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会社と社長個人のおサイフは別??それぞれのバランスシートを分析するには?

多くの経営者は「会社と社長個人のおサイフは一緒」という意識が強く、資金繰りが悪化した際も社長自らのポケットマネーで補填するという方がいらっしゃいます。しかし、帳簿上で管理していても貸付扱いとなりやすい社長のおサイフはしっかりと分析、管理しなければなりません。

本記事では、会社と社長個人のおサイフをしっかりと分けて、財務上のリスクを軽減するための方法を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.税務署は厳しくチェックしています
  2. 2.社長が経費にできる支出を把握しましょう
    1. 2.1.経費=損金に算入できるかが判断ポイント
    2. 2.2.損金不算入となる支出を押さえましょう
  3. 3.バランスシート(貸借対照表)での分析方法
    1. 3.1.会社の支出におけるバランスシート分析のポイント
    2. 3.2.社長の支出におけるバランスシート分析のポイント
  4. 4.資金繰り改善はF&M Clubをご利用ください
  5. 5.まとめ


税務署は厳しくチェックしています

会社と社長を同じように考えがちですが、あくまで会社は法人であり、社長は個人であることを忘れてはいけません。そのため、帳簿上の処理の扱い方が少し異なるため、税務署から矛盾点を指摘され、後に課税されてしまいます。

社長が最も注意したい内容のひとつに現金貸付があります。

経営を取り巻く環境の不確実性が高まる中、経営の先行きに不安を感じる中小企業の経営者が増えています。また、コロナ融資の元本返済が始まり、資金繰りが悪化しやすい状況となっており、社長から会社へ、会社から社長へと現金の貸付や不動産の借地権の提供をおこなう機会も増えています。

しかし、会社と社長間での現金貸付には注意が必要です。

社長が会社からお金を借りる際は、原則、利息を会社に支払う必要があります。そのため、もし利息を払っていない場合、会社が受け取るはずの利息額は社長の給与とみなされ、課税の対象となります。

「無利息で会社から借りれば、問題ない」という経営者もいらっしゃいますが、金額が大きくなれば、税法上で指摘される可能性があるため、会社から貸付を受ける場合は顧問税理士に必ず相談しましょう。

資金繰りの悪化を理由に社長から会社に貸付をおこなう場合、無利息でも問題ありません(法人税法上、支払利息という損金と受贈益が相殺され、所得税法上は取引がないとみなされる)。

しかし、資金繰りの悪化により銀行融資を受ける際に社長が個人保証することで、会社から適正額以上の保証料を受け取る場合、給与扱いとなることがあります。

保証料の適正額は信用保証機関が保証した場合の保証金額となります。もし、信用保証機関よりも高い保証額を設定している場合、税務署の指摘が入りやすいといえます。

その他、資金繰りを安定化させるために、社長が保有する不動産を会社に借地権として貸与し、会社から権利金を受け取った場合、社長には譲渡所得、会社は支払った権利金額を資産計上する必要があります。

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社長が経費にできる支出を把握しましょう

社長だからといって、会社のお金を自由に使えるわけではありません。法令で定められた範囲と経費計上できる支出を把握することが大切です。


経費=損金に算入できるかが判断ポイント

会社にとって、経費は支出です。そのため、法人の経理処理では「損金」に含まれます。また、社長が経費を利用する際は「社長のプライベートと一体化しているもの」と「そうでないもの」を分けて考えましょう。

社長と「プラベートと一体化している」経費は、家賃・水道光熱費、消耗品費が挙げられます。

自宅を事務所として活用している社長は使用スペースや自宅での仕事の平均時間をもとに経費分として計上できます。また、生活用と事業用のスペースを明確に区分することが税務調査への対策となります。

会社名義で賃貸物件を法人契約する場合、家賃の50%以上は経費として計上が可能です。

消耗品費は事務用品に加え、自動車のガソリン代も計上が可能です。価格が10万以内、使用可能期間が1年以内です。中小企業の場合、価格が30万未満の資産まで経費計上が可能です。事業用パソコンの購入費も含まれます。


損金不算入となる支出を押さえましょう

社長が経費計上できると勘違いしがちな経費は以下の通りです。


  • 接待交際費
  • 役員報酬(定額同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与は損金参入が可能です)
  • 一部の税金(法人税や地方税、延滞税など)
  • 減価償却超過額(減価償却費を超える償却費用)


その他、寄付金(上限額が設定されている)同族会社との取引(賃貸料など)も損金不算入として扱われます。

中でも社長が気をつけたい経費が接待交際費です。

交際費は原則、損金不算入として扱われます。しかし、社外飲食接待費は資本金1億円以下の中小企業は800万まで全額資本金1億円以上の大企業は50%までが損金として算入できます。また、会議室利用費も全額損金扱いとなります。

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バランスシート(貸借対照表)での分析方法


バランスシート(貸借対照表)とは、企業の資産、負債、純資産の状態を表した書類です。損益計算書とキャッシュフロー計算書に並ぶ、財務三表のひとつといわれており、バランスシートは決算時に作成しなければならない書類でもあります。

一定期間の現金の動きを示す表であり、公私混同しやすい社長のおサイフもバランスシートで適切かどうか、判断しましょう。


会社の支出におけるバランスシート分析のポイント

バランスシートは他の財務表と異なり、いつどこで会社に現金が入り、現金が出ていったかを把握するための重要な資料です。

中でも、自己資本比率が重要となります。自己資本比率が高くてもその内容に問題がある場合、資金繰りが悪化する可能性があります。

自己資本比率のうち、売上債権や棚卸資産が大半を占める場合、手元に現金が残っていないことを指し、資金繰り悪化の原因となります。資金繰り悪化を防ぐ上でも追加融資や借り換えによる返済負担を軽減して、手元に現金を残さなければなりません。

総資産に対して、借入金や預金の比率のバランスが大切です。

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社長の支出におけるバランスシート分析のポイント

社長の支出も会社と同様に考える必要があります。社長も会社から給与として貰い受けるため、プライベートでの生活費も給与(手元にある現金)の範囲内で収めなければなりません。

そのため、給与以上に支出を増やすと、社長個人のバランスシート上では、自己資本比率が減っていき、マイナスに転じた時点で負債(借入金)が資産(手元に給与または預金)を上回り、債務超過となります。基本的には社長のサイフのバランスシートも考え方は同じです。

しかし、普段、自分の支出(サイフ)をバランスシートで管理する社長は少なく、「出所が同じだから、会社と自分の財布は同じ」と考えているため、気づけば、負債(借入金)が多くなり、税務署から指摘されるという事態に発展してしまいます。

一方で、経営者として取引先との付き合いや、資金繰りに対して責任を持つ立場である社長はプライベートと仕事が混合になりがちです。

そのため、社長が会社の経費を使って、事業に約立てるためには、(社長のサイフ専用の)バランスシートの負債を定期的に見直しましょう。

経費で計上できると思っていた支出が損金不算入扱いとなり、会社から自分に対して、いくら貸付金として計上されているか、確認します。その上で自分の給与や預金といった手元の現金(資産)と比べた際、債務超過に陥っていないか、確認することが大切です。

会社の視点では、(無利息の場合)社長への貸付金が増えているため、資金繰りの悪化にもつながります。

自分が使う支出のうち、損金不算入の支出がいくらあり、会社からの貸付金がいくらになっているか、会社と社長のバランスシートと見比べて、管理しましょう。

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資金繰り改善はF&M Clubをご利用ください

コロナ禍の影響や原油・原材料費の高騰を受け、資金繰りが苦しい中小企業が増えています。

また、2022年秋よりコロナ融資による元本返済が開始しており、2023年以降は同様に元本支払いが始まる企業が多数となっています。

資金繰りの悪化により、運転資金の確保を自分のポケットマネーで賄おうとする経営者もめずらしくありません。しかし、本来であれば、金融機関と同様、貸付利子が発生することとなり、不適切なキャッシュフローと判断される可能性があります。

もし資金繰りに不安を感じる経営者様がいらっしゃいましたら、エフアンドエムまでご相談ください。

F&M  Clubの資金繰り改善サービスでは、「利益が出ているのに手元に現金が残らない」「自社の財務状態がわからない」「税務アドバイスをしっかりと受けたい」とお考えの経営者様にキャッシュフローの改善、財務分析を通じて、資金繰り改善のサポートを提供しております。

まとめ

会社と社長のおサイフは混合しやすいですが、法人税法や所得税法上、不適切な会計処理と判断される恐れがあるため、損益計算書(バランスシート)を分析しながら、適切な現金やり取り、経費を使いましょう。また、会社の視点では「経費=損金」となります。

社長の私用目的による会社からの借入は資金繰りの悪化につながりかねません。社長と会社との間で現金を動かす際は必ず専門家に相談しましょう。

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