就業規則がない場合どうなる?トラブル事例やリスクについて解説
就業規則は、社員とのトラブルを回避し、良好な経営活動をおこなっていくうえで非常に重要なものですが、社員10人未満の企業の場合、作成義務がありません。
そのため、企業によっては就業規則を作成していない場合もあるかもしれませんが、就業規則がない場合、さまざまなトラブルリスクが生じます。
就業規則がない場合のトラブル事例やリスクについて解説します。
目次[非表示]
- 1.就業規則がないとどうなる?
- 2.就業規則がない場合のリスク・デメリット
- 2.1.社員に対する罰則や減給の制限
- 2.2.会社ルールが曖昧
- 2.3.助成金の申請ができない
- 2.4.雇用形態別の就業規則がない場合
- 3.就業規則がない場合のトラブル事例
- 3.1.賞与支払いに関するトラブル
- 3.2.退職金に関するトラブル
- 3.3.テレワークに関するトラブル
- 3.4.解雇に関するトラブル
- 4.就業規則に関するトラブルを回避するためには
- 4.1.トラブルとなりやすい項目はおさえる
- 4.2.時代に合った就業規則の整備を心がける
- 5.F&M Clubの就業規則支援サービス
- 5.1.就業規則診断サービス
- 5.2.まかせて規程管理
- 6.まとめ
就業規則がないとどうなる?
就業規則は、正社員やパートタイマーなど雇用形態にかかわらず「常時10人以上の社員を雇う企業」において、作成および届出が義務とされています。
10人未満の企業は就業規則がなくてもいい?
「常時10人以上の社員を雇う企業」に該当しない小規模の企業の場合、就業規則の作成および届出の義務は発生しません。
しかし、就業規則は社員とのトラブルを防ぐ「社内ルール」の機能をもち、抑止力として働くため、社員が10人未満の企業においても、作成することが推奨されています。
就業規則がない場合のリスク・デメリット
就業規則がない場合、以下のようなリスクやデメリットがあります。
【就業規則がない場合のリスク・デメリット】
- 社員に対する罰則や減給の制限
- 会社ルールが曖昧
- 助成金の申請ができない
社員に対する罰則や減給の制限
就業規則がない場合、社員とトラブルが生じた時に、懲戒解雇や減給ができません。
企業の経営にとってマイナスとなる行為や違反行為をおこなった社員に対する罰則・減給は、基本的に就業規則の定めにもとづいて決定されます。
あらかじめ就業規則で罰則や減給事項を明確に定めていないことで、違反行為に対する社員の意識が低下しやすくなるリスクもあります。
会社ルールが曖昧
企業がひとつの組織として機能していくためには、社員の行動基準となる「会社ルール」が必要です。
社員同士が不快な思いをしないためには、「身だしなみ」についてのルールが必要であり、近年ますます厳しくなっている「セクハラやパワハラ」などのハラスメントにかかわるルールも、企業が法令違反しないためにも必要となります。
そのほか、「マイカー通勤」に関する規程など、就業規則および諸規程のさまざまな「ルール」は、社員統制する機能をもっているため、就業規則がない場合、ルールが曖昧となり、起業経営にマイナスな影響が生じやすくなるでしょう。
助成金の申請ができない
就業規則がない場合、「助成金の申請ができない」というデメリットもあります。
たとえば、「キャリアアップ助成金」(賃金規定等改定コース)の場合、就業規則または労働協約で「賃金規定」に関するルールを明示させることが必要です。
そのほかにも、「両立支援等助成金」や「働き方改革推進支援助成金」、「人材確保等支援助成金」など、さまざまな助成金の申請で就業規則が必要となるため、就業規則がないことで、助成金の申請をおこなえないというデメリットが生じます。
雇用形態別の就業規則がない場合
さまざまな雇用形態による、常時10人以上の社員を雇う企業が、「正社員用の就業規則」としてひとつの就業規則のみを定めた場合、「パートタイマー用就業規則」など、雇用形態別の就業規則を作成しないと、就業規則の義務違反となります。
また、全社員共通の就業規則として定め、雇用形態別の規定を明記していない場合、あらゆる雇用形態に該当する事項として捉えられるため、トラブルが生じやすくなります。
雇用形態別に給与をはじめとする労働条件が異なる場合、トラブル回避のためにも、雇用形態別に就業規則および諸規程を定めておくことが大切です。
就業規則がない場合のトラブル事例
就業規則がない場合の、具体的なトラブル事例について紹介します。
賞与支払いに関するトラブル
就業規則で「賞与支払い」に関する事項を定めていない場合、トラブルが発生しやすくなります。
特に、「退職予定社員に対する賞与の支払い」は、トラブルとなりやすい事例です。
退職社員にかかわる賞与支給について具体的な定めがない場合、在籍していた期間の「賞与の支払い」を求められることがよくあるケースです。
退職予定社員の賞与支給に関し、「賞与支給日に在籍していること」など、支給条件を明記しておくことでトラブル回避につながります。
退職金に関するトラブル
就業規則で「退職金」に関する事項を定めていない場合、トラブルに発展することもあります。
たとえば、就業規則に退職金に関する定めがあるものの、「正社員のみ適用」などの条件が明記されていない場合、パートタイマーなど、すべての雇用形態による社員に対し、退職金が支払われるものとみなされ、退職金の支払いを請求されるトラブルが生じやすくなります。
テレワークに関するトラブル
近年は、新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、テレワークの普及が加速しています。
そのため、就業規則で「テレワーク」に関する事項を定めていない場合、トラブルに発展する場合もあります。
たとえば、テレワークを推奨していたものの、状況や業務効率化も踏まえて「出社要請」を命じた場合、就業規則に具体的な定めがない場合、社員側がテレワークを「既得権化」してしまい、「出社拒否」されるリスクが生じます。
解雇に関するトラブル
企業は営業成績が思わしくない社員に対し、「解雇したい」と考える場合も少なくないでしょう。
しかし、解雇に関するトラブル事例として、成績が良くないことを理由に社員を解雇したところ、労働審判で解雇無効が訴えられたケースもあります。
解雇に関するトラブルを回避するためには、就業規則に「職種や成績」など、具体的な解雇事由を定めておくことが大切です。
就業規則に関するトラブルを回避するためには
就業規則に関するトラブルを回避するためには、いくつかポイントをおさえたうえで、就業規則を作成することが大切です。
トラブルとなりやすい項目はおさえる
就業規則を作成する際は、トラブルとなりやすい「入退社時や賃金、使用期間などに関する事項」について、具体的に明示します。
時代に合った就業規則の整備を心がける
時代とともに働き方は変化しており、労働基準法をはじめとする法令も頻繁に改正がおこなわれています。
法令違反とならないためにも、「パワハラやテレワーク」など時代に合わせ、定期的に就業規則を見直し、整備することを心がけましょう。
F&M Clubの就業規則支援サービス
就業規則が正しく作成されていない場合や整備されていない場合、あらゆるトラブルが発生しやすくなります。
就業規則が正しく作成されているかどうか、自社のみの判断では難しい場合もあるでしょう。
そのような場合、F&M Clubの就業規則支援サービスの活用がおすすめです。
就業規則診断サービス
「就業規則診断サービス」は、就業規則が社員との「トラブル回避につながるものとなっているか」、「労働基準法に則して適切に作成できているか」を診断し、適宜必要に応じてアドバイスする支援サービスです。
まかせて規程管理
「まかせて規程管理」は、労務管理に必要な規程や協定書を整え、クラウド上で管理可能となるように支援するサービスです。
※規程作成や変更・管理、助成金申請代行等はエフアンドエム社会保険労務士法人(法人番号第2712006号)をはじめとする株式会社エフアンドエムが紹介する社会保険労務士が提供します。
まとめ
就業規則は、社員とのトラブルを回避し、会社が良好な経営をおこなっていくうえで必要な規程です。
就業規則および諸規程の作成や管理を適切におこなわないと、社員とのトラブルだけでなく、法令違反を招いてしまうことがあります。
就業規則は正しく整備し、必要に応じて修正・作成をおこないましょう。