最低賃金の過去最大引き上げ!公的支援や節税対策を活用しましょう!
最低賃金の引き上げが決定され、利益率が低い企業にとって頭を抱える経営者も多いのではないでしょうか。
2020年から始まったコロナ禍の影響から抜け出せていない企業も多く存在する現状です。
本記事では、過去最大の最低賃金引き上げや、公的支援や節税対策の活用方法を解説します。
目次[非表示]
- 1.【2022年】なぜ最低賃金の上げ幅過去最大に?
- 2.賃上げ促進税制(賃上げ税制)による節税
- 2.1.賃上げ税制の概要
- 2.2.所得拡大促進税制との違い
- 3.給与アップと教育をセットで節税に!
- 4.最低賃金引き上げへの支援「業務改善助成金」
- 4.1.業務改善助成金の概要
- 4.2.業務改善助成金の要件
- 5.F&M Clubの経営力向上計画策定のご紹介
- 6.F&M Clubの補助金支援
- 7.まとめ
【2022年】なぜ最低賃金の上げ幅過去最大に?
2022年の最低賃金の引き上げ額は、過去最大の31円、引き上げ率に換算すると3.3%となり、8月2日に決定されました。
最低賃金の引き上げは、厚生労働省に設置された中央最低賃金審議会で労使の代表者や有識者が協議して最低賃金の目安を決定します。
現在の最低賃金の全国平均額は930円で、今回の引き上げ額31円を加えると961円となります。
最低賃金は時給の最低額となるため、もし最低賃金を下回る時給の場合、企業に対して罰金が科せられます。
ここ数年の最低賃金の伸び率は、約3%であり2020年を除いて毎年20円超上がっていました。
2022年はコロナ禍の影響が収まっていないばかりか、世界情勢の不安定化による影響で原材料は高騰し、さらに円安によって拍車がかかっている中での過去最大の引き上げ額です。
一般消費者からみれば、食料やエネルギーなどの生活必需品が値上げしているため、経営者よりも一般消費者に配慮するために最低賃金を引き上げたといえます。
【参考】令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について│厚生労働省
賃上げ促進税制(賃上げ税制)による節税
賃上げ促進税制とは、従業員の給与などの支給額を前年度より一定以上増加させた場合、その増加額の一部を税額控除できる制度です。
企業の場合、法人税が控除され、個人事業主は所得税が控除されます。
賃上げ税制の概要
2022年4月1日から2024年3月31日までの賃上げ税制の要件と税額控除率は次のとおりです。
適用要件 |
税額控除率 |
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大企業
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雇用者給与等支給額が前年度比3%以上増加 |
15%税額控除 |
雇用者給与等支給額が前年度比4%以上増加 |
25%税額控除 |
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教育訓練費が前年度比20%以上増加 |
+5%税額控除 |
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中小企業
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雇用者給与等支給額が前年度比1.5%以上増加 |
15%税額控除 |
雇用者給与等支給額が前年度比2.5%以上増加 |
30%税額控除 |
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教育訓練費が前年度比10%以上増加 |
+10%税額控除 |
雇用者給与等支給額や教育訓練費を前年度比よりも増加させることで、大企業の控除率が最大30%、中小企業が最大40%となります。
【参考】中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック│経済産業省
所得拡大促進税制との違い
所得拡大促進税制とは、中小企業を対象として賃上げ税制と同様に従業員の給与等支給額を前年度より一定以上増加させた企業に税額控除をおこなう制度です。
賃上げ税制との違いは、税額控除の要件と適用時期が異なり、所得拡大促進税制の適用時期が2021年4月1日から2022年3月31日までに開始されます。
雇用者給与等支給額が前年度比よりも増加し上乗せするためには、経営力向上計画の認定も受けなければなりません。
所得拡大促進税制の税額控除率が20%に対して、賃上げ税制は教育訓練費も要件に加わり、税額控除額も増加するため内容が拡充されました。
給与アップと教育をセットで節税に!
賃上げ税制は従業員の給与と教育訓練をセットでおこなうと最大30~40%の節税効果があります。
従業員の給与を上げることは、人件費の圧迫という負の一面だけでなく、従業員のモチベーション向上や、企業の労働生産性を向上させる効果が期待できます。
節税効果があれば給与を上げやすくなるため、制度を活用しようとする経営者が増えています。
教育訓練は「企業自身がおこなう場合」と「他の業者に委託する場合」、「他の業者がおこなう教育訓練に参加する場合」の3つがあります。
企業自らがおこなう場合、外部講師や指導員を呼んで従業員に教育訓練をおこなうことが該当します。
他の業者に委託する場合は、事業で教育訓練をおこなう企業や団体などに委託料を支払って従業員教育します。
他の業者がおこなう教育訓練に参加する場合、事業として研修講座や講習会、研修セミナーなどに参加して教育を受けましょう。
どの場合も従業員にとって一定の成果があるため、積極的に活用することで節税効果にもつながります。
最低賃金引き上げへの支援「業務改善助成金」
業務改善助成金とは事業所内の最低賃金を引き上げて、企業が設備投資や人材育成、教育訓練などをおこなった場合にその費用の一部が助成される制度です。
業務改善助成金の概要
業務改善助成金は事業所内最低賃金を引き上げ額に応じてコース区分されています。
例えば、引き上げ額30円以上の場合、「30円コース」の区分になり、引き上げる労働者数が1人であれば、助成上限額は30万円となります。
「30円コース」がコース区分の下限であり、90円以上引き上げの「90円コース」が上限です。
「90円コース」で10人以上引き上げれば助成上限額は600万円となります。
助成対象の事業所は、事業所内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内で、事業所規模が100人以下です。
業務改善助成金の要件
助成を受ける要件は4つあります。
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助成額は、申請するコースごとに定められている引き上げ額以上、事業所内最低賃金を引き上げれば、生産性向上のために設備投資や人材育成などに活用した費用に助成率をかけて算出した額が助成されます。
F&M Clubの経営力向上計画策定のご紹介
株式会社エフアンドエムでは、「F&M Club」という中小企業様が抱える経営課題を解決するための支援サービスを月額3万円(税抜)で提供しています。
F&M Clubは、経営力向上計画の策定支援や補助金・助成金支援、財務改善などの支援サービスをおこなっており、累計3万5,000社の中小企業様にご利用いただいています。
経営力向上計画は、中小企業等経営強化法に基づいて、自社の経営力を向上させるために、人材育成やマネジメント、設備投資などを実施するための計画で、認定された事業者は、税制措置や金融機関の支援、法的支援が受けられます。
申請対象者は、従業員数2,000人以下の企業や個人事業主、医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人などです。
経営力向上計画の支援措置である税制措置は、認定計画に基づいて、一定の設備を取得した場合にかかる法人税などの特例や、事業承継などにかかる登録免許税や不動産取得税の特例、準備金の積立を損金とする措置があります。
金融機関の支援には、日本政策金融公庫などの政策金融機関の低利融資や民間金融機関の融資をおこなう際の信用保証、債務保証などの資金調達の支援を受けられます。
法的支援は許認可承継の特例措置や、組合発起人数の特例などがあります。
経営力向上計画は中小企業庁のホームページから申請書をダウンロードできるため、自社で記入して提出は可能です。
F&M Clubの補助金支援
F&M Clubでは経営力向上計画の策定支援の他、自社にあった補助金や助成金、優遇税制の支援サービスを提供しております。
補助金支援では、事業再構築補助金やものづくり補助金などの申請書の策定支援をおこなっており、採択は2,500社以上の実績を基にしてサポートしております。
※補助金申請支援では、面談による事前ヒアリング、採択されるポイントや事業内容のご説明、補助金申請する理由を確認
採択されやすい申請書に仕上げるため、1社につき4名の審査員で本番を想定した審査をおこない、申請で聞かれそうな項目や問題点の事前確認が可能です。
事前の審査を活かして本番に臨むことで補助金申請の採択率向上につながります。
※補助金支援サービスは、F&M Clubにご加入いただいた企業が対象で、別途費用が必要です。
F&M Clubの補助金サポートでは、登録の条件に応じて補助金支援策情報をタイムリーにお届けする「補助金LINE」で、補助金や助成金の見逃しを防止できます。
まとめ
2020年から始まったコロナ禍の影響や世界情勢の不安定化による物価高、最低賃金の引き上げが決定されたことで、経営が苦しい中小企業が増えています。
積極的に賃上げ税制や事業改善助成金といった公的支援策を活用して、経営改善につなげましょう。
F&M Clubでは、経営力向上計画の策定支援を始め、補助金支援サービスや、人材育成、財務改善などの支援サービスを専門スタッフがおこなっています。
ぜひお気軽にご相談ください。