取引先が倒産!?すぐに対応すべきことと倒産前にしたい対策一覧はこれだ
取引先が倒産してしまうと、金銭的に大きな打撃を受けることになりかねません。また、それが原因となり商品やサービスを提供できないようになると、自社の信用力が低下してしまう可能性があります。そのため、取引先の倒産時はいち早く行動することが重要で、可能な限り予兆を検知しなければなりません。
ただ、実際に取引先の倒産を経験していない限りは、具体的にやるべきことが分からないことがあるでしょう。今回は、取引先が倒産した際の対処方法と、倒産前に対策しておきたいことを一覧で解説します。
目次[非表示]
- 1.取引先が倒産した場合にすぐ対応すべき6つのこと
- 1.1.売掛債権の詳細を確認
- 1.2.サービスや製品の提供・納入の停止
- 1.3.原材料などの発注・入荷停止の相談
- 1.4.担保や保証人の有無を確認
- 1.5.支払いは手形かどうかを確認
- 1.6.法的整理の申し立てをおこなうかどうかの確認
- 2.取引先の倒産前に実施しておきたい5つの対策
- 2.1.定期的な与信管理
- 2.2.担保の確保
- 2.3.債務の相殺
- 2.4.商品やサービスの回収
- 2.5.債権の譲受け
- 3.取引先が倒産するかもしれない3つの予兆
- 3.1.経営陣の交代や従業員の減少
- 3.2.支払期日の変更
- 3.3.社会的な問題の発生
- 4.取引先の倒産による影響を最小限に抑えたいならばF&Mクラブへご相談ください
- 5.まとめ
取引先が倒産した場合にすぐ対応すべき6つのこと
取引先の倒産が確認されたならば、すぐに以下6つのことに着手しなければなりません。
売掛債権の詳細を確認
取引の状況を確認し、売掛債権の詳細を把握するようにしましょう。例えば、何月何日にいくらの入金が発生する予定であるか確認します。また、その入金はどの商品やサービスに対する支払いであるのかも同時に確認しておかなければなりません。
どのような売掛債権を保有しているかで、その後の行動が変化する場合があります。詳細は状況に応じて異なるため、まずは情報収集が重要であることを認識しましょう。
サービスや製品の提供・納入の停止
サービスや商品を提供・納入している途中ならば、これを速やかに停止しなければなりません。倒産して以降の対価は得られないため、損失を最小限に抑える行動が重要です。
また、サービスを提供している途中や商品の一部だけを納入しているならば、どのような状況であるか明確にすることが求められます。例えば、サービスを3ヶ月契約で1ヶ月だけ提供したならば、その旨を記録しておきましょう。
原材料などの発注・入荷停止の相談
原材料の発注が不要になるならば、これを速やかに停止しなければなりません。取引先が倒産したことにより納入する必要がなくなると、在庫過多になってしまいます。
ただ、これは一方的な都合であり、原材料を納入している側からすると金銭的な被害を受けることになりかねません。そのため、不要となった部分の取り扱いについて、相談することが望ましいでしょう。
担保や保証人の有無を確認
契約にあたって担保や保証人が設定されていないか確認します。もし、何かしらの設定があるならば、速やかに連絡を取るなど対応が必要です。
これらが設定されているかどうかは、契約書の内容を確認すれば把握できるでしょう。設定されている場合の連絡先は契約書や添付書類に記載されるため、まずは文面を確認する作業が大切です。
支払いは手形かどうかを確認
支払いが銀行振込であるのか約束手形であるのか確認しましょう。手形を受け取っている場合は、その扱いに注意しなければなりません。
例えば、手元に手形がある場合は、債権届出書を作成して破産管財人や破産手続申立人へと提出する必要があります。手形のコピーを添付するため、最終的な債権の整理が終わるまで確実に管理することが重要です。
法的整理の申し立てをおこなうかどうかの確認
倒産する場合、法的整理と私的整理のどちらかを選択しなければなりません。法的整理は、法律に従って手続きを進めるものであり、弁護士が代理人となって債権などの処理を進めていきます。私的整理は裁判所が関与せず、経営陣や個別に依頼した弁護士などが代理人となって手続きを進めます。
どちらが選択されるかによって、どのように整理が進むかどうかが異なるため注意が必要です。また、私的整理の場合は、公平性が保たれないリスクがあるため、整理作業に参加せず法的整理を求めることも検討しなければなりません。
取引先の倒産前に実施しておきたい5つの対策
取引先の倒産を防ぐことは不可能ですが、事前に予兆を検知できます。また、倒産の予兆があるならば事前に取り組みたい対策があるため、それぞれ解説します。
定期的な与信管理
取引先について定期的な与信管理を実施しましょう。与信管理とは、どの程度の売掛金ならば支払える見込みがあるかを評価する活動です。取引先の経営状況などを踏まえ、支払い能力を事前に評価しておきます。例えば、支払い能力が300万円と判断されたならば、売掛金が300万円を超えないようにコントロールしなければなりません。
与信管理を実現するためには、取引先について幅広く情報を集めることが重要です。もし、社内における対応が難しいならば、外部の専用サービスを利用しても良いでしょう。
担保の確保
倒産する可能性があるならば、契約の際に担保を提出してもらうことを検討しましょう。例えば、取引先が保有する機器を担保に契約し、万が一倒産したり支払えなかったりする場合は、それを譲渡してもらえるようにしておきます。
担保を受け取れるようにしておけば、仮に現金を回収できなくとも、金銭的な被害を抑えられます。必要に応じて、担保を現金化する手続きが必要ですが、まったく回収できないよりは遥かに良いでしょう。
債務の相殺
取引先に対して債務があるならば、それらを相殺することで金銭的な被害を抑えられます。例えば、取引先に対して100万円の債務があり、取引先へ100万円の債権を有しているならば、これらの相殺が可能です。実際に現金を動かさずとも、支払いの義務を果たせます。
もちろん、これは取引先と相互に債務を有している場合にしか利用できません。一方的に売掛債権を保有している場合は、別の対策を採用しましょう。
商品やサービスの回収
すでに商品やサービスを提供しているならば、それらの回収作業が必要です。例えば、販売してもらうための製品を在庫として預けているならば、それらを回収しておきます。自社の資産は事前に回収しなければ、他の債権者に資産の一部として分配されてしまう可能性があるからです。
ただ、特に商品の回収にあたっては、取引先の担当者へ持ち帰る旨を伝えて許可を得ましょう。無断で持ち出してしまうと、窃盗が疑われ、状況が悪化する可能性があります。
債権の譲受け
取引先が債権を有しているならば、それを譲り受けることが考えられます。債権譲渡の手続きを済ませてもらう必要はありますが、仮に取引先が倒産しても別の手段で金銭を受け取ることが可能です。
例えば、取引先が小売店に商品を納入しているならば、その商品代金を受け取れるように譲り受けしてもらいます。小売店から、支払いを受け取ることで、取引先が倒産してしまっても現金が手に入る仕組みです。
取引先が倒産するかもしれない3つの予兆
取引先が倒産する際には、いくつかの予兆が見られます。それらの中でも、特に注目したい3つを紹介すると以下のとおりです。
経営陣の交代や従業員の減少
経営陣が交代したならば、会社の経営に何かしら問題が起きている可能性があります。例えば、業績が悪化したことで、金融機関が指定した経営陣に変化したのかもしれません。一概に問題があるとは言い切れませんが、疑いを持つべき要素です。
また、従業員が明らかに減少した場合も注意しましょう。人件費は会社の支出として大きな部分であるため、経費削減のために解雇した可能性があります。また、倒産することを見越して従業員が退職したということも考えられるため、注視しなければなりません。
支払期日の変更
支払い期日の変更を受けたならば、金銭面の問題が発生していると考えられます。資金繰りに行き詰まってしまい、支払い期日の延長を申し出たのかもしれません。
一般的に、支払いサイトは基本契約書などで定められています。そのため、契約書の内容を履行するためにも、支払い期日の変更は依頼しないものです。しかし、契約書の内容に反してでも支払い期日を延長するということは、切羽詰まっていると考えられます。
社会的な問題の発生
情報漏洩などの不祥事や関連する大手企業の倒産など、社会的な問題が発生することで倒産する可能性があります。ニュースなどから、取引先に影響がないか確認しなければなりません。
例えば、取引先へのサイバー攻撃で個人情報が漏洩すると、社会的信用力が大きく下がります。結果、売上が激減して倒産することになるかもしれません。
また、取引先の主な収入源となる企業が倒産すると、その煽りを受けて連鎖倒産することも考えられます。有名企業の倒産や行政処分など、子会社や関連会社に影響を与える事情は、細かくキャッチしておいた方が良いでしょう。
取引先の倒産による影響を最小限に抑えたいならばF&Mクラブへご相談ください
取引先の倒産は自分ではどうすることもできず、いち早く行動しなければならないことを理解頂けたでしょう。万が一に備えて、自社でも何かしらの対策を取っておきたいと考えた経営者の方もいるはずです。もし、危機感に迫られたならば、F&MClubをご検討ください。
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例えば、財務関連のサービスを利用すれば、資金繰りに余裕ができることで、取引先が倒産しても連鎖倒産することを避けやすくなります。また、補助金・助成金の活用についてアドバイスを受け、現金に余裕を持たせておけば、これも万が一に備えることにつながるでしょう。
まとめ
取引先が倒産した場合に、どのような対応が必要となるか解説しました。基本的には、金銭的な被害を最小限に抑えるため、売掛債権の詳細を確認したり原材料や商品などのやり取りを停止したりすることが重要です。
また、可能な限り経営への影響を小さくするためには、取引先が倒産してもカバーできる資金繰りが求められます。中小企業の場合、備えられる金額には限界がありますが、できるだけ現金を枯渇させない経営を目指しましょう。