubへご相談ください
- 6.まとめ
賃上げできない中小企業は3割程度
大同生命が2023年1月に発表した資料によると、32%の企業が「賃上げしない」「賃上げ以降はあるが、できない」と該当しています。賃上げする意向がある場合を含みますが、約3割もの企業が賃上げできない状況です。新型コロナウイルスやウクライナ情勢などの影響が長引き、思うように賃上げできていません。
また、同調査によると、経営環境は改善傾向ではあるものの、コロナ禍前の水準までは回復していないとされています。中小企業を取り巻く環境が厳しく、その結果賃上げできない状況に陥っていると考えられます。
中小企業が賃上げできない5つの理由
中小企業が賃上げできない背景には、大きく分けて5つの理由があります。
原材料の高騰
原材料の高騰により、会社としての支出が増えてしまい、賃上げに充てる現金が確保できないことが挙げられます。賃上げよりも、原材料の調達を優先する必要があるため、やむを得ない状況だと考えるべきでしょう。
特に、近年はウクライナ情勢の影響などにより、幅広い分野で原材料の高騰が見られます。支出の増加を避けることは難しく、賃上げの余裕がありません。
価格転嫁が不十分
原材料が高騰しているにも関わらず、価格に転嫁できていないことが大きな理由です。このような状況では、売上は変わらず経費だけが増加しているため、利益が減少しているでしょう。結果、賃上げするための現金を確保できず、苦しい状態が続いてしまいます。
また、取引先との関係性によっては、価格転嫁が難しいこともあるはずです。やむを得ない事情で利益を圧縮するしかなく、賃上げできないことは考えられます。
光熱費の増加
光熱費が増加していることで、経費が継続的に増加して、利益を圧迫していることがあります。結果、従業員への還元が難しくなり、賃上げできない理由となるでしょう。
本来、光熱費も踏まえて製品やサービスなどの価格を設定しなければなりません。しかし、現在は国の方針などで高熱費が変動しやすく、価格への転嫁が難しい状況です。頻繁に価格を変動させることは現実的ではなく、利益を削ってこの部分を吸収する傾向にあります。
取引先への不安
取引先への不安があると、売上の見通しを立てづらくなり、賃上げできないことがあります。賃上げしてから取引が減少すると、キャッシュフローが一気に悪くなってしまい、最悪の場合は倒産しかねません。これを防ぐための、消極的な選択だと考えれば良いでしょう。
特に、日本は賃上げしてから下げることが難しい国です。取引先に何かしらの問題が起きた際、賃金でバランスを取ることが難しく、賃上げを控えざるを得ません。
増員を優先
増員を優先させることが、中小企業で賃上げできない理由となっています。新しく人員を確保するとなると、それ相応のコストが必要です。結果、予算面で賃上げできなくなってしまいます。
ただ、中小企業が事業を継続するためには、一定の人員を確保しなければなりません。賃上げするか増員するかであれば、増員を優先せざるを得ないと考えられます。
賃上げできない中小企業が受ける3つの影響
中小企業で賃上げに踏み切れないと、さまざまな問題を起こす可能性があります。具体的にどのような問題が起きる可能性があるのか、それぞれイメージを掴みましょう。
離職率が増加する
働き続けても賃上げされないことで、従業員が離職する可能性があります。その状況を放置すると、最終的には多くの従業員が退職し、離職率の増加を招きかねません。従業員が減少すると、連鎖的に退職が増えることがあり、急激に離職率が増加することもあります。
離職率が高まり残った従業員への負荷が高まると、業務がままならなくなるかもしれません。最終的には、売上の減少などから、倒産することになりかねません。
新しい人材を確保できない
賃上げができない状態が続くと、新しい人材を確保できなくなります。同業他社と比べて、賃金が安くなってしまい、見劣りすることが大きな理由です。そもそも、求人に応募してもらうことが難しくなり、新しい人材を確保するチャンスすらなくなってしまいます。
また、賃上げができず賃金が安い状況は「ブラック企業である」との印象を持たれかねません。これも、求人に応募してもらえない理由となり、さらに新しい人材の確保が難しくなります。
会社の評判が下がる
賃上げできない状況を放置すると、会社の評判が下がりかねません。例えば、退職した従業員が口コミサイトに賃上げされない旨を書き込むと、周りからはそのような会社であると評価されます。一度評判が下がってしまうと、簡単には状況を改善できません。個人が発信した情報が、一瞬のうちに拡散されることもあるため、会社の評判が下がるリスクは常に認識しておくべきです。
中小企業が賃上げできないときに取り入れたい改善策
中小企業で賃上げするためには、積極的に行動することが重要です。例えば、以下の改善策を取り入れてみましょう。
補助金や助成金への申し込み
賃上げに関連する補助金や助成金の活用をおすすめします。例えば「キャリアアップ助成金」を活用すれば、賃上げ額の一部を支給してもらうことが可能です。全額を負担せずに済むため、賃上げのハードルを下げられるでしょう。
ただ、申し込みすれば必ず利用できるものではなく、中小企業の中でも条件を満たした場合のみです。申請するものによって、条件は異なっているため、確認しなければなりません。また、申請書類の準備では、必要に応じて専門家の支援が必要です。
生産性の向上
生産性を向上させ利益率を高めれば、賃上げに充当する現金を確保しやすくなります。説明したとおり、中小企業は利益を確保できないことが、賃上げできないひとつの要因です。逆に、生産性を高め安定した利益が出れば、余裕を持って賃上げできるでしょう。
例えば、ITツールを導入することで、生産性が向上して利益を確保できる可能性があります。生産性の向上は、賃上げへの第一歩と考えるべきです。
価格転嫁
可能であれば、原材料や光熱費の高騰を、価格に転嫁しましょう。中小企業の賃上げが難しい根本的な理由には、価格を維持して利益を削っていることがあります。この状況を回避して、製品やサービスの価格を高めた方が良いでしょう。
とはいえ、取引先との力関係から、実際には値上げが難しいことも事実です。値上げにより、取引を打ち切られては元も子もないため、総合的に考えなければなりません。
賃上げできない状態でお困りならばF&MClubへご相談ください
原材料や光熱費の高騰、社会情勢の変化などさまざまな要素が影響し、中小企業は思うように賃上げできない状況です。ただ、皆さんの中にはこのような状況を打破し、どうにか賃上げしたいと考えている人がいるでしょう。そのような状況ならば、外部サービスによる支援をおすすめします。
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例えば「財務サポート」では、会社の財務状況を分析してもらい、改善点がないか診断してもらうことが可能です。もし、何かしらの無駄が発見されれば、それを改善することで、賃上げを実現できるかもしれません。また、賃上げにあたって、活用できる補助金や助成金を紹介してもらうことも可能です。
賃上げしたいと考えていても、専門的な知識や観点がなければ難しいことがあります。一人で悩み続けるのではなく、ぜひとも専門家のサポートをご活用ください。
まとめ
中小企業における賃上げの状況や難しさ、対応できない場合の影響について解説しました。利益を圧縮していることで、賃上げできない中小企業は多くあります。企業活動に影響を与えることもあるため、できるだけ早く対策すべきです。
もし、自力で賃上げへの道を拓けないならば、ぜひともF&MClubへご相談ください。実現に向けて、財務や補助金・助成金を活用するなどの選択肢を提案します。