
新入社員の雇用保険手続きとは?期限はいつ?必要書類・手続きをまとめて解説
雇用保険は、要件を満たす従業員を1名でも雇うと加入手続きが必要です。新卒採用だけでなく、中途採用などにより不定期に発生することがあり、採用日の翌月10日までに手続きをしなくてはなりません。また2028年10月1日から、雇用保険の加入要件が週所定労働時間10時間以上の社員へ拡大されます。
本記事では、雇用保険とは何か、社員を雇用保険に加入させる手続きの流れや注意点を解説します。
目次[非表示]
- 1.雇用保険加入手続きとは?期限はいつまで?
- 1.1.雇用保険被保険者資格取得届をハローワークへ提出
- 1.2.雇用保険の加入対象者
- 1.3.雇用保険の加入対象者は週10時間以上へ拡大【2028年10月1日施行】
- 1.4.雇用保険の手続きに必要な書類
- 1.5.手続きの期限は採用した日の翌月10日
- 2.雇用保険手続きに必要な法定3帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)とは?
- 3.社会保険(健康保険、厚生年金)の資格取得手続きとは?期限はいつまで?
- 4.雇用保険・社会保険の手続きが遅れた場合における対処法とは?
- 5.雇用保険被保険者証・年金手帳を紛失した場合の対処法とは?
- 6.新入社員の入社手続きに関するよくある質問(FAQ)
- 6.1.Q1:雇用保険被保険者資格取得届とは何ですか?
- 6.2.Q2:雇用保険加入手続きはオンライン申請(電子申請)できますか?
- 6.3.Q3:社会保険料の徴収ミスが判明した場合、どうすればよいですか?
- 6.4.Q4:社会保険に未加入または保険料を滞納するとどうなりますか?
- 6.5.Q5:外国人社員が社会保険加入を嫌がっている場合、どうすればよいですか?
- 7.採用から人材育成までF&M Clubがトータルでサポート
雇用保険加入手続きとは?期限はいつまで?

雇用保険とは、社員が離職した場合における生活の維持や再就職の促進を目的とする強制保険です。原則として、加入条件に該当する社員が1名以上いれば、業種にかかわらず加入手続きが必要です。
雇用保険へ加入させる手続きの期限は、社員の入社日の翌月10日です。主な加入手続きは次のとおりです。
雇用保険被保険者資格取得届をハローワークへ提出
新入社員の「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークへ提出します。電子申請も可能です。
雇用保険の加入対象者
雇用保険の加入対象者となる条件は以下のとおりです。雇用保険の適用事業所に雇用される社員であれば、パートタイム、アルバイトなど雇用形態を問わず対象となります。
【雇用保険の加入対象となる社員】
- 31日間以上の雇用見込み
- 週所定労働時間が20時間以上(2028年10月1日以降は週10時間以上)
- 学生ではない
雇用保険の加入対象者は週10時間以上へ拡大【2028年10月1日施行】
雇用保険法が改正され、2028年10月1日から雇用保険の加入対象となる要件が週所定労働時間10時間以上の社員へ拡大されます。
雇用保険の手続きに必要な書類
社員を採用したときにハローワークへ提出する書類は、原則として雇用保険被保険者資格取得届のみであり、添付書類は不要となっています。
ただし期限経過後に届け出する場合は以下のような添付書類を求められることがあります。(ハローワークにより異なることがあります)
- 法定3帳簿(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿)
- ほかの社会保険の資格関係書類
- 雇用期間を確認できる書類(雇用契約書など)
手続きの期限は採用した日の翌月10日
新入社員を雇用保険に加入させる手続きの期限は、採用日の翌月10日です。
【参考】雇用保険法などの一部を改正する法律の概要|厚生労働省
【参考】雇用保険事務手続きの手引き【第2編】被保険者資格の取得・喪失編(2025年8月版)|厚生労働省
雇用保険手続きに必要な法定3帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)とは?

雇用保険の提出期限(採用日の翌月10日)を経過してから雇用保険被保険者資格取得届を提出する場合、「法定3帳簿」の添付を求められることがあります。
法定帳簿とは労働者名簿・賃金台帳・出勤簿・年次有給休暇取得管理簿
法定3帳簿とは、労働基準法で企業に作成が義務づけられている「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」のことです。
2019年4月から新たに作成が法律で義務づけられた「年次有給休暇取得管理簿」を加えて「法定4帳簿」と呼ばれることがあります。
法定帳簿は入社手続き時に作成
法定4帳簿は、社員の入社手続きの際に必ず作成しなければならない書類です。
法定3帳簿を作成・保存していなかった場合、罰則の対象となる可能性があります。「年次有給休暇取得管理簿」を作成・保存していなかった場合は指導対象となる可能性があります。
法定4帳簿の主な記入項目と保存期間
法定4帳簿の主な記入項目と保存期間をまとめると以下のとおりです。
帳簿の種類 | 主な記入項目 | 保存期間の始期 | 保存期間 |
労働者名簿 | 氏名、生年月日、履歴、性別、住所、従事する業務、雇入年月日、退職年月日など | 死亡、退職または解雇日 | 3年間 |
賃金台帳 | 氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数(深夜・休日・残業時間を含む)、基本給および手当額、賃金控除額など | 最後の賃金について記入した日 | 5年間 |
出勤簿 | 氏名、出勤日、出勤日ごとの始業・終業時間、休憩時間、残業時間など | 最後の出勤日 | 3年間 |
年次有給休暇取得管理簿 | 基準日、付与日、日数 | 有給休暇付与日 | 3年間 |
【参考】労働基準法で規定された代表的な4帳簿|出雲労働基準監督署
社会保険(健康保険、厚生年金)の資格取得手続きとは?期限はいつまで?
新入社員の入社手続きは雇用保険とともに社会保険(健康保険、厚生年金)手続きも必要です。社会保険の主な手続きと期限は以下のとおりです。
社会保険は資格取得届を健保組合などへ提出
新入社員の社会保険(健康保険、厚生年金)の手続きは、健康保険組合、厚生年金基金または年金事務所へ、「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を提出することです。
新入社員に配偶者や子どもがいる場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」の提出も必要です。その配偶者が国民年金第3号被保険者に該当する場合は、「国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届」を提出します。
社会保険加入手続きは資格取得から5日以内
提出期限は資格取得(雇用開始)から5日以内です。電子申請も可能です。
【参考】就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き|日本年金機構
雇用保険・社会保険の手続きが遅れた場合における対処法とは?

雇用保険や社会保険の加入手続きを期限に提出できなかった場合における対処法は以下のとおりです。
雇用保険加入手続きが遅れた場合の提出書類
3か月以上遅れた場合、賃金台帳と出勤簿の提出を求められます。
6か月以上遅れた場合は、さらに遅延理由書の提出を求められます。(遅延理由書の提出を求められる遅延期間はハローワークにより異なります)
雇用保険では、遡れる期間は原則として2年間です。2年間を超えて遡るためには、雇用保険料の控除が賃金台帳などで確認できることが条件です。
社会保険加入手続きが遅れた場合の提出書類
社会保険の期限が遅れた場合においても、賃金台帳と出勤簿の提出を求められます。
社会保険未加入の場合、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科せられることがあります。
雇用保険被保険者証・年金手帳を紛失した場合の対処法とは?

「雇用保険被保険者証がなく、雇用保険被保険者番号がわからない」「年金手帳(基礎年金番号通知書)を紛失し、基礎年金番号がわからない」などの場合における対処法は以下のとおりです。
雇用保険被保険者証の再交付申請はハローワーク
雇用保険被保険者証は再交付を受けることができます。
社員本人が、ハローワークへ本人確認書類を持参し再交付申請書を提出します。
年金手帳の再交付申請は年金事務所
年金手帳(基礎年金番号通知書)についても再交付を受けることができます。
社員本人が、個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号を記載した年金手帳再交付申請書を年金事務所へ提出します。
【参考】基礎年金番号通知書や年金手帳を紛失またはき損したとき|日本年金機構
新入社員の入社手続きに関するよくある質問(FAQ)
新入社員の入社手続きに関するよくある質問とその回答は次のとおりです。
Q1:雇用保険被保険者資格取得届とは何ですか?
A:雇用保険被保険者資格取得届とは、企業が社員を採用したときにハローワークへ提出する書類です。本取得届を提出した後、「雇用保険被保険者証」「雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」が交付されます。
Q2:雇用保険加入手続きはオンライン申請(電子申請)できますか?
A: はい、雇用保険加入手続きはe-Govポータルから電子申請できます。
Q3:社会保険料の徴収ミスが判明した場合、どうすればよいですか?
A.徴収ミスが判明した場合、社員へ正しい社会保険料額を説明し、徴収額を清算します。徴収額の過大または過少を清算する方法は、当月中の清算、翌月の給料の範囲内で清算、年末調整の際に清算などです。
Q4:社会保険に未加入または保険料を滞納するとどうなりますか?
A.社会保険に未加入または社会保険料を滞納した場合、延滞金の発生や差し押さえに発展する可能性があります。また悪質な場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金を科される可能性があります。
Q5:外国人社員が社会保険加入を嫌がっている場合、どうすればよいですか?
A.外国人社員に、日本の社会保険に加入したくないといわれることがあります。日本の社会保険のような制度がない国もあるためです。
雇用保険や社会保険は、国籍を問わず適用されるため、採用前に明確に説明し、加入手続きをおこないましょう。
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