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赤字決算で会社はどうなる?経営の立て直しや税金の扱いについて徹底解説

赤字決算になると、すぐに会社が潰れるのではないかと不安になる方も多いでしょう。赤字決算でも自己資金が十分にあれば、経営は存続できます。ただし、長期にわたって赤字が続けば自己資金が枯渇して債務不履行となり倒産につながってしまいます
 
今回は赤字決算について概要・メリット・デメリット・脱却方法などを解説します。赤字決算からいち早く脱却し、自社の経営を安定化させたい企業はぜひ参考にしてください。


目次[非表示]

  1. 1.赤字決算でもすぐに会社が潰れるわけではない
  2. 2.赤字決算とは
  3. 3.赤字決算と似た用語
    1. 3.1.資金ショート
    2. 3.2.債務超過
    3. 3.3.黒字倒産
  4. 4.赤字の種類
    1. 4.1.売上総利益の赤字
    2. 4.2.営業損失
    3. 4.3.経常損失
    4. 4.4.当期純損失
  5. 5.赤字でも会社が潰れないケース
    1. 5.1.自己資金が十分にある
    2. 5.2.前年は利益が出ている
    3. 5.3.事業以外の収入源がある
  6. 6.赤字決算になるメリット
    1. 6.1.法人税軽減につながる
    2. 6.2.赤字分を繰り越せる
    3. 6.3.法人税の還付が受けられる
  7. 7.赤字決算になるデメリット
    1. 7.1.信用度が低くなり融資を受けられないケースがある
    2. 7.2.赤字が継続して債務超過になれば倒産する
  8. 8.赤字決算で支払う・免除される税金
  9. 9.赤字決算から立て直す方法
    1. 9.1.事業を改善して売上を向上させる
    2. 9.2.キャッシュフローの管理を徹底する
    3. 9.3.コストを削減する
    4. 9.4.過剰在庫を処分する
    5. 9.5.リストラを実行する
  10. 10.赤字決算でも資金調達は可能
    1. 10.1.不動産担保ローン
    2. 10.2.リースバック
    3. 10.3.ファクタリング
  11. 11.赤字からの立て直しはF&MClubがおすすめ


赤字決算でもすぐに会社が潰れるわけではない

多くの人々は赤字決算が会社の終わりを意味すると考えがちですが、必ずしも真実ではありません。市場の変動・新製品の開発・事業拡大など、さまざまな要因で一時的な赤字を引き起こすケースがあるためです。
また、会社は株式の発行・借入など赤字を補う戦略があります。したがって、赤字決算が必ずしも会社の破綻を意味するわけではありません


赤字決算とは

赤字決算とは、会社が一定期間(通常は1年)において支出が収入を上回る状況です。会社の収入・支出は、損益計算書によって算出されます。
 
収入とは販売・サービス・投資からの利益など、会社が得たすべてのお金です。支出は従業員の給与・オフィスの賃料・製品の製造コストなど、ビジネスを運営するために会社が支払ったすべてのお金が含まれます。
 
収入・支出を比較すると会社が黒字(利益)を出しているのか、赤字(損失)を出しているのかがわかります。もし支出が収入を上回っている場合、赤字決算の状況です。


赤字決算と似た用語

赤字決算と似た用語として、以下の3つが挙げられます。

  • 資金ショート
  • 債務超過
  • 黒字倒産


資金ショート

資金ショートとは、企業が直近の支払いすらできないほど手元の資金がない状況です。資金ショートは会社経営にとって危機的で、最悪の場合は倒産につながる可能性があります
 
資金ショートの原因としては、「売上が予想よりも低かった」「取引先からの支払いが遅れた」「予期せぬ大きな出費が発生した」などが考えられます。企業は資金繰りを適切に管理し、常に一定の現金を確保して資金ショートの防止が可能です。

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債務超過

債務超過とは、企業の負債が資産を上回る状況です。具体的には、会社のプラスの財産(資産)をすべて現金化してもマイナスの財産(負債)が残る状態を指します。
 
債務超過は、赤字が恒常化している状況です。赤字が続けば、一般的に企業が保有する資産が減っていきます
 
債務超過の企業は、すべての資産を現金化しても背負っている負債を解消できません。金融機関からの借入が難しくなるため、経営者の自己資金で資金繰りを行わなければならないケースもあります。


黒字倒産

黒字倒産とは事業で利益が出ていて黒字であるのにもかかわらず、資金繰り・負債などにより倒産するケースを指します。黒字倒産が起こる理由は、主に資金繰りが回らなくなってしまった場合・多額の負債があり返済が追いつかなかった場合が考えられます。黒字倒産を回避するためには入出金の状況を把握し、余裕をもったキャッシュフロー計画を立てて売掛金の回収を早めながら支払を遅くするなどの対策が有効です。


赤字の種類

赤字の種類は、大きく以下の4つにわかれます。

  • 売上総利益の赤字
  • 営業損失
  • 経常損失
  • 当期純損失


売上総利益の赤字

売上総利益の赤字とは、売上から売上原価を引いた金額がマイナスな状況です。下記の計算式で求められます。

  • 売上総利益=売上高-売上原価

売上総利益が赤字の場合は売上原価より安く売っている状態であり、販売するほど赤字が拡大する恐れがあります。事業が成り立っていない証拠でもあるため、早急に改善が必要です。


営業損失

営業損失とは、本業での営業利益が得られずに赤字の状況です。下記の計算式で求められる営業損益がマイナスな状態を指します。

  • 営業利益=売上総利益 -販管費および一般管理費

営業損失が出るケースでは、本業の売上高<販売費および一般管理費となっている状況です。本業で利益が出ていないため、「本業の売上を上げる」「原価を下げる」「販売費および一般管理費を削減する」などの経営上の取り組みを行う必要があります。


経常損失

経常損失とは、営業損益に営業外収益をプラスして営業外費用を差し引いて計算できる経常損益がマイナスな状況です。計算式は以下のとおりです。

  • 経常損失=営業損益+営業外収益-営業外費用

 
経常損失は、企業の通常の事業活動全体で損失が出た状態を示します。たとえば、営業利益が出ていても本業以外の事業で損失を出している状態などです。


当期純損失

当期純損失とは、税引前当期純利益(純損失)から法人税・住民税・事業税と法人税等調整額を差し引いた後の金額がマイナスの状況です。計算式は以下のとおりです。

  • 当期純損失=税引前当期純利益(損失)-法人税など

 
当期純損失は、企業の一定期間の最終成果(経営成績)としての損失です。本業で利益が出ていても、株の運用で損失がでるなどの場合でマイナスになるケースがあります。


赤字でも会社が潰れないケース

赤字でも会社が潰れないケースとして、主に以下の3つが挙げられます。

  • 自己資金が十分にある
  • 前年は利益が出ている
  • 事業以外の収入源がある


自己資金が十分にある

自己資金とは企業が自分の力で集めたお金を指し、株主からの出資金・事業活動から生じた利益などが含まれます。自己資金が十分にあれば、企業が一時的な赤字を出しても支払いをおこなえるためすぐには倒産しません。自己資金が豊富な企業は新たな事業投資をおこなう余裕があり、赤字からの立ち直りも期待できます。


前年は利益が出ている

前年に利益が出ている場合、十分な内部留保がある上に企業が一定のビジネスモデルで成功を収めている証拠です。赤字は市場環境の変動・投資のタイミングなど、一時的な要因である可能性もあります。前年の成功を元に事業戦略を見直し、赤字からの立ち直りを図ることも可能です。


事業以外の収入源がある

事業以外の収入源とは投資収益・不動産の賃料収入など、主力事業以外から得られる収入を指します。事業以外の収入源があると、主力事業が一時的に赤字を計上したとしても損失の補填が可能です。また、事業以外の収入源は本業の収益性が低下した場合のリスクヘッジともなります。事業以外の収入源をもてば、企業の財務安定に寄与します。


赤字決算になるメリット

赤字決算になるメリットとして、大きく以下の3つが挙げられます。

  • 法人税軽減につながる
  • 赤字分を繰り越せる
  • 法人税の還付が受けられる


法人税軽減につながる

法人税は、企業の利益に対して課税されます。赤字では企業の利益がない状態のため、結果的に法人税が軽減されます
 
また、一定の固定資産を取得するなど特別控除制度を利用すれば、法人税額自体を減らすことも可能です。法人が支払う保険料は一定の割合で損金算入でき、税引き前利益を押し下げて法人税の軽減効果も期待できます。


赤字分を繰り越せる

ある年で赤字が発生した場合、損失を翌年以降に繰り越して将来の利益と相殺できる制度があります赤字の繰り越し制度を利用すると、大きな損失があった場合でも最大10年にわたって利益を損失と相殺して法人税額を減額できる点がメリットです。ただし、資本金が1億円を超える法人は年ごとに控除できる金額に制限があるため注意が必要です。


法人税の還付が受けられる

赤字を出した場合、前期に納付した法人税の一部が返金される制度を利用できます。還付される金額は、前期に支払った法人税額が上限です。前期よりも前に支払った法人税は、還付の対象となりません。また、法人税の還付制度は資本金1億円以下の法人が対象となるため注意が必要です。

赤字決算になるデメリット

赤字決算になるデメリットとしては、以下の2つが考えられます。

  • 信用度が低くなり融資を受けられないケースがある
  • 赤字が継続して債務超過になれば倒産する


信用度が低くなり融資を受けられないケースがある

赤字決算は、企業の信用度を低下させて融資を受けられないケースがあります。金融機関は企業の財務状況を評価する際、損益計算書を重要な指標として使用するためです。
融資を受けられたとしても、返済利息率が上がるなど条件が厳しくなる可能性もあります。赤字決算は企業の資金調達能力に悪影響を与え、経営を存続させにくくなる点がデメリットです。

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赤字が継続して債務超過になれば倒産する

債務超過が続くと取引先への支払いが難しくなり、最終的には倒産する可能性があります。赤字決算が続けば企業の存続に大きな悪影響を与えるため、早期に改善して健全な財務状況を維持することが必須です。


赤字決算で支払う・免除される税金

赤字決算で支払う・免除される税金の代表例は、以下表のとおりです。

赤字決算で免除される税金

赤字決算でも支払う税金

  • 法人税
  • 地方法人税
  • 法人事業税
  • 特別法人事業税
  • 法人住民税(一部支払い義務あり)
  • 消費税
  • 源泉所得税
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 固定資産税
  • 自動車税 など

赤字決算の場合、企業は基本的に法人税を支払う必要がありません。法人税は企業の利益に対して課される税金です。赤字決算の場合、利益がないため課税対象が存在せず結果として法人税の支払いがなくなります。
 
しかし、赤字決算でも支払う必要がある税金はいくつかあります。固定資産税などの地方税・消費税などは、企業が利益を上げているか否かに関わらず支払わなければなりません。
 
以上のように、赤字決算でも支払う税金・免除される税金が存在します。具体的な税金の計算・対策は、税理士などの専門家に相談することがおすすめです。


赤字決算から立て直す方法


赤字決算から立て直す方法として、以下の5つが挙げられます。

  • 事業を改善して売上を向上させる
  • キャッシュフローの管理を徹底する
  • コストを削減する
  • 過剰在庫を処分する
  • リストラを実行する


事業を改善して売上を向上させる

事業の改善方法は、主に以下があげられます。

  • 製品・サービスの品質向上
  • 新しい市場の開拓
  • マーケティング戦略の見直し

 
売上を増やすためには顧客のニーズに応える製品・サービスを提供する必要があります。また、効果的なプロモーション・広告をおこなってブランドの認知度を高めることも有効です。


キャッシュフローの管理を徹底する

キャッシュフローとは、企業の現金の流れを指します。収入・支出のバランスを管理できれば、赤字を防ぐ対策を適切なタイミングで取れることがメリットです。
 
具体的には、資金がショートしそうなタイミングで売掛金の回収を早める・買掛金の支払いを遅らせるなどで現金を確保できます。また、無駄な支出を削減して効率的な資金運用をおこなうことも有効です。


コストを削減する

コスト削減は生産コスト・人件費・運営費の改善など、企業活動全体にわたる取り組みが必要です。具体的な対策としては、生産効率の向上・無駄な経費の削減・人員配置の最適化などが考えられます。ただし、コスト削減は製品の品質・サービスのレベルを維持しながらおこなうことがポイントです。


過剰在庫を処分する

過剰在庫があれば、保管コストが増大するなど利益の減少につながります。過剰在庫を処分することで、倉庫費用などのコストを削減して資金を確保しやすくなります。在庫管理の改善・需要予測の精度向上・生産計画の最適化などにより、過剰在庫を防ぐ取り組みをおこないましょう。


リストラを実行する

リストラとは組織の再構築・人員削減をおこなって経費を削減し、経営効率を向上させる取り組みです。リストラを実行すれば人件費などのコストを大幅に削減できるため、利益を残しやすくなります
 
ただし、リストラは従業員の士気・企業の社会的評価に悪影響を与える可能性があるため慎重な計画・実行が必要です。安易にリストラに頼らず、業務の効率化・生産性の向上に取り組んでコストを最適化する取り組みをあわせておこないましょう。

赤字決算でも資金調達は可能

企業が赤字決算を迎えた場合でも、さまざまな方法で資金調達が可能です。以下に、その具体的な方法を3つ紹介します。

  • 不動産担保ローン
  • リースバック
  • ファクタリング


不動産担保ローン

不動産担保ローンは、不動産を担保としてお金を借り入れる金融商品です。不動産を担保としているため回収不能となるリスクが低く、決算が赤字でも借り入れできる可能性があります。
 
しかし、万が一返済不能になった場合は担保に設定した不動産を失う点がデメリットです。不動産担保ローンを利用する際は、無理のない返済計画を立てて借り入れする必要があります。


リースバック

リースバックは不動産を売却して、まとまった資金を手に入れられるサービスです。リースバックでは不動産売却と同時に賃貸借契約を締結するため、売却後も同じ物件を利用できます。
 
不動産への評価が重要となるため、決算が赤字でも借り入れできる可能性は高いです。一時的に大きな金額を手に入れられる上に、事業に必要な不動産を今まで通り利用できる点が大きなメリットです。


ファクタリング

ファクタリングは、企業の売掛債権をファクタリング会社に売却して資金調達するサービスです。ファクタリングは売掛債権が主な審査対象となるため、決算書などの状況に関係なく資金を調達できます
 
ファクタリングを利用すれば、未回収の売掛金を即座に資金として調達できる点がメリットです。ただし、審査時に債務者である取引先の信用度が低いと判断された場合にはファクタリングを利用できない可能性があります。


赤字からの立て直しはF&MClubがおすすめ

赤字決算でもすぐに会社が倒産するわけではありませんが、赤字が長期間続けば倒産してしまいます。今回の内容を参考に、赤字経営から早期に脱却して安定的な経営に改善させましょう。
しかし、社長一人で資金繰りの問題を解決することは非常に困難です。
 
エフアンドエムでは、企業の経営改善をサポートするサービス「F&MClub」を提供しています経営者が抱える資金繰りなどの財務的な問題を専門的な視点からアドバイスし、具体的な解決策を提供します
さらに、赤字決算からの立て直しは単にコスト削減・売上向上だけではなく、経営戦略の見直し、補助金・助成金の活用など多角的なアプローチが必要です。累計38,000社の支援経験を生かし、中小企業の経営改革をトータルでサポートします。

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