事業資金不足の原因と対策は?資金繰り表を活用した財務分析まで解説
コロナ禍や物価高、円安などの影響によって事業資金が不足してしまい、思い頭を悩むませている経営者がは多い状況です。
事業資金不足に対して何らかの方法で対策を講じなければ、経営難に陥ります。
本記事では、事業資金不足の原因と対策、資金繰り表を活用した財務分析について解説します。
目次[非表示]
- 1.資金不足の原因を探る
- 2.資金不足を補う対策を!講じる
- 2.1.入金日と支払日を交渉する
- 2.2.不採算事業の縮小と売却
- 2.3.資金調達
- 2.3.1.日本政策金融公庫からの融資
- 2.3.2.民間銀行からの融資
- 2.3.3.信用保証協会からの融資
- 3.資金不足でもやってはならないこと
- 3.1.街金融や商工ローンからの借り入れ
- 3.2.税金の滞納
- 4.資金繰り表で財務分析をおこなう
- 4.1.売上債権回転期間は適切か?
- 4.2.仕入債務回転期間は適切か?
- 4.3.棚卸資産回転期間は適切か?
- 5.F&M Clubの資金繰り改善サポート
- 6.まとめ
資金不足の原因を探る
資金不足に陥りがちな原因として4つあります。
売上の減少
一般的に売上の減少によって事業資金の不足はよくあります。
特にコロナ禍によって売上が減少した企業も多い状況です。
売上が減少すれば経費も減少しますが、事務所家賃や従業員給与の支払いなどの固定費はが減るわけではありません。
売上の減少と固定費の圧迫が原因で資金不足に陥ることもあります。
支払いが多い
支払いコストの増加も資金繰りを悪化させる原因のひとつです。
企業経営では、販売するために商品の仕入や材料費の発注、事務所家賃や従業員給与、水道光熱費、通信費などさまざまなコストがあります。
売上の増減によってコストが変わる変動する変動費や、売上と関係なく発生する固定費は定期的に見直すことが必要です。
また経営管理を煩雑にしていると、業績が上がっている時に問題がなくても、業績が下がるとたちまち資金繰りが悪化し資金不足に陥ります。
定期的に業務の効率化を検討するしたり、変動費や固定費を見直したりすることが大切です。
売掛金の回収が遅い
商品の仕入れや材料などを仕入れて商品を作る場合、商品の売上金を回収するよりも先に支払和なければなりません。
また商品販売を掛け取引していれば、早くても月末締めの翌月末払いとなり、当月売上は翌月末に現金として回収できます。
もし販売先に不都合が生じれば、支払いが遅れる可能性があります。
資金不足は、売上よりも支払いが先に来ることが要因であり、できるだけ売掛金の回収を早められるようにして、仕入れなどの支払いはできるだけ猶予してもらうことで資金繰りの悪化を防ぐことが可能です。
また急激な売上増加によって、仕入れを増やすことで資金不足に陥ることもあります。
最悪の場合、黒字倒産につながるため、売上の増減に限らず仕入れと支払いに注意しておきましょう。
過剰在庫
売上実績が上がっている時は、在庫を多く保有しがちですめに持つことが多いでしょう。
しかし販売が不調となれば保有している在庫によって利益を圧迫してしまいます。
過剰在庫とならないように、販売傾向を予測し、必要なものを必要な分だけ仕入れて在庫にすることが大切です。
資金不足を補う対策を!講じる
資金不足の原因がわ分かったら、速やかに対策を講じることが大切です。
対策方法として3つあります。
入金日と支払日を交渉する
資金不足の原因として、「入金日が遅く、支払日が早い」ことが多いといえます。
掛け取引の場合さらに回収が遅れる可能性もあります。
条件を変更するためには、業者に入金を早めてもらう方法や、取引先に支払期間を延ばしてもらう方法があり、相手の事情もあるため自社本位にならず、丁寧に交渉していくことが大切です。
不採算事業の縮小と売却
不採算事業で不採算になっているものがあればは、縮小を検討しましょう。
特に改善しても赤字が続いている事業や、利益率が悪化する事業が対象です。
不採算事業の中で、将来に売上増加を見込める場合でも、一時的な縮小が必要であれば対応しましょう。
資金不足の場合、現状で事業収益が見込める事業のみを選択し、リソースを集中することが大切です。
自社の不要な事業を切り離して、他の企業に売却する方法があります。
自社にとって必要なくても他社が必要としている場合があるためです。
売却には会社や事業の譲渡である「株式譲渡」と事業部の一部を譲渡する「事業譲渡」があり、売却によって資金繰りが改善され、資金不足を解消できます。
資金調達
資金不足を早急に解決させる方法として資金調達が挙げられます。
ただし、資金がないから金融機関から調達するというだけでは融資を受けられません。
融資を受けた資金で現状からどのように経営改善し、借入金の返済をおこなっていくかが重要です。
融資の際に事業計画や財務分析、返済計画を事前に作成してから臨みましょう。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫では、「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3つの融資事業があります。
国民生活事業の事業資金融資は、個人事業主や小規模事業者を対象としており、事業者に向けた「一般貸付」や、創業支援、事業再生支援などに活用できる「特別貸付」、飲食店営業や理容業などの生活衛生関係の事業者に向けた「生活衛生貸付」を利用できます。
中小企業事業の事業資金融資は、中小企業を対象としており、新事業育成資金や新事業活動促進資金、企業活力強化資金などの利用が可能です。
農林水産事業の事業資金融資は、農林漁業や国産農林水産物を取扱う加工流通分野の事業者を対象としており、長期事業資金などを融資しています。
【参考】日本政策金融公庫
民間銀行からの融資
現在取引している銀行から融資を受ける、新しく他の銀行から融資を受ける方法です。
すでに融資を受けている場合、取引銀行内での借り換えという方法もあります。
借り換えは、現在受けている融資を新しく借り入れることで、現在の金利よりも低い金利でおこなえます。
金利が低くなるため毎月の返済額を減らすことが可能です。
ただし取引銀行以外の借り換えは、現在の取引銀行との信頼関係を損ねる可能性もあるため注意が必要です。
信用保証協会からの融資
信用保証協会が保証する融資を「保証付融資」といい、借主の返済が滞った際に信用保証協会が金融機関に対して立替え払いします。
金融機関との取引が浅い小規模事業者や中小企業が融資を受けると、「信用保証協会」の保証を求められるため、事業者は信用保証料を支払って保証してもらえます。
【参考】全国信用保証協会連合会
資金不足でもやってはならないこと
資金不足になると一般的に推奨されない融資に依頼しがちです。
資金不足でもやってはならないことが2つ存在します。
街金融や商工ローンからの借り入れ
街金融や商工ローンは、金融機関よりも審査が緩く借り入れしやすい特徴があります。
しかし高金利であるため、借り入れたものの返済できない事態に陥ることがあるため注意が必要です。
また街金融や商工ローンから借り入れてしまうと、金融機関から経営難である会社と判断されてしまい、その後の融資が受けられなくなることがあります。
資金不足になったとしても、街金融や商工ローンからの借り入れは避けましょう。
税金の滞納
税金の滞納を放置すると最悪会社の財産を差し押さえられてしまいます。
また金融機関の審査にも影響を与えてしまい、経営難の会社と判断され融資が受けられないリスクがあります。
税金の支払いが難しければ、管轄する税務署に分割納付を相談して支払い意思を示すことが重要です。
資金繰り表で財務分析をおこなう
資金不足に陥らないために、資金繰り表を活用した財務分析を紹介します。
売上債権回転期間は適切か?
売上債権回転期間は、売掛金などがどのくらいの期間で回収できるかを表し
「売上債権回転期間=売上債権÷平均月商」で算出します。
期間が短ければ、売掛金などの現金化が早く、資金不足の解消につながります。
仕入債務回転期間は適切か?
仕入債務回転期間は、買掛金などがどのくらいの期間で決済されるかを表し
「仕入債務回転期間=仕入債務÷平均月商」で算出します。
期間が短ければ、買掛金などの決済が早いことになるため、資金不足に陥る可能性があります。
売上債権回転期間と仕入債務回転期間の両方を確認して、売上金の回収や仕入れを遅らせるなどの対策を講じましょう。
棚卸資産回転期間は適切か?
棚卸資産回転期間は、企業が所有する在庫がどのくらいの期間で販売されるかを表し
「棚卸資産回転期間=棚卸資産÷平均月商」で算出します。
期間が短ければ、在庫が適切なサイクルで売上になっているため、資金不足の可能性は低いと判断できます。
F&M Clubの資金繰り改善サポート
F&M Clubでは、企業のさまざまな経営課題を解決できるサービスを月額3万円(税抜)で提供しています。
企業の経営課題のひとつに、事業資金不足があります。
資金不足の解消に向けて資金繰りを改善し、安定させることが重要です。
F&M Clubが提供する財務分析では、キャッシュフロー分析や信用保証協会と同じスコアリングシステムを活用するCRD格付をおこないます。
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まとめ
企業経営をおこなっていると事業資金不足があります。
現在は物価高、円安などの影響もあるため、慢性的に資金不足に陥る企業も少なくありません。
事業資金不足を解消するためには、財務の視点からどんな原因があるかを探り、適切な対策を講じる必要があります。
F&M Clubでは、企業の財務分析をおこなって適切な改善策の提案と導入を専門スタッフがおこないます。
ぜひお気軽にご相談ください。