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運転資金とは?資金繰り表から所要運転資金までわかりやすく解説

運転資金とは、企業が事業をおこなううえで必要な資金です。例えば、材料費や人件費、設備費などを指します。

資金が十分に確保できていないと、事業存続が困難なり経営危機に陥ってしまいます。

長期的かつ安定的に事業活動をおこなっていくためには、所要運転資金の確認、資金繰り表の作成が大切です。



目次[非表示]

  1. 1.運転資金とは
    1. 1.1.運転資金(所要運転資金)とは
    2. 1.2.運転資金の項目
    3. 1.3.運転資金の考え方
    4. 1.4.変動費と固定費について
      1. 1.4.1.変動費
      2. 1.4.2.固定費
    5. 1.5.運転資金の計算方法
  2. 2.運転資金の種類
    1. 2.1.経常運転資金(正味営業運転資金)
    2. 2.2.増加運転資金
    3. 2.3.減少運転資金
    4. 2.4.季節性運転資金(既設資金)
  3. 3.資金繰り表は運転資金管理に必須【経営者向け】
    1. 3.1.資金繰り表とは
    2. 3.2.経営者が資金繰り表から読み取るべき数値【経営者向け】
      1. 3.2.1.手元資金に余裕が出るタイミング
      2. 3.2.2.借入れが必要となるタイミング
  4. 4.資金繰り表から所要運転資金(所要運転資金)を察知する
    1. 4.1.売掛金 ≒ 買掛金
    2. 4.2.売掛金 > 買掛金
    3. 4.3.売掛金 < 買掛金
  5. 5.F&M Clubでは経営力向上につながるサポートをおこなっています
  6. 6.まとめ

運転資金とは

運転資金の仕組みについて、再度確認しましょう。

運転資金(所要運転資金)とは

所要運転資金とは、企業が事業を進めていくために必要な資金です。

企業の事業営業活動には、必要支出が発生します。例えば、製造業の場合は原材料費や設備投資費が、建築業の場合は外注費や資材費などが該当します。

企業で売上が発生するまでには、仕入れ費用ともいえる支出経費が必要です。

しかし、事業活動に必要な支出と収入のタイミングはそれぞれ異なるため、支出と収入の動きにはタイムラグが発生してしまいます。このタイムラグを調整するための資金が、所要運転資金です。

所要運転資金の管理をしっかりしていないと、すぐに経営危機に陥ってしまい、借入金に頼って事業を運営していく自転車操業になってしまいます。

現在はコロナ渦で、経営状況があまりよくない場合であっても、今後のポストコロナにおいて、経済が安定し売上が伸びていく可能性があります。

売上が急激に増加する場合、売上に対しての経費も必然的に上がります

運転資金に比例して上がるため、運転資金の不足に陥らないように、先を見据えることが大切です。


運転資金の項目

運転資金(所要運転資金)業種や事業方法によって、必要とする資金は異なります。

例えば、店舗の賃貸料や原材料などの仕入れ費用、光熱費、通信費、人件費が該当します。

もし競合他社を参考にする場合、自社に似た業種であり事業方法をおこなっている会社を参考にしましょう。

運転資金の目安は月間売上または月間経費の3カ月から半年程で見ておくことがおすすめです。

運転資金の考え方

運転資金(所要運転資金)は、売上として入金されるまでに時間がかかるため、経費を支払う資金として経営に欠かせない資金です。

通常、取引すると商品と代金を同時に交換するわけではなく、仕入れた後で支払いをおこなうことが一般的となります。

つまり商品を売ってもすぐに売上にならず、入金されるまでは「売掛金」という債権をもっている状態です。

売上として入金されるまでに時間がかかる一方で、商品や材料の仕入れ代金、店舗の賃貸料などの経費は先に支払うことが多く、運転資金が必要となります。

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変動費と固定費について

運転資金(所要運転資金)「変動費」「固定費」に分類できます。

変動費とは売上に連動するため、材料費や仕入れ費用などが該当する費用です。

固定費は売上に連動せず、毎月かかる費用で人件費や店舗の賃貸料などが該当します。

変動費

変動費は売上が上がれば増加し下がれば減少するため、事業は安定します。

売上を増やすには、より多くの材料費や仕入れが必要となり、外注していれば外注費用が必要です。

変動費には次の費用が含まれます。

  • 材料費
  • 仕入れ費
  • 外注費
  • 消耗品費

など

固定費

固定費は売上の増減にかかわらず、一定額かかる費用となるため、経営状況が悪くなれば経営を圧迫します。

開業当初は売上の見込みが立ちづらいため固定費はなるべく抑えましょう。

また固定費を抑えることで利益率が高まります。

固定費には次の費用が含まれます。

  • 従業員の給与
  • 事務所や店舗の賃貸料
  • 光熱費
  • 社用車などのリース代
  • 広告宣伝費
  • 火災保険などの保険料
  • 減価償却費など

運転資金の計算方法

所要運転資金の算出方法は、以下のとおりです。

所要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

  • 売上債権:売上債権売掛金+受取手形
  • 棚卸資産:在庫、仕掛品、原材料など
  • 仕入債務:買掛金+支払手形

日本の企業では「信用取引」による取引が成立しまいがちですが、製造業の場合製品が完成するまでに、仕入れや製造工程に必要な部品の調達が不可欠なため、所要運転資金の算出が必須といえます。

このような支出と入金のサイクルタイムラグを埋めるために所要運転資金が必要です。

運転資金の種類

運転資金(所要運転資金)を必要とする要因はさまざまあり、その要因によって種類は分類できます。

経常運転資金(正味営業運転資金)

経常運転資金とは、企業が事業を運営していくために恒常的に必要となる資金です。

一般的な運営資金(所要運転資金)とは、経常運転資金を指します。


増加運転資金

増加運転資金とは、売上が増加し、事業を拡大する際に必要な運転資金(所要運転資金)です。

売上が増加しているものの入金までにはタイムラグがあるため、材料や仕入れを増やして売上拡大するためには、入金までのつなぎ資金が必要となります。


減少運転資金

減少運転資金とは売上が減少し事業が不調の際においてかかる費用を賄う運転資金(所要運転資金)です。

店舗の賃貸料や光熱費、人件費などの固定費や、好調だった時の材料や仕入れ費用など、経営を建て直すまでのつなぎ資金が必要となります。


季節性運転資金(既設資金)

季節性運転資金とは、夏や冬など毎年決まった時期に売上拡大に際して必要となる運転資金です。

従業員の賞与やエアコン、クリスマス向け商品などの季節によって一時的に多くの運転資金(所要運転資金)が必要となります。

資金繰り表は運転資金管理に必須【経営者向け】

所要運転資金を可視化して管理するために、資金繰り表の作成が必須です。

企業存続のため、経営財政状況を把握する必要があります。

資金繰り表を作成し管理すれば、企業の経営財政状況を把握できるだけでなく、資金調達が必要な場合などに危機的な状況を把握できるでしょう。

企業経営に必要な資金繰り表について、解説します。


資金繰り表とは

資金繰り表とは、一定期間の収入と支出を項目ごとに分類し、収支金の流れを確認・把握するための表です。

資金繰り表の作成・管理を習慣づけることで、収支バランスの状況を察知しやすくなり、危機的な経営状況をあらかじめ予測できます。

運転資金不足になりそうな場合は、借入金を視野に入れるなどして早めの対策が必要です。


経営者が資金繰り表から読み取るべき数値【経営者向け】

資金繰り表で注意すべき数値は、所要運転資金と現預金の関係です。

所要運転資金が現預金で賄えている状態が理想的といえます。

所要運転資金が現預金を下回っている状態だと借入金を調達するなどの対策を講じなければなりません。



手元資金に余裕が出るタイミング

企業の資金繰りにおいて、手元資金に余裕が出るタイミングは、売掛金を回収でき、現金化されるタイミングです。

現預金と所要運転資金の関係を把握し、適切な資金繰りをおこないます。


借入れが必要となるタイミング

順調に売上高が上昇しているからといって、安心してはいけません。

売上高が増加していることは、その売掛金や棚卸資産の割合が大きくなって、売上高増加し、所要運転資金も増加します。

特に、売掛のある状態で買掛の支払いが先に来るような場合は、資金不足に陥りやすいため、注意が必要です。例えば、製造業や建築業など、製品の製造や建築が長期にわたる場合が多く、売掛金の回収まで要注意でしょう。

【製造業事例】

企業概要:半年にわたる新規試作品の制作1,000万円の売上見込みである製造業会社

着眼点:試作品を製造するために、新たな機械の導入や、材料費などが必要となり、支払いはすべて製造会社にかかる

ポイント:半年後に大きな売上売掛金は、売上が入金されるまでにかかる費用、かつ売上が入金されるよりも前の経費が必要となり、資金不足に陥りやすいといえます。

事業の売上高だけに着目せず、しっかりと所要運転資金の管理にも徹することが大切です。


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資金繰り表から所要運転資金(所要運転資金)を察知する


資金繰り表の売掛金と買掛金の関係から、所要運転資金の状況を察知、企業経営のリスク回避へ繋がります。

売掛金 ≒ 買掛金

売掛金と買掛金の金額がほぼ等しい場合は、回収した売上金で仕入れ代金を支払える状態となっており、資金繰りの影響が少ないといえます。

売掛金 > 買掛金

買掛金より売掛金が多いは、企業の経営活動において理想的な状態

売上が急増している状況下においては、立ち上がり時に追加運転資金が必要です。

特に、ポストコロナにおいて経済が回復した時、売上が伸びる可能性が大きく、急激な売上増加に伴う運転資金の不足に注意しましょう。


【事例:建築会社の場合】

半年間で1億円規模の案件を獲得した場合、半年後の工事完成売上金の回収までに、外注費、資材費などの経費支払いが発生します。

金額大きく期間が長い借入金に頼らざるを得なくなる傾向です。

売掛金 < 買掛金

売掛金よりも買掛金の方が多い場合は要注意です。

将来的な支払いに対して、資金を確保できていない危険な状態

業種によってはありうる状態ですが、そもそもの経営モデルとして成り立っていない可能性があります。

特に、コロナ禍およびポストコロナにおいて経営状況が悪化している場合は要注意です。

不況によって、見込めるはずだった売上が見込めず、事業存続のために投資した買掛金が大きいままの状態が続き、資金繰りに苦しむことになります。

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まとめ

企業存続のためには運転資金の管理が大切です。

運転資金の管理には資金繰り表の作成が必ず必要になるでしょう。

資金繰り表の数値から経営状況を把握して、資金繰り表から危機的状況である場合は早めの対策をおこないましょう。







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