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妊婦を辞めさせることは可能か?妊娠したら解雇の違法性

女性従業員が妊娠した場合、休暇や短時間勤務の取得、つわりなどによるパフォーマンスの低下などが考えられるため、妊娠を機会に辞めさせたいと考える経営者も珍しくありません。

しかし、妊娠・出産する従業員は、複数の法令で細かいルールかが定められているため、従業員が妊娠した際の対応には注意が必要です。

本記事では、妊娠を理由とした解雇の違法性や妊娠した従業員への適切な対応方法を解説します。


目次[非表示]

  1. 1.妊娠を理由とした解雇は違法となる
  2. 2. 妊娠中の労働者は法律で保護されています
    1. 2.1.男女雇用機会均等法
    2. 2.2.労働基準法
    3. 2.3.育児介護休業法
  3. 3.妊娠を理由とした退職勧奨は許される?
    1. 3.1.「妊娠」を理由とした退職勧奨の場合
    2. 3.2.「妊娠」以外の理由による退職勧奨の場合
  4. 4.従業員の”妊娠”どのように対応する?
    1. 4.1.就業規則で育児休業に関する規定を制定する
    2. 4.2.両立支援等助成金を活用する
    3. 4.3.時代に即した就業規則を整備する
    4. 4.4.財務改善で人材投資につなげる
  5. 5.F&M Clubで女性が働きやすい職場環境を実現しませんか?
  6. 6.まとめ

妊娠を理由とした解雇は違法となる


妊娠・出産・育児休業などを理由とする解雇は法律で禁止されています。

また、解雇だけでなく、妊娠を理由とした退職勧奨や減給・降格も違法となるため、注意が必要です。

 妊娠中の労働者は法律で保護されています

妊娠中の労働者は妊娠中の労働者を保護する法律によって手厚く保護されています。

【妊娠中の労働者を保護する法律】

  • 男女雇用機会均等法
  • 労働基準法
  • 育児介護休業法

それぞれどのような取り決めがあるか、解説します。

男女雇用機会均等法

男女雇用機会均等法とは、雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保などに関する法律です。

婚姻・妊娠・出産などを理由とする不利益な取り扱いについては、次のように規定されています。

(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)第9条


3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和22

年法律第49号)第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の 規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定め るものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。


4 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを 証明したときは、この限りでない。

【引用】男女雇用機会均等法 (5) 婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等   (第9条)

つまり、女性従業員が妊娠したこと、出産したことなどを理由とした解雇や不利益な取り扱いをおこなうと法律違反と判断されます。

【妊娠・出産等を理由とした不利益な取扱いの例】

  • 解雇する
  • 退職や正社員を非正規社員とするような契約内容変更を強要する
  • 降格させる
  • 減給する
  • ボーナスなどにおける不利益な算定
  • 不利益な配置変更をおこなう
  • 不利益な自宅待機命令を出す
  • 昇進・昇格の人事考課で不利益な評価をおこなう
  • 仕事をさせない、雑務ばかりさせるなど

なお、妊娠中の女性従業員および出産後1年を経過しない女性従業員を解雇した場合、雇用主側が妊娠もしくは出産が直接的な理由でないことを証明しない限り、無効となります(男女雇用機会均等法9条4項)。

【参考】妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達について

【参考】雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律



労働基準法

労働基準法では、産前産後休業期間とその後30日間は女性従業員の解雇を禁止しています。

(解雇制限)

第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。

【引用】労働基準法

その他に労働基準法では、妊娠した従業員へ産前産後休業を与えること、妊娠中の職場生活(時間外、休日労働、深夜業の制限   変形労働時間制の適用制限、軽易業務転換、 危険有害業務の就業制限)など、さまざまな取り決めがあります。

産前産後休業は、一般的に「産休」と呼ばれていますが、出産の前後は妊婦への身体的負担を抑える必要があるため、休業制度が設けられています。

具体的には、会社は6週間以内に出産する予定の従業員が休業を請求した場合には、その従業員を就業させることはできません(労基法65条1項)。

また、産後8週間を経過しない従業員はその請求があるかどうかによらず就業させることが禁じられています。

【参考】働きながらお母さんになるあなたへ | 厚生労働省 都道府県労働局

育児介護休業法

育児介護休業法では、従業員は養育する1歳に満たない子がいる場合、事業主に申し出ることにより育児休業を取得できます。

育児休業は女性従業員に限らず男性従業員の取得も可能です。

なお日雇い労働者や雇用期間が1年に満たない有機契約労働者、育児休業終了後に引き続き雇用される見込みがない有機契約労働者については、育児休業の対象となりません。

【参考】育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

妊娠を理由とした退職勧奨は許される?

退職勧奨とは、企業側が従業員に対して自発的な退職を促す行為です。

あくまで自発的な退職を促すだけであり、これに応じて退職するも在職し続けるも、退職勧奨を受けた従業員の意思に委ねられています。

「妊娠」を理由とした退職勧奨の場合と「妊娠」以外の理由による退職勧奨の場合に分けてご説明します。

「妊娠」を理由とした退職勧奨の場合

男女雇用機会均等法の第9条において、「妊娠・出産を理由に解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない」と記載されていることから、妊娠を理由とした退職勧奨は法律違反です。

また、妊娠は女性にのみに生じる現象であることから「性別を理由として」差別的取り扱いをしたと判断されることも考えられます(男女雇用機会均等法6条4号)。

【参考】雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

「妊娠」以外の理由による退職勧奨の場合

厚生労働省の「妊娠・出産・育児休業等を契機とする不利益取扱いに係るQ&A」では、原則として、妊娠・出産・育休などの終了から1年以内に不利益な取り扱いがなされた場合は「妊娠・出産・育休などの事由を契機としていると判断する」との記載があります。

つまり、女性従業員が妊娠・出産・育児休業を取得してから1年以内に退職勧奨した場合は妊娠・出産・育休などを理由として退職勧奨したと判断される可能性が高いといえます。

【参考】妊娠・出産・育児休業等を契機とする不利益取扱いに係るQ&A



従業員の”妊娠”どのように対応する?


妊娠した従業員は法律で保護されているため、辞めさせることはできません。

また、退職勧奨をおこなうことも法律に抵触する可能性が高いため、企業イメージの毀損にも繋がります。

従業員が妊娠した際は、以下の方法で対応しましょう。

  • 就業規則で育児休業に関する規定を制定する
  • 両立支援等助成金を活用する
  • 時代に即した就業規則を整備する
  • 財務改善で人材投資につなげる

就業規則で育児休業に関する規定を制定する

就業規則で育児休業に関する規定がない場合や、育児休業を取得する条件を制定していない場合は、就業規則の見直しをおすすめします。

通常、養育する1歳に満たない子のいる従業員が休業の取得を申し出ると、男女関係なく育児休業を取得できます。

しかし、以下の労働者は、法令上育児休業取得条件から除外されます。

  • 日雇い労働者
  • 雇用期間が1年に満たない有機契約労働者
  • 育児休業終了後に引き続き雇用される見込みがない有機契約労働者

さらに、雇用形態を問わず入社1年未満の労働者は協定を結ぶことで育児休業取得条件から除外することが認められています(育児介護休業法第6条1項)。

【参考】育児介護休業法

育児休業に関する詳細な規定を制定し、全ての従業員に共通理解として認識してもらいましょう。

また育児休業中の賃金は、雇用主側に支払い義務はありません。

その旨も誤解が生じないよう育児介護休業規定、もしくは賃金規定の項目に追加し、育児休業期間中は、雇用保険から育児休業給付金が支給される旨を周知しましょう。


両立支援等助成金を活用する

妊娠した従業員(または配偶者がいる従業員)が働きやすい労働環境を構築するためにも、積極的に両立支援等助成金を活用しましょう。

両立支援等助成金とは、職業生活と家庭生活の両立ができる職場環境作りや、女性の活躍推進に取り組む事業主に対して、以下の取り組みを支援します。

  • 男性の育児休業取得を促進=出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
  • 仕事と介護の両立支援=介護離職防止支援コース
  • 仕事と育児の両立支援=育児休業等支援コース

妊娠した従業員に対して活用できる支援は「育児休業等支援コース」となります。

「育児休業等支援コース」は、育休復帰支援プランを作成し、プランに沿って従業員の円滑な育休の取得・職場復帰などに取り組み、育休を取得した従業員が生じた中小企業事業主に対して支給されます。

育児休業等支援コースの大まかな内容は、以下の通りです。


支給額
A:育休取得時

28.5万円<36万円>

B:職場復帰時

28.5万円<36万円>

C:業務の代替支援

新規雇用:47.5万円<60万円>

手当支給:10万円<12万円>

※育児休業取得者が有期雇用労働者の場合には、9.5万円<12万円>を加算
D:職場復帰の支援

制度導入時:28.5万円<36万円>

※いずれか1制度のみ支給


制度利用時:

①子の看護休暇:1時間1,000円< 1,200円>

②保育サービス費用補助:実費の2/3

※表の< >内は、生産性要件を満たした場合の支給額。

【参考】2022年度 両立支援等助成金のご案内



時代に即した就業規則を整備する

労働人口が減少している昨今では、労働力不足の解消のためにも女性が辞めずに働き続ける環境整備が重要です。

女性が働くための職場環境の整備が十分でない場合や、しばらく就業規則の見直しをしていない場合は、時短勤務やフレックスタイム制の導入、1時間単位での有給取得を可能にするなど就業規則の見直しを検討しましょう。

財務改善で人材投資につなげる

財務改善とは、財務分析をおこなって自社の課題を把握し、その課題を改善することで財務体質を強化することです。

財務改善をおこない月々の返済が改善されると、適切なキャッシュフローが実現でき、人材投資につなげることも可能です。


  労務トラブルを回避するためには?中小企業が抱えるハラスメント問題とは | 株式会社エフアンドエム 職場におけるハラスメントなどの労働トラブルは、当事者だけではなく、職場の雰囲気や社会的評価に悪影響を与えるほか、場合によっては企業の責任を問われることもあります。 そのため企業では、ハラスメント等の防止策を講じ、労務トラブルの回避に努め、適切な処置を取れる体制を整えておく必要があります。 中小企業における、労務トラブルと対策について解説するページです。 株式会社エフアンドエム


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まとめ

妊娠した従業員は法律で保護されているため、妊娠・出産を理由に解雇することはできません。

妊娠した従業員を負担と考えるのではなく、「妊娠してもその後も働ける良い会社」を実現することが会社の発展につながります。

就業規則で育児休業に関する規定を制定する、両立支援等助成金の活用、時代に即した就業規則の整備、財務改善で対応していくことが大切です。

良い人材の定着を促し、事業を発展させていくためにも、本記事を参考に対策を講じてみてください。



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