
中小企業の74%が新卒採用できない!?採用を成功させるポイントはこれだ
日本商工会議所は、2025年4月の新卒採用を予定していた中小企業の73.6%が計画通りには確保できなかったと発表しました。中小企業における深刻な人手不足が長期化する中、初任給の引き上げなどによっても思うように採用できない企業が多くなっています。
本記事では、中小企業における新卒採用の現状と採用を成功させるポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.中小企業の73.6%が『計画通り採用できず』
- 1.1.あきらめムードも?中小企業の約半数が『新卒採用していない』
- 1.2.新卒採用の取り組みは『出展・説明会』『初任給引き上げ』『ホームページ作成、サイトへの掲載』
- 1.3.建設業、卸売業、製造業で目立つ採用難
- 2.新卒学生の約4割は中堅・中小企業を志向
- 3.中小企業の新卒採用は大企業と違う?中小企業の新卒採用における5つの課題
- 3.1.知名度が高くない
- 3.2.応募数が少ない
- 3.3.採用ノウハウが不足
- 3.4.採用コストをかけられない
- 3.5.内定辞退者、早期離職者が発生するリスクがある
- 4.中小企業における新卒採用の成功ポイント
- 4.1.就業規則の整備
- 4.2.ハローワーク、求人票を活用する
- 4.3.応募数でなく自社が求める人材へのアピールを重視する
- 4.4.求人方法の見直し
- 4.5.採用スキルを磨く
- 5.人手不足への取り組みが採用の成功へつながります
- 6.人材採用・育成もエフアンドエムがサポートします
中小企業の73.6%が『計画通り採用できず』
日本商工会議所は2025年1月の早期景気観測調査において新卒採用(2025年4月入社)の動向を発表しました。
この調査結果をみると、新卒採用に取り組んだ企業は34.6%、うち『募集したが採用できなかった』『採用できたが人数が満たなかった』と回答した企業は73.6%、前年同月調査時点の74%と同じ水準が続きました。
【引用】商工会議所LOBO(早期景気観測)(2025年1月)|日本商工会議所
あきらめムードも?中小企業の約半数が『新卒採用していない』
日商の調査では中小企業の約半数である47.5%が『そもそも新卒採用をしていない』と回答しています。また『新卒採用を実施しなかった』企業が17.9%となっており、『新卒採用をしていない、実施しなかった』と回答した割合は前回(2024年1月)調査時から微増しています。
人手不足が深刻化する中、新卒採用をおこなっても採用できないとあきらめている企業は、依然として多いと推測されています。
新卒採用の取り組みは『出展・説明会』『初任給引き上げ』『ホームページ作成、サイトへの掲載』
2025年4月入社の新卒採用に取り組んだ中小企業における主な取り組みは、次のとおりです。
特に「初任給の引き上げ」に取り組んだ企業の増加が目立ちます。また前回調査時に3位となっていた「インターンシップ、従業員との交流会」よりも「採用ホームページ作成、求人サイトへの掲載」の割合が増加しました。
- 説明会への出展 63.0%(前回調査時から+7.2%)
- 初任給の引き上げ 61.0%(同上+10.8%)
-
採用ホームページ作成、求人サイトへの掲載54.3%(同上+6.9%)
【引用】商工会議所LOBO(早期景気観測)(2025年1月)|日本商工会議所
建設業、卸売業、製造業で目立つ採用難
上記の「日商LOBO調査」によると、「計画通りの新卒採用ができなかった」と回答した企業を業種別にみた場合、建設業(77.0%)、卸売業(75.5%)製造業(73.8%)での採用不足が多くなっています。
同時におこなわれた調査における従業員D.I.をみると、建設業は深刻な人手不足が継続、製造業やサービス業においても人手不足が継続すると予測されています。
【引用】商工会議所LOBO(早期景気観測)(2025年1月)|日本商工会議所
新卒学生の約4割は中堅・中小企業を志向
中小企業は新卒採用が難しいといわれていますが、求職者である学生側からみると違う観点が出てきます。
戻る大企業志向、減少に転じた中堅・中小企業志向
学生の大手企業志向は53.7%となり、3年ぶりに半数を上回りました。大手企業にこだわらない中堅・中小企業志向は42.9%となっています。
大企業志向が増えた理由として、大企業中心におこなわれている大幅な初任給引き上げなど、待遇面における魅力があげられています。回答の詳細は次のとおりです。
- 大企業がよい(9.8%)
- やりがいのある仕事ができれば大企業がよい(43.9%)
- やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい(37.1%)
- 中堅・中小企業がよい(5.8%)
職場選択理由の上位は『福利厚生』『待遇の良さ』
Z世代と呼ばれる若い世代の就職観で特徴的な点は福利厚生の重視です。選考応募の決め手として、給料水準よりも福利厚生を重視しています。
【引用】2025年卒内定者意識調査(2024年7月)|マイナビ
逆に『行きたくない会社』の上位は次のとおりです。
- ノルマがきつい(38.9%)
- 転勤の多い会社(30.3%)
- 暗い雰囲気の会社(24.8%)
- 休日・休暇がとれない(少ない)会社(21.5%)
中小企業の新卒採用は大企業と違う?中小企業の新卒採用における5つの課題
中小企業の新卒採用は大企業と異なる点があります。主に「知名度」「採用コスト」「待遇」です。待遇面を除くと、中小企業が新卒採用で成功するためには次の4つの課題に取り組むことが必要です。
知名度が高くない
知名度の違いは新卒採用に大きな影響があります。上記のマイナビ「2025年卒内定者意識調査」によると、入社予定先を決めた学生の13.0%が「大学3年生の3月までに知っていた企業」へ入社を決めています。
中小企業は大企業ほどの知名度はないことがほとんどです。しかし言い換えると、特徴的な製品やサービスなど、特定分野で知られている中小企業、地方では有名な中小企業など、分野や地域における知名度をアピールすることで、採用応募者を集めやすくなるといえるでしょう。
応募数が少ない
大企業ほどの知名度がない中小企業については、採用への応募数が少ないことがあります。
自社が求める人材を採用するためには、一定の応募数を確保する必要があるものの、応募者が少ないため、応募してきた人の中から採用を検討することとなります。
採用ノウハウが不足
効果的な採用活動をおこなうノウハウをもった中小企業は少ないといえます。採用計画やスケジュールの作成、自社が求める人材像の設定、応募者へ響くようなアピールテクニック、応募者の適性を把握するスキルなどが課題です。
採用コストをかけられない
新卒採用のためにはお金、時間、人員などのコストが発生します。採用担当者がほかの業務を兼務している中小企業は多いでしょう。採用コストやかける時間を抑えつつ、応募者と採用者を確保する効率的な採用活動をおこなうことが課題です。
内定辞退者、早期離職者が発生するリスクがある
採用を決めても、内定を辞退する応募者が発生するリスクはあります。また入社後すぐに退職してしまう早期離職が発生することもあるでしょう。
内定辞退や早期離職の主な理由は、「事前に聞いていた条件と異なる」「休暇数の多さや残業時間の少なさなどをアピールされたが、実態は異なる」などです。
内定者を自社につなぎとめる工夫をこらし、自社(の実態)を理解してもらったうえで入社してもらうことなどが課題といえます。
中小企業における新卒採用の成功ポイント
中小企業が新卒採用を成功させるためには、仕事のやりがいと学生への安心感などをアピールすることが必要です。新卒採用の主なポイントをまとめると次のとおりです。
就業規則の整備
就業規則の整備、休暇取得制度の確立などがスタートです。学生が安心して働くことができると感じられる職場環境となることは、従業員の離職防止にも効果があります。
ハローワーク、求人票を活用する
求人募集の定番であるハローワークによる求人において、最も重要なツールが求人票です。
求人票で自社の魅力ややりがいを上手に伝えるためには、平易な言葉でわかりやすく伝えるテクニックが必要となるため、専門家のアドバイスの活用がおすすめです。
応募数でなく自社が求める人材へのアピールを重視する
採用数に限りがある中小企業は、大企業のように多数の応募を集める必要はありません。自社に合う人や長く働いてもらいたい人を選別することに注力しましょう。
一定の応募数を集めるためには、「当社はこういう会社」「このような人材を求めている」など、わかりやすいアピールが求められます。
また、自社のターゲットについてもリサーチしましょう。中小企業が採用時に競合する相手は近隣の中堅・中小企業となることが多いです。限られた地域内であっても「この仕事なら、この会社」「変わった面接方法を採用している会社」などの話題が効果を生む可能性もあります。
求人方法の見直し
学生が中堅・中小企業の募集を探す方法はご存じですか?
自社を希望する学生を漏らさないためには、学生が就職先を探す情報源へ募集を出す方法があります。
新卒学生が中堅・中小企業を探す主な方法は次のとおりです。
- 合同説明会への参加
- 逆求人サービス(ダイレクトリクルーティング) の利用
- 経済団体や技術開発などの受賞歴
- 中小企業に特化した求人サイト
- 先輩学生の就活ブログ、SNS
実際に入社予定先を決めた学生が「入社予定先企業を知ったきっかけ」の回答上位5つは次のとおりです。
入社予定先企業を知ったきっかけ |
回答割合 |
回答割合 |
就職情報サイト |
30.3% |
36.5% |
インターンシップ・仕事体験 |
12.4% |
11.7% |
その企業が身近にあって昔から知っていた |
10.4% |
9.6% |
合同企業説明会(就職イベントなど) |
9.6% |
9.8% |
親、親類、友人 |
4.7% |
4.1% |
【引用】2025年卒内定者意識調査(2024年7月)|マイナビ
採用スキルを磨く
採用選考時に応募者も企業を選んでおり、企業側の面接姿勢や内容を、入社の決め手として重視しています。上記のマイナビ「2025年卒内定者意識調査」入社予定先を決めたポイント(複数回答)として、「採用選考・面接の内容が良かった」を選択した学生が58.4%で最上位となっています。
採用スキルを磨くためには、F&M Clubで利用できる『適性診断』などを活用し、客観的な“モノサシ”を活用した効果的な質問スキルと、面接対応する従業員が、応募者へ好印象を与えるテクニックを身につける必要があります。
人手不足への取り組みが採用の成功へつながります
職場環境の改善は従業員の会社への満足度の向上に加えて、中途採用や新卒採用での人気につながります。また人手不足は当面続くと予測されているため、さまざまな会社で職場の魅力を向上させる取り組みをおこなっています。
人手不足解消における取り組み事例
人手不足解消の着眼点のひとつは従業員の負荷軽減、作業の合理化です。主な事例は次のとおりです。
- 事務作業と現場作業の中で一部の作業を機械化し、AIやIoTを導入
- 業務のうち簡単な作業を切り出して短時間勤務の従業員に任せることで、正社員の負担を軽減
- 発注業務をシステム化しWEBでの発注へ変更
- 製造現場の多能工化により休暇を取得しやすくする
- 残業代削減分を全従業員へ一律で還元
- 残業時間が少ない人に高ポイントを付与する方法を導入し、賞与に反映
- 年次有給休暇の時間単位取得制度の導入
- 有給休暇残日数を見える化した出勤簿の利用
【参考】中小企業・小規模事業者の人手不足への対応事例集(2022年度)|中小企業庁
人手不足解消における取り組みで採用がすすむ理由
人手不足解消のための取り組みを実施することで、従業員の負荷が軽減され、「慣れた人、専門性がある人しかできない」業務が減ります。言い換えると、「(すぐに)できる人材しか募集できない、応募しても来ない」状況から、「(少し時間をかければ)誰でもできる仕事を募集できる、採用する人を限定しなくて良い」状況となります。これにより、新卒者や既卒・転職者を採用するハードルを下げることができます。
また、業務が属人化しなくなることで、休暇をとりやすい職場や身体的な負荷が重くない職場として人気が高まることにつながります。
人手不足対応の投資は補助金・助成金を活用
人手不足における対応や勤務環境の改善をおこなうためには、お金が必要です。投資に必要な資金や従業員のスキルアップの費用などは、補助金や助成金を有効に活用しましょう。
助成金を受給するメリットはお金だけでなく、人材確保と自社の「ホワイト企業」化、より良い人材が応募してくる会社となることへつながります。
補助金や助成金は種類が豊富にあり、自社の取り組みにあった制度を探すだけでも負担が重い作業です。また制度の新設や拡充がひんぱんにおこなわれます。
F&M Clubの『公的支援無料検索サービス』など、補助金や助成金を簡単に探すことができるツールの利用が効率的です。
人材採用・育成もエフアンドエムがサポートします
「求人票の見直しはどこがポイントかわからない」
「就業規則、マイカー通勤規定、36協定など、自社に必要な規程はなに?」
「助成金は条件が細かくて申請が大変」
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