福利厚生費とは?人件費との違いや経費計上の条件、中小企業での活用方法を解説

株式会社エフアンドエム
福利厚生は、従業員の生活や健康を支えるだけでなく、採用力や定着率を高めるためにも重要な取り組みです。
一方で、「人件費と福利厚生費は何が違うのか」「福利厚生にかかった費用はどこまで経費にできるのか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、福利厚生費の基本や人件費との関係、税務上の注意点、福利厚生を人材採用や職場づくりに活用する方法を解説します。
※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに作成しています。個別の税務・社会保険上の取り扱いについては、税理士や社会保険労務士などの専門家へご確認ください。
目次
福利厚生費とは
福利厚生費とは、従業員の健康維持や生活支援、職場環境の改善などを目的として、会社が負担する費用です。
健康診断や食事補助、慶弔見舞金、社員旅行、福利厚生サービスの利用料などが代表例として挙げられます。
人件費の一部が福利厚生費
人件費とは、会社が従業員を雇用することで発生する費用の総称です。給与や賞与だけでなく、社会保険料の会社負担分、退職給付、教育訓練費、福利厚生費なども含まれます。そのため、福利厚生費は人件費を構成する費用の一つです。経営管理では給与だけを見るのではなく、社会保険料や福利厚生費を含めた総額を把握する必要があります。
【出典】就労条件総合調査 用語の解説|厚生労働省
人件費に占める福利厚生費の割合
厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査」によると、常用労働者1人1か月平均の労働費用総額に占める現金給与額の割合は82.0%、現金給与以外の労働費用は18.0%でした。
ただし、この「現金給与以外の労働費用」には、法定福利費、法定外福利費、現物給与の費用、退職給付等の費用、教育訓練費などが含まれます。
そのため、「福利厚生費だけで人件費の約2割」という意味ではありませんが、企業が給与以外にも相応の費用を負担していることが分かります。
【出典】令和3年就労条件総合調査の概況|厚生労働省
法定福利費と法定外福利費の違い
福利厚生に関する費用は、主に「法定福利費」と「法定外福利費」に分けられます。
法定福利費は、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険など、法律に基づいて会社が負担する費用です。
法定外福利費は、会社が任意で導入する福利厚生にかかる費用です。食事補助、住宅支援、健康診断、慶弔見舞金、資格取得支援、社員旅行などが該当します。
一般的な会計処理では、社会保険料の会社負担分を「法定福利費」、任意の福利厚生にかかった費用を「福利厚生費」として区分します。
福利厚生費として経費計上するための条件とは

ポイントは『全従業員』と『社会通念上、妥当』であること
福利厚生費として扱うためには、原則として全従業員が利用できる制度であり、金額や内容が社会通念上妥当な範囲であることが重要です。
例えば、社内規程などの一定の基準に基づいて支給される結婚祝金、出産祝金、香典、病気見舞金などは、金額が社会通念上相当であれば、福利厚生費として扱われる場合があります。
一方、役員や特定の従業員だけを合理的な理由なく対象とする場合や、実質的に現金給与と変わらない支給は、給与として課税される可能性があります。
制度を導入するときは、対象者、利用条件、会社負担額、申請方法などを社内規程に明記しましょう。
【出典】使用人に社宅や寮などを貸したとき|国税庁
金額や条件が定められている福利厚生
福利厚生の中には、非課税となる条件や金額が具体的に定められているものがあります。
食事の現物支給については、従業員が食事の価額の半分以上を負担し、会社負担額が月額7,500円( 税別)以下である場合、原則として給与課税されません。現金で食事代を支給する場合は、一定の深夜勤務時を除き、原則として給与課税の対象です。
【出典】食事の支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて|国税庁
公共交通機関を利用する従業員への通勤手当は、最も経済的かつ合理的な経路による金額について、最高限度月額15万円までが非課税限度額です。
【出典】電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁
また、希望者全員を対象に一般的な人間ドックを実施し、会社が費用を負担する場合は、福利厚生費として扱われることになります。
【出典】人間ドックの費用負担|国税庁
福利厚生費と所得税・社会保険料の関係

会社側で福利厚生費として経費計上できることと、従業員側で所得税や社会保険料がかからないことは同じではありません。
所得税が非課税になる制度でも、社会保険上は「報酬」に含まれる場合があります。食事や住宅などを労働の対償として現物支給した場合は、所定の価額に換算して標準報酬月額に合算することがあります。
「福利厚生費として処理したから非課税」と判断せず、税務と社会保険の両面から確認することが大切です。
【出典】全国現物給与価額一覧表|日本年金機構
福利厚生の充実で採用力・従業員定着率の向上を図るには
福利厚生は、従業員への還元だけでなく、採用や定着に関する課題を改善する施策としても活用できます。
給与や休日などの条件が近い企業を比較する際、福利厚生の内容が応募先を選ぶ判断材料になることがあります。日常的に利用できる制度を求人票や採用ページで具体的に伝えることで、会社の魅力をアピールしやすくなります。
ただし、制度を用意するだけでは十分ではありません。利用方法が分からなかったり、一部の従業員しか利用できなかったりすると、満足度の向上にはつながりにくくなります。
従業員の年齢層や家族構成、働き方を踏まえ、幅広い人が利用しやすい制度を選び、利用状況を定期的に確認しましょう。
自社に合う福利厚生や職場づくりにF&M Clubを活用
福利厚生を充実させたいと思っても、自社だけで提携先を探し、制度を運用することに負担を感じる中小企業も少なくありません。
F&M Clubは、採用・教育・労務・財務・補助金・助成金など、中小企業のバックオフィスに関する課題を支援する月額制サービスです。
月額30,000円(税別)で40種類以上のサービスを利用でき、専任担当者が各社の課題や目標に合わせてサービス活用をサポートします。
※F&M Clubの月額料金には、就業規則などの作成から変更管理まで、すべておまかせの『まかせて規程管理』サービス利用料金2,000円(税別)が含まれています。
F&M福利厚生はF&M Clubで利用できる機能の一つ
F&M福利厚生は、F&M Clubで利用できる機能の一つです。ギフトなしの基本プランは、F&M Clubの月額料金内で利用できます。
従業員はスマートフォンから、飲食、買い物、旅行、映画、レジャーなどの優待を利用できます。資料掲載時点で、利用できる店舗は10万店舗以上です。
従業員本人だけでなく、2親等まで(または 二親等まで)の家族も無料で利用できます。
また、ストレスチェックをアプリ上で実施でき、従業員の心の健康管理や企業のリスク管理にも活用できます。
福利厚生以外の採用・教育・労務課題もまとめて支援
従業員の採用や定着には、福利厚生だけでなく、求人票、教育体制、評価制度、就業規則なども関係します。
F&M Clubでは、福利厚生に加えて、求人票の作成支援、従業員教育、就業規則や社内規程の整備、財務分析、補助金・助成金の情報収集なども支援しています。
福利厚生をきっかけに、人材採用や職場環境全体を見直すことで、従業員が安心して働ける会社づくりにつなげられます。
まとめ
福利厚生費は人件費の一部であり、従業員の健康や生活、働きやすさを支えるために会社が負担する費用です。
適切に制度を整えることで、従業員満足度の向上や採用力の強化、離職防止が期待できます。
一方、対象者や支給方法によっては、給与課税や社会保険料の対象になる可能性があります。対象者や利用条件を社内規程に明記し、必要に応じて税理士や社会保険労務士などの専門家へ確認しましょう。




